☆第11話『五千万円掠奪作戦―横浜―』
(1980.3.29.OA/脚本=小倉洋二/監督=田辺隆史)
大物代議士=佐久良の娘で女子大生のユウコ(紗貴めぐみ)が誘拐され、犯人は5千万の身代金を要求して来ます。
佐久良は暴力団「東亜連合」の黒幕的存在である事から、警視庁捜査一課のチーフ=花形(岸田 森)は東亜連合と敵対する横浜の新興ヤクザ「黒龍会」の仕業と睨み、2つの暴力団の動きを探るよう峰山刑事(川谷拓三)と山田刑事(清水健太郎)に命じます。
そんな折り、山田を「アニキ」と呼んで慕う黒龍会の下っ端ヤクザ=セイジ(田村幸司)が、しょうもない万引き騒ぎを起こして組長(佐藤蛾次郎)の逆鱗に触れ、さんざん罵倒された挙げ句フルボッコにされ、おまけに監禁中のユウコの見張り役を命じられます。
かねてから足を洗う機会を探ってたセイジは、ここで博打に出ます。恋人のモモコ(加山麗子)が待つアパートにユウコを連れて帰り、佐久良ではなく黒龍会から身代金をふんだくる計画を練るのでした。
で、セイジに組の様子を尋ねに来た山田刑事も巻き込まれ、男女4人のおかしな組み合わせで、襲来するヤクザ軍団から逃避行する羽目になります。
当時、アクション系の刑事物や探偵物は、必ず1本か2本は「ボニー&クライド」のパクリみたいな話をやってました。けど、この『あいつと俺』でそれをやっちゃうの!?って、私は面喰らいましたよw
打ち切りが決まりヤケクソになって「なんでもアリ」状態だったのか、あるいは清水健太郎さんが「これをやらせてくれなきゃもう出ない!」とか言って駄々をこねたのか?
従来の刑事ドラマっぽいことは一切やらない方針でスタートした筈が、如何にもそれっぽいヤクザ軍団が出て来てマシンガンまで撃ちまくるわ、佐藤蛾次郎さんに丹古母鬼馬二さんなど如何にもそれっぽい役者さんが出て来るわ、おまけに横浜が舞台なもんだからまるで『大追跡』や『プロハンター』を観てるみたいで、川谷さんと清水さんが海岸で夕日をバックに仔犬と戯れるオープニング(おまけに主題歌はフォーク時代のアルフィー)とのギャップが凄いことになってますw
でも、視聴率とか評判とかに左右され、ガラッと作風が変わったりしちゃうのもまた、連続ドラマの面白さなんですよね。『太陽にほえろ!』みたいなチーム物だと誰が主役を務めるかによって作風が違ってたし、1話完結なだけにそれぞれが独立した中編映画みたいなもの。だからこそ何百本も創り続けることが出来たワケで。
今回は川谷さんがあまり活躍しないのが残念だけど、勝プロダクションが冗談半分でセントラルアーツ作品にオマージュを捧げたらこうなった、みたいな番外編だと割り切って観れば、これはこれで面白いです。
ラスト、海外移住の夢を果たすため港まで逃げ込んだセイジ&モモコは、これまたアメリカン・ニューシネマばりに撃たれて姿を消しちゃいます。
間に合わなかった山田に、相棒の峰山は出航した貨物船を指差して「2人はきっと今ごろ船の上だよ」と言って慰めるんだけど、船は船でも2人は停泊中の漁船に、血まみれで横たわってました。
「揺れてるね……私たち乗ってんのね、船に」
「ああ、乗ってるさ……太平洋さ」
「ふふふ……」
こういうラストシーン、最近はすっかり観られなくなりましたね。なかなかいいもんです。
PS. 当時の清水健太郎さんの演技には、なんとなくショーケンさんの影響が見え隠れします。清水さんは今回だけ『傷だらけの天使』をやりたかったのかも知れません。
セクシーショットはモモコ役の加山麗子さんと、ユウコ役の紗貴めぐみさんです。
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