ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『大激闘/マッドポリス'80』1980

2018-11-17 12:00:04 | 刑事ドラマ HISTORY








 
バキュン!バキューン!ドガガガガ!キキーッ!! ドッカーン!! なんじゃワレェーっ!?

↑ 擬音だけで表現すれば、こんな番組ですw せっかくドル箱番組に育てた『大都会』シリーズをテレビ朝日に奪われた(『西部警察』と改題)、日本テレビ火曜夜9時=伝統のアクションドラマ枠。

その腹いせに(?)渡 哲也の弟である渡瀬恒彦を主演に迎え、ド派手なアクション路線で1980年の4月からスタートさせた番組が『大激闘/マッドポリス’80』でした。制作は日本テレビ&東映、通算26話。

舞台を近未来(と言っても198X年)とし、全国の暴力団が結集した悪の巨大組織「ジャパンマフィア」を叩き潰すべく、警視庁が極秘裏に結成させた特命部隊が「マッドポリス」である、ってな設定。

だから一応は刑事ドラマなんだけど、描かれるのはマッドポリスvsジャパンマフィアの果てしなき抗争劇であり、捜査もしなければ逮捕もしない。ただひたすら撃ち合い、殺し合うのみw キャッチフレーズは「1秒に1発撃ち、1分に1人死ぬ!」

しかも、我らがヒーローであるべきマッドポリスの顔ぶれが… 上の画像をご覧ください。あれはジャパンマフィアの幹部たちじゃないんです。いちおう皆さん正義の味方である刑事さんなのです。聞き込み捜査をしてもカツアゲしてるようにしか見えませんw

当時は野良犬キャラで売ってた渡瀬さんを筆頭に、不良番長の梅宮辰夫にピラニア軍団の志賀 勝、さらに片桐竜次、中西良太、堀川まゆみという、ワイルドを通り越して凶悪犯専門アクターのカタログみたいな顔ぶれが勢揃い!

特に志賀さん片桐さん中西さんは、他の刑事ドラマですっかりお馴染みの人達でしたからね、連続殺人犯や前科者としてw 3人共この仕事が終わったら早速『太陽にほえろ!』で悪役復帰されてましたから、水を得た魚のようにw

そんな怖すぎる顔のオッサン達がショットガンとかマシンガンを撃ちまくる姿は、どう見ても趣味で暴力や殺戮を楽しむ狂った傭兵軍団にしか見えず、マフィアの皆さんがかえって気の毒に思えて来ちゃう始末。

だから、誰もが憧れるハンサムなヒーローが悪を駆逐する、従来の刑事ドラマみたいなカタルシスがこのドラマにはありません。そこで展開されるのは、悪vs悪のひたすら野蛮な暴力と殺戮のみ!

そういう作品もあって良いと私は思います。刑事ドラマなんて五万と創られてるワケですから、これくらい思い切った飛躍をしないと埋没しちゃうだけです。

『西部警察』に負けないド派手なアクションを描く為にも、モラルや人情を一切排除したハードな世界観が必要だったのでしょう。創り手として、実に正しい判断だと私は思います。素晴らしい!

ただ1つだけ問題なのは、そんなドラマを観て、視聴者が果たして面白いと感じるのか?って事ですw

私は最近になってようやくCATVで観ましたが、ひたすらバキュン!ドガガガ!!という騒音を聴きながら睡魔と闘うハメになりましたw

自己投影出来るキャラクターや感情移入出来るドラマが無いと、やっぱキツいですよね。気持ちが入らなければ、いくら鉄砲を撃とうが車がひっくり返ろうがカタルシスは得られません。

なので残念ながら視聴率は振るわず、良識派の視聴者からは「内容が野蛮すぎる」「意味の無い暴力が多すぎる」等のクレームが殺到したんだとか。似たような事やってる『西部警察』は大歓迎されてたのに、やっぱ見た目がいかに大切かって事ですよねw

テコ入れとして第17話から爽やかキャラの桜木健一と中途半端イケメンの山岡 健を投入し、タイトルも『特命刑事』に変更したものの効果は上がらず、低空飛行のまま何とかノルマの2クール(半年)に辿り着くのがやっと……という寂しい顛末。

だけど、この作品ならではの魅力も少なからずあったんです。まず、大野雄二 作曲によるオープニングテーマがめちゃくちゃ格好良かった。ルパンよりも大追跡よりも大野さん、良い仕事をされてます。

タイトルバックの映像も格好良いんだけど、ライバルの『西部警察』に比べると破壊される車や爆破の火薬量に金銭的な格差が感じられ、B級の匂いに拍車がかかりますw

キャラクターに感情移入しづらいって書きましたけど、見かけによらず純情な志賀さん&気のいいツッパリ青年・中西さんの掛け合いは楽しかったし、片桐さんの松田優作チックなアドリブが毎回スベってる感じも好感持てましたw

そして何と言っても、自衛隊を敵に回しての血みどろの戦争を描き切った、伝説の最終回ですよね。普通なら「防衛隊」とか架空の組織に設定するところを、はっきり名指しで「自衛隊」を悪役にしちゃうアグレッシブさが素晴らしい!(恐らく空前絶後でしょう)

やはり伝説となった『警視庁殺人課』最終回(レギュラー刑事全員殉職!)と同じく、コケた番組だからこそ出来ちゃうヤケッパチの最後っ屁……だったのでしょうか?

いずれにせよ、あの時代でなければ創れないし、放送も出来ないドラマである事は間違いありません。こんな代物がゴールデンタイムに、平然とお茶の間で流れてたという奇跡!

昭和という時代が恐ろしい。マッドポリス達の顔は、もっと恐ろしいw
 


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2 コメント

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Unknown (フルーツブラザース)
2018-11-18 12:42:46
大激闘はテーマ曲が最高にカッコイい、出演者は全員悪役というのが奇抜でゴリラとは正反対にストーリー設定にブレがないでも時代背景にはあわなくて消滅。残念(>Σ<)
今、YouTubeで刑事貴族、牧セレクションがアップされてます。かなり貴重な動画ですので閲覧楽しんで下さい。
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>フルーツブラザースさん (ハリソン君)
2018-11-18 18:27:39
そうですね、テレビが女性専用メディアになっていく過渡期の'80年代に、あのイカツすきる面子はそぐわなかったんでしょう。もうちょっと早く登場していたら状況は違ったかも知れませんね。
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