ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#191

2019-06-11 00:00:15 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第191話『冬の女』(1976.3.12.OA/脚本=畑 嶺明&小川 英/監督=竹林 進)

勤め先の喫茶店の用事で銀行に出向いたウェイトレス=知子(浅野真弓)が、下ろしたばかりの現金三百万円をひったくられ、犯人を捕まえようとした通行人も刺殺されてしまいます。

1年前、結婚式の当日に花婿を目の前で射殺されたという、凄絶な過去を持つ知子。その事件を担当した刑事が、まだ城南署にいた頃のボン(宮内 淳)なのでした。

災難続きの知子に同情したボンは、今回唯一の目撃者である彼女を警護する内、どんどん惹かれていきます。

関わった女性にすぐ惚れちゃうボンと、その様子を見てニヤつくテキサス先輩(勝野 洋)という、お馴染みの構図が今回も見られるワケですw

捜査が難航する中、犯人からの脅迫電話で店をクビになる等、なおも災難が続く知子は、都心を離れ、友人が勤める伊豆の温泉旅館で働くことを決意。テキサスとボンが送り届けることになるのですが……

一方、ひったくり事件当日に別の殺人事件で手配中の男=江原(辻 萬長)が現場近くにいた事を突き止める藤堂チーム。知子の記憶によるモンタージュ写真とは全く似てないけど、複数犯の可能性もある。

この辺りで、いつもなら山さん(露口 茂)が疑惑の眼を知子に向けそうなもんだけど、彼女には同情すべき過去があるせいか、今回ばかりは誰も気づきません。

そう、知子は、江原と繋がっていた。愛人関係であり、ひったくり事件は警察の眼を彼から逸らす為の偽装だった。

何も知らないテキサスとボンは、伊豆に現れた江原を確保してひと安心。火曜サスペンス劇場のロケ名所に違いない断崖で、知子が差し入れたコーヒーを飲み、強烈な眠気に襲われます。

そしてテキサスは崖から突き落とされ、ボンは拳銃を奪われて被弾という、あわや新人刑事2人まとめて殉職!?という空前絶後の大ピンチ。

特にテキサスは、本番の殉職編より凄絶なビジュアルでぶっ倒れ、もはや追跡不可能。新米のボンに全てが託されます。

「なぜだ? なぜあんな男と!? あいつは殺人犯だ!」

「でも、私には優しいわ。とても優しいのよ」

「駄目だ! 江原と逃げたりすれば、君はもっと不幸になるだけだ! どうしてそれが分からないんだ!?」

「あの人と一緒にいる為だったら私、不幸なんか怖くないわ!!」

その気持ち、解らなくもないけど、相手は2人もの一般市民を殺した凶悪犯です。しかも、ボンに拳銃を向ける知子の背後で、江原はモーターボートに乗り、サッサと1人で逃げようとしている!

「あの音が聴こえないのか? あいつはそういう男だ!」

「違うわ! あれは別のボートよ。別のボートよ!!」

「見るんだ! 海を見るんだ! あいつの正体を見るんだ!!」

ボンに拳銃を奪い返され、逃げる江原の姿を無理やり見せられても、知子は現実を受け入れようとしません。

「あなた達のせいだわ……あなた達さえ来なければ、あの人、逃げたりしなかった」

警官たちに支えられて駆けつけたテキサスが、ボンに檄を飛ばします。

「ボン。逮捕だ」

好きになった女性に手錠を掛けなきゃならない、『太陽にほえろ!』の恒例儀式とも言えるシチュエーション。

「ボン、お前は刑事だ。逮捕するんだ。聞いてるのか! お前は刑事だ! ボン!」

この試練、歴代刑事の中でもボンがダントツに経験数が多かったように思います。そりゃ誰よりも惚れっぽいから仕方ありませんw

まぁしかし、知子が現実を認めたくないのも理解出来ます。目の前で花婿を殺されて、まだ1年しか経ってないんだから。

それでも、時が経てば、いずれ彼女にも本当のことが解る。テキサスがボンを励まします。

「お前の気持ちだって、きっと解るさ。そうすれば、彼女もきっと立ち直る」

ボス(石原裕次郎)もまた、指でブラインドをこじ開けながら言うのでした。

「俺もそう思う。だがな、ボン。それは単に俺たちの気持ちであって、いくらデカでも人の心の中までは立ち入ることは出来んのだよ。……解るな?」

「……はい」

ほんと、いい職場ですよねw 特にボンには、みんな優しかったような気がします。

薄幸の女・知子を演じた浅野真弓さんは、当時なんと19歳!(ちょっと信じがたいけどWikipedia情報です)

1972年、15歳でNHKドラマ『タイム・トラベラー(時をかける少女)』のヒロイン、つまり高校生を演じておられますから(当時のクレジットは本名の島田淳子)、実年齢より大人びた方だったんですね。

'73年の『雑居時代』から浅野真弓名義となり、『おじさま!愛です』や『敬礼!さわやかさん』に主演、刑事ドラマは『明日の刑事』『華麗なる刑事』『七人の刑事』『特捜最前線』『大空港』『噂の刑事トミーとマツ』等、ゲスト出演多数。

1984年にミュージシャンの柳ジョージ氏と結婚し、程なくして芸能界を引退されてます。
 

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