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☆FILE.07『容疑者Xの逆ギレ』
(2011.2.26.OA/脚本=伴 一彦/演出=国本雅広)
私が知ったかぶりして書かなくても、皆さんご存知かも知れませんが、屋外ロケを多用する『デカワンコ』みたいなドラマは、撮影にとても時間と手間を要します。
まず移動に時間を取られるし、天候の変化にも振り回され、通行人や通行車を整理したり、時には野次馬や飛行機の騒音に妨害されもし、撮影場所の使用時間にも制限があったりする。
まず予定通りに撮影が進むことは無いし、そもそも正味45分の映像作品をたった1週間で撮りきるのは不可能なんです。当然ながら、やがて放映日に制作が間に合わない事態に陥っちゃう。
それを防ぐ為、1クールの半ば辺りに、屋外ロケを必要としない=ほとんどの場面をスタジオのセット内で撮影出来るエピソードが用意される。この第7話が、それですw
マツコ・デラックスさんソックリの殺人容疑者(北条ふとし)を自白させるべく、落としのシゲさん(沢村一樹)が奮闘する取調室のドラマを軸に、そのアリバイを崩す証拠のチケットを別室で探すワンコ(多部未華子)たちや、警視庁見学に来た幼い息子と、離婚調停中のヤナさん(大倉孝二)との再会ドラマ(結局会えないんだけど)、そして健康診断とw、全ての出来事が警視庁の庁舎内だけで展開されます。
それでも面白さが変わんないのが『デカワンコ』チームの凄さなんですよね。脚本&演出の巧みさもさることながら、ほっといても1話まるごとアドリブで成立させちゃいそうな、レギュラーキャスト陣の底力。
シーズン終了後、正月2時間スペシャルに先駆け、急ごしらえで制作された1時間スペシャルなんて、ほぼ全シーンが捜査課13係の部屋の中、しかも主役の多部ちゃん抜きで(!)展開されるという、普通なら有り得ない作劇を見事に成立させてました。
この第7話でも、取調べで得意のお経攻撃やオネエ攻撃をことごとく跳ね返されるシゲ=沢村一樹さんや、自分もマツコ・デラックス風の扮装をして容疑者を困惑させるチャンコ=石塚英彦さん等w、それぞれ単独主演の刑事ドラマを持ってる役者さんたちの芸がてんこ盛りで、思えば贅沢な番組です。
もちろん主役のワンコ=多部ちゃんの「やっぱり!」や「寝てました!」の決め台詞も絶好調だし、容疑者とマイノリティどうしで心を通わせるクライマックスも素晴らしかった。
ボス=升 毅さんも地味なポジションなのに独り芝居でちゃっかり笑いを取ってるし、いつになくシンミリしたヤナ=大倉孝二さんの芝居も実に良かった。デューク=水上剣星くんも前回あたりから良い味が出て来ましたw
もちろん吹越 満さんに手越祐也くん、さらに伊東四朗さん、佐野史郎さん、田口トモロヲさん、渡辺直美さんと、ホントいい役者さんが揃ってます。それをあらためて思い知らされる第7話でした。
放送が終わってしばらくしたら、どんなストーリーだったか思い出せないようなドラマが多いと思うのですが、このドラマは次のシーンのセリフまで覚えているのにまた観てしまう。
最高です。
デカワンコチーム、すごいぞ!
もちろん色んな作品があって良いワケだけど、王道ど真ん中にはこういう作品が常にあって欲しいものです。ほんと、何年経っても色褪せないですね。(あと2年で10周年!)