ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『魔界転生』2003

2021-06-21 16:00:15 | 日本映画







 
2003年に公開された、平山秀幸監督による東映配給の角川映画。ご存じ山田風太郎さんの怪奇小説『おぼろ忍法帖(後に魔界転生と改題)』を超豪華キャスト陣で見事なアクション映画に昇華させ大ヒットさせた、深作欣二監督による1981年版のリメイク作です。

オリジナルで沢田研二が演じた天草四郎に窪塚洋介、千葉真一が演じた柳生十兵衛に佐藤浩市、若山富三郎が演じた柳生但馬守に中村嘉葎雄、緒形拳が演じた宮本武蔵に長塚京三、室田日出男が演じた宝蔵院胤瞬に古田新太、そして佳那晃子が演じた細川ガラシャに代わるヒロインとして登場する天草四郎の従者=クララお品に麻生久美子が扮するほか、黒谷友香、吹石一恵、杉本哲太、加藤雅也、高橋和也、柄本明、國村隼etc…といったキャスト陣が脇を固めてます。

予想通り……いや、予想を遥かに超えて、つまんなかったですw どんな失敗作でも何か良い部分を見つけるよう普段から心掛けてるつもりだけど、1つも無かったですw

そりゃあ、佐藤浩市さんが柳生十兵衛を演じればカッコいいに決まってるし、脱がなくても麻生久美子さんならちゃんと妖艶さを表現してくれるけど、そんなことは当たり前の大前提ですからね。

(尺はオリジナルより短いのに)えらく間延びした脚本、メリハリ無くケレン味のカケラもない演出、まったく印象に残らない音楽と、オリジナルを超えたと思える要素が何1つ見つからず、とにかく退屈で退屈で何度となく睡魔に襲われました。

殺陣や演技も含めて技術面はかなり進歩してる筈なのに、そして同じ角川&東映のタッグで創られた超大作なのに、創る人の才能1つでここまで雲泥の差が生まれてしまうのか!っていう、ある意味貴重な実験データとして後世に残すべきかも知れません。

怪奇小説をアクション映画に大幅アレンジした'81年版と同じことをやっても仕方ないから、今回は出来るだけ原作の世界観に寄せるんだっていう製作意図は理解出来るんだけど、その結果つまんなかったら何の意味もありません。

「どうやって前作と違うことをするか」じゃなくて「どうやって前作より面白くするか」を徹底的に考えるべきでしょ?……って、そんなこと一流のプロフェッショナル達が分かってない筈ないと思うんだけど……

平山秀幸監督の作品にはこれまで縁がなく1本も観たこと無いんだけど、それなりに高い評価を受けて来られた方みたいなので、この題材には向いてなかったって事でしょう。

評価されてるから、過去にヒット作を生んでるからっていうだけの理由で、ろくに適性も考えずに監督を任せてしまう日本映画界の丸投げ姿勢にこそ、何より深刻な問題があるんじゃないですか?

窪塚洋介くんの天草四郎も、予想以上に薄っぺらくて魅力のカケラも感じられません。この人も「前作(ジュリー)とは違う天草四郎にするんだ!」っていう意識に囚われ過ぎじゃないですか? この人以外に適任者はいない!ってところまでキャスティングを煮詰めましたか?

前作であんなに鮮烈な印象を残した細川ガラシャをあえて出さず、ヒロインを天草四郎の従者に変えちゃったのは、どうせ「LOVEの要素を入れないと女性客を呼べないから」って決めつけるスポンサー連中の指図でしょう。前作はほとんどLOVE要素が無いのにあれだけ女性客を集めたんだぞ!って反論する人はいなかったんですか?

すでに20年近くも前に、日本のメジャー映画はこうして骨抜きにされちゃってるワケです。もはや元には戻れません。もちろん前作とは対照的にこの映画は大コケし、東映はまたもや経営危機に瀕する羽目になりました。やれやれ……



せめてもの救いは、本作を彩るヒロインたちの華やかさ。天草四郎を一途に愛する従者=クララお品を演じた麻生久美子さん、柳生十兵衛を一途に愛する舎弟=おひろを演じた黒谷友香さん、そしてその妹=お雛を演じた吹石一恵さん。20年近く前だけあって、皆さんまだあどけない!

しかし黒谷さんは自分の意に反して魔界衆の仲間(つまりゾンビ)にされてしまい、だけど最後は十兵衛を庇って宮本武蔵と相討ちになって死ぬという、ただ女性客を泣かせる為にだけ設定されたようなキャラクター。

原作に存在するのかどうか知らないけど、そういうウェットさが『魔界転生』という作品に必要でしょうか? そもそも武蔵は十兵衛が仕留めないとダメでしょうに! ガッデム・シットのサノバビッチ!!(畜生のコンチキショー!!)

吹石さん扮するお雛に至っては全くストーリーに絡んでおらず、せめて脱いでくれれば……っていうか、このお三方を脱がせる為なら『魔界転生』が『魔界転生』でなくなっても全然オッケーですよ私はw どうせコケるならそこに全製作費を注ぎ込むべきでした。次回こそよろしく。さいならさいなら。さいなら。


 


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1 コメント

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Unknown (Homura Toguro)
2023-07-16 04:34:48
Quem foi o mau caráter que retirou esse filme da internet?
Existe vários filmes japoneses na internet, e não tem o Makai tenshou
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