1980年の4月から10月、月曜夜8時にテレビ朝日系列にて、空前の刑事ドラマブームの中、どさくさに紛れて放映された番組の1つですw 制作はANB&東映、全22話。
原作は武論尊&平松伸二の漫画『ドーベルマン刑事』ですが、そのタイトルとキャラクターの名前を借りただけで、中身は全く違うお話でした。
警視庁晴海分署に創設された、白バイならぬ「黒バイ隊」と3匹の警察犬の活躍を描いた刑事アクション物で、何故これに「ドーベルマン刑事」って名前が必要なのかサッパリ解りません。警察犬はシェパードだしw
原作の知名度が欲しかったのでしょうが、原作ファンが観たら怒って二度と観なくなるんじゃないでしょうか?
ちなみに主人公=加納錠治は原作だと『俺たちの勲章』の松田優作さんをモデルにしたような、クールで一匹狼キャラのバイオレンス刑事でした。
それがこのドラマじゃ黒バイ隊の熱血隊長で、しかも演じてるのが黒沢年男さんですからねw いや、当時はクールでセクシーなキャラで売ってたのかも知れないけど、黒彪みたいにシャープな原作の加納刑事とは、あまりにイメージがかけ離れてます。
ただ、これより先に公開された劇場版『ドーベルマン刑事』の加納刑事は千葉真一さんですから、実写になると濃くて暑苦しいオジサンが演じるシステムになってたんですねw て言うか、この役が似合うのは優作さんしかいなかった事でしょう。
まぁキャスティングに対するブーイングは原作物の宿命としても、ドラマ版は作品の世界観まで漫画とは似ても似つかない、全くの別物になっちゃってました。
せめてカッコいい世界観になってれば、原作とは切り離して楽しめたと思うんだけど、これが何だかどうも、ダサかったんですねw (私感)
刑事ドラマってのは大抵、内容はイマイチでもオープニングのタイトルバックだけは格好良く出来てるもんだけど、この番組だけはオープニングの音楽からしてダサかったw (私感)
何だかやたら陽気な曲調に、青年たちの「ゴーゴー! レッツゴーファイト! ゴー!」みたいな掛け声が繰り返し入ってる上に、女性コーラス達が「パ~ヤパ~ヤ、パヤパヤパヤパヤ~♪」って唄うんですよ! 斬新すぎますw
シェパードが活躍するのは多分『太陽にほえろ!』の警察犬シリーズや『刑事犬カール』等のヒット番組を後追いしたんでしょうけど、タイトルに「ドーベルマン」って入ってるもんだから「なんでシェパード?」って思っちゃうんですよね。
……とまぁ、ツッコミどころ満載の『爆走! ドーベルマン刑事』ですが、だからこそ、この時代のTVドラマは楽しいんです。それだけ個性的って事だし、何とか他の番組とは違う事をやろうっていう、創り手達の心意気が伝わって来ます。
謎解き一辺倒の、保守的で無個性でツッコミようも無い昨今の刑事ドラマ群、その団子レースに辟易してる今だからこそ、こういう強い個性を持った作品が「素晴らしい!」って、心底から思えるんですよね。
黒バイ隊のメンバーは黒沢隊長の他に、名高達郎、星 正人、新井康弘、神保美喜、矢吹二朗、その上司に荒井注、本庁の刑事に志穂美悦子、署長に夏木陽介といった布陣。
毎回見られるバイク・スタント、そして志穂美さんがセミレギュラーって事で、ジャパン・アクションクラブの立ち回りも見所になってました。第1話にはJACのエース・真田広之さんがゲスト出演されてます。
事件物としては正直、デタラメな内容だった印象だし、黒沢年男さんは外見のみならず芝居も暑苦しかったですw
だけど、それでもやっぱり、こうして話題に事欠かないだけの個性を持った作品は、本当に素晴らしいと私は思います。
あの天知茂さんの江戸川乱歩・美女シリーズのかっこいい曲を作った人と同一人物とは思えない珍曲です
全部長渕のせいかな
おそらく『ドーベルマン刑事』が少年ジャンプの漫画だから、子供を喜ばせようとした結果の珍曲なんだろうと思います。当時の創り手たちは子供が何を求めてるか全然分かってなかったんですよね。言うまでもなく、全責任は長渕にあります。
「原作ファンなめとんのか」的な所で評価は低いようですが(汗
しかしながら、現実の警察でもひったくり犯や暴走族に立ち向かう「黒バイ隊」が設立されている今日から見れば、非常に先見性を持った作品として見れるのではないでしょうか?
また、この一年くらい後に「西部警察」で登場する特機隊に通じるところもあると思います。
ちなみに当時の刑事ドラマでは唯一と言ってもいいホンダ提供の作品だったようですね(ホンダはトヨタや日産のような中~大型の自動車がラインナップになく、パトカー役なんかで提供しても迫力不足が懸念されたのが原因かもしれません。代わりにオートバイで勝負に出た?、というわけ)
乱文失礼いたしました。
これも無性に観直したい番組ですね。原作とかけ離れてようが、謎解きに明け暮れる昨今の刑事ドラマより確実に面白いですから。