2024年冬シーズン、フジテレビ系列の「金曜夜9時の連続ドラマ」枠でスタートした、酒井義(原作)&林いち(漫画)の人気コミック『院内警察/アスクレピオスの蛇』を映像化したフジテレビ&共同テレビの制作による医療エンターテインメント。
日本ではまだ馴染みの薄い「院内交番」を舞台に、元イケメン敏腕刑事と現役イケメン天才外科医の“正義”がぶつかり合う、要するに“刑事モノ”と“医療モノ”という2大王道ジャンルを両立させた作品。
院内交番とは、患者どうしのトラブルやクレームへの対処、遺失物の管理、人探し等の業務を請け負う、実際に一部の大学病院や国立病院に存在する民間組織だそうで、通常は引退した警察官が流れ着く職場。
そんな院内交番への勤務を、なぜかエリートの道を捨てて志願した元警視庁捜査一課の敏腕刑事=武良井治(むらい おさむ)に、桐谷健太。
大病院の医療事務に就職できたと思い込み、ルンルン気分で出勤したら交番だったもんでズッコケた、事務員の川本響子に元“欅坂46”メンバー、長濱ねる。
2人が配属された交番の室長を務める、温厚な性格の警察OB=横堀に、市村正親。
そして武良井と何やらダークな因縁があるらしい天才外科医=榊原俊介に、瀬戸康史。
武良井とチョメチョメな因縁がありそで無さそな腫瘍内科医=尼子唯織(あまこ いおり)に、ロックバンド「ゲスの極み乙女。」のドラマー “ほな・いこか” こと、さとうほなみ。
ほか、外科医に玄理、麻酔科医に馬場ふみか、看護師に工藤美桜&荻野友里、亡くなった武良井の恋人に入山法子、といったキャスト陣が脇を固めてます。
第1話の冒頭から説明台詞のオンパレードで、すぐに「私はこのドラマにハマらないな」と直感しました。説明を説明と感じさせない為の努力を放棄してる、としか思えない脚本(原作も?)ですから、そこに斬新な面白さが発見できるとは到底思えません。
案の定、第1話を観た限りはだけど、院内警察という職業そのもの以外に新たな発見は無かったし、横堀室長を除く全てのキャラクターに魅力を感じませんでした。その室長にしても市村正親さんが演じればこそでしょう。
そもそも「刑事モノ+医療モノ」っていう企画からしてマイナス・スタートじゃないかと私は思ってます。
2つの人気ジャンルを組み合わせれば……っていう発想自体がありきたりで、それなら櫻井翔くんが刑事を演じた昨年のアクション・サスペンス『大病院占拠』の方が「どんな手を使ってでも(若い視聴者の)興味を引いてやろう」っていう創り手たちの覇気が感じられました。
この『院内警察』における刑事モノ要素はほぼ“謎解き”であり、そんなドラマ(ミステリー仕立ての医療モノ)は今まで枚挙に暇がないほど創られてますから新鮮さはどこにも見当たらない。つまり、面白くない。
余談ですが、こないだ「SNS上で誰かの批判ばっかしてるヤツらは物事の本質を知らないバカ」みたいなこと書きましたけど、レビュー記事はそういう安直な書き込みとは全然違います。感じたことをどう表現すれば正確に伝わるか、考えに考え抜いて綴った“感想”あるいは“評論”であり、誰かを傷つける為の“単なる悪口”とは根本的に違います。件の記事もそういう自負があるからこそ書きました。
もし、作品に関わった人が辛口のレビューを読んで、結果的に傷ついたとしても、それを次作への糧にして頂きたいし、そうしなきゃクリエイターは務まらないと私は思います。
セクシーショットは、警察側を代表して長濱ねるさん、病院側を代表して工藤美桜さんにお願いしましょう!