ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ドクター・ホフマンのサナトリウム/カフカ第4の長編』

2020-04-13 01:45:49 | 多部未華子










 
2019年秋に上演された、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)作・演出、そして我らが多部未華子さん主演による舞台『ドクター・ホフマンのサナトリウム/カフカ第4の長編』が先日、NHKのBSプレミアムにてテレビ放映されました。

『失踪者』『審判』『城』に続く、フランツ・カフカ4作目の長編小説の遺稿が発見された!? そして、誰も知らない「カフカ未発表長編」が舞台化されたら? KERAが書き下ろす最新作に、多部未華子、瀬戸康史、音尾琢真、大倉孝二、村川絵梨、犬山イヌコ、緒川たまき、渡辺いっけい、麻実れいetc…といった豪華キャストが集結!

3時間に及ぶ長尺で、しかもカフカという小難しいイメージの大作家をネタにした舞台ってことで、私はちょっと尻込みしてたんだけど、観たらこれがめっぽう面白い!

描かれるのは、カフカが晩年に公園で知り合った少女に託した(という設定の)未発表小説の物語世界と、その時代の現実世界と、2019年の現実世界。

その小説が現代で借金をこじらせてる渡辺いっけいさんの手に渡り、彼はそれを出版社に売ろうとするんだけど、なぜか横取りしようとした大倉孝二さんもろともカフカの時代にタイムスリップしちゃう。

で、アホな2人がカフカ本人や周りの人たちと関わったことで小説の内容が変わり、現実の未来にも影響を与えてしまうという、カフカの不条理劇にタイムトラベル物の面白さをミックスさせた、シュールでありながら誰が観ても楽しめる娯楽大作に仕上がってます。

多部ちゃんが演じるのは、現実には存在しないカフカ小説『ドクター・ホフマンのサナトリウム』の主人公=カーヤで、その婚約者=ラバンが瀬戸康史くん。

全てはサナトリウム(結核など長期的な療養を必要とする人のための療養所)に長期入院してるカーヤの妄想だった?みたいなラストシーンはやっぱよく解んないけどw、そこは「カフカっぽく」見せる為の雰囲気作りみたいなもんでしょうから、深く考える必要は無いんだろうと私は思います。

これはKERAさんによるカフカ小説の二次創作、あるいはパロディみたいなもの。映画でもけっこう名のある監督さんがヒッチコック監督や小津安二郎監督に憧れすぎて、彼らの作風を完コピして新作を撮ったりしてますからねw

だからカフカの小説をよく知ってる人ならもっと楽しめるだろうし、誰よりもKERAさんご自身が楽しんで創られてるに違いありません。観ててそれが伝わって来るんですよね。

舞台演劇でありながら見せ方がすこぶる映画的で、KERAさんは在りもしないカフカ小説をでっち上げるだけじゃ飽き足らず、それを映画化したらこんな感じだろうってw、そこまで妄想してこの舞台を創られたんじゃないでしょうか?

そんな遊び心が随所に感じられ、シュールでありつつ決して難解じゃないし、もしかするとこれまで私が観て来た多部ちゃんの舞台の中で、面白さで言えば本作が一番になるかも知れません。3時間がちっとも長く感じませんでした。

多部ちゃん(結婚後の初仕事?)の安定感は言わずもがな、何役も巧みに演じ分ける瀬戸康史くんの演技力にも感嘆したし、いっけいさんと大倉さんが組めば面白いに決まってるしw、『サロメ』でも多部ちゃんとガッツリ組まれた麻実れいさんの存在感、村川絵梨さん、犬山イヌコさん、緒川たまきさん、皆さん素晴らしかったです。

う~む、これを劇場でナマで観られなかったのは至極残念。演劇で途中眠くならなかったのは、もしかすると今回が初めて? KERAさんの舞台にはハマるかも知れません。

セクシーショットは、今回なかなかの悪女っぷりを見せてくれた村川絵梨さんです。
 

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「リメンバー2020」

2020-04-11 22:30:03 | 日記

 
まもなくスタート予定だった、多部未華子さん主演による新作ドラマ『私の家政夫ナギサさん』の放映が延期されてしまいました。

他にも、ここでレビューする筈だった新作刑事ドラマ2本、綾野剛&星野源 主演『MIU404』(期待値大) と中島健人&平野紫耀 主演『未満警察/ミッドナイトランナー』(期待値ゼロ) が同じく放映延期。

さらに篠原涼子 主演『ハケンの品格』や堺雅人 主演『半沢直樹』、木村拓哉 主演『BG/身辺警護人』といった人気作の続編、石原さとみさんや貫地谷しほりさんの新作も放映スタートの目処が立ってない模様です。

それぞれ、過去作の再放送などで場繋ぎしていくみたいだけど、繋いだところで果たして放映されるんでしょうか? 制作そのものが中断されてるワケだから、押さえてた俳優さんのスケジュール期限を越えてしまったら、延期じゃなく「中止」になっちゃう可能性も、充分にあるんじゃないでしょうか?

仮にそうなったら、楽しみにしてた我々ファンも残念だけど、そんなことより役者さんやスタッフさんたちのギャラは補償されるんでしょうか? テレビ局員は給料貰えるだろうけどフリーの人たちは大丈夫?

無事にスタート出来た中にも最終回まで撮り終えてない番組がある筈で、長丁場の大河ドラマや朝ドラはどうするんだろう?とか、とにかく前例を知らないだけに予測が立ちません。

オリンピックはじめ幾多のイベントが延期や中止を余儀なくされてるんだから、連ドラも予定通りにいかなくて当たり前とはいえ、まさか2020年がこんな年になろうとは! これを去年の内に言い当てた占い師さんっているんでしょうか?

そんなことを考えてる時に舞い込んだのが、大林宣彦監督の訃報。もうホント勘弁して下さい。

青天の霹靂だった志村けんさんの訃報と違って、すでに余命宣告を受けておられた大林監督の場合はある程度、私も心の準備をしてました。けど、世界がこんなことになってる時期に逝ってしまわれるのは、さぞかし無念だったんじゃないかと思うとやっぱり涙が出てしまいます。遺作となった『海辺の映画館/キネマの玉手箱』も公開延期になったみたいだし……

「余命半年」を告げられたのが2016年の8月ですから、それから3年以上も生きられ、その間に映画を何本か撮られて、すっかり満足して逝かれたと信じたいですね。ご冥福をお祈り致します。

しかし自分の子供時代や青春時代を象徴するような志村さんや大林さんが立て続けに亡くなられて、さすがに凹まざるを得ません。まったく、なんて年なんだ!?

もうこれ以上、ほんと勘弁して欲しい。今を生きてる世界中の人々が、良くない意味で忘れられない年になりましたね。まだ4月なのに……
 

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『警視庁・捜査一課長2020』#01

2020-04-10 23:55:57 | 刑事ドラマ2000年~










 
現在、長期シリーズの中で私が最も新作を楽しみにしてる刑事ドラマが、この『警視庁・捜査一課長』です。2020年春シーズン、テレビ朝日系列の木曜夜8時「木曜ミステリー」枠で連ドラのseason4にあたる『~2020』が無事にスタートしました。

「ヒラから成り上がった最強の刑事」こと大岩純一捜査一課長(内藤剛志)はじめ、「見つけのヤマさん」こと小山田管理官(金田明夫)、「ブランク」こと奥野運転担当刑事(塙 宣之)、板木管理官(陽月 華)、武藤鑑識課長(矢野浩二)、天笠刑事(鈴木祐樹)、そして笹川刑事部長(本田博太郎)、大岩の妻=小春さん(床嶋佳子)らレギュラーキャスト陣が再結集。

そして今回の目玉は何と言っても、新宿中央署刑事課の新米刑事「おはぎ」こと妹尾萩(いもお はぎ)に扮する、三吉彩花さんのレギュラー入りです。

season1~2の斉藤由貴さんもseason3の安達祐実さんも、単発スペシャルの歴代ヒロインたちも皆さん素晴らしかったけど、華やかさにおいて三吉彩花さんは群を抜いてると思うし、その長身と凛とした佇まいは令和版『太陽にほえろ!』(あれば) の主役にしたいほど新米刑事役にピッタリ! なぜ今まで誰もやらせなかったの?って思うくらいです。

もはやストーリーなんか二の次で、彼女の活躍を見てるだけで私は大満足。アクションをやらせたい! 銃を持たせたい! 服を脱がせたい! とにかく三吉さんが加わったことで、現役刑事ドラマNo.1 の地位は揺るぎないものになりました。


……と、実はここまでの文章は、初回2時間スペシャルを半分まで観た段階で書きました。で、そのあと続きを観てみたら、全く予想外のサプライズが待ってましたw 番組ファンの方で初回を録画してまだ観てなくて、観て驚きたい方は、観終えるまでこの先を読まないで下さいw


なんと、おはぎ刑事の出番はこの初回スペシャルだけ!w 彼女が目標にしてるという現場資料班主任の平井真琴こと「大福」刑事、つまり初代ヒロインの斉藤由貴さんが、どうやら第2話から現場復帰されるみたいですw おいっ!w

やられました。すっかり騙されました。これ、絶対確信犯ですよw こういう茶目っ気があるからこそ私はこの番組が大好きなワケだけど、早とちりで記事を書いてしまって恥ずかしいから勘弁して欲しいですw

いや勿論、先にも書いた通り斉藤由貴さんも素晴らしいんだけど、三吉彩花さんの刑事っぷりをもっともっと観ていたかったです。劇中で「勉強してまた戻って来ます」って言ってたから、いずれ本当にレギュラー入りする可能性もあるワケだけど、タイミング的には今がベストな気がするんですよね。

そんなワケで三吉彩花さんに関してはぬか喜びに終わっちゃいましたが、大福刑事が戻って来てくれたことでドラマとしてはますます面白くなる筈。次回以降がまた楽しみです。
 

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『特捜9』3―#01

2020-04-09 23:33:06 | 刑事ドラマ2000年~










 
『警視庁捜査一課9係』シリーズから通算すると15シーズン目となる、人気作の新シリーズがテレビ朝日系列の水曜夜9時枠でスタートしました。

井ノ原快彦、羽田美智子、津田寛治、吹越満、田口浩正、山田裕貴ら警視庁捜査一課「特別捜査班」のメンバーは不動。ただし前作で降板となった寺尾聰さんに代わり、新班長として中村梅雀さん扮する国木田主査が広報課より着任する模様。

かつては捜査一課第6係の係長も務めた敏腕刑事なのに、ある事件の責任を取って自ら広報課への異動を希望。今回の特捜班長への就任も頑なに固辞したのに、警視総監(里見浩太朗)による「思い上がるな! これは命令だ!」とのパワハラ発言に屈し、渋々引き受けたという経緯があり、何やら重い十字架を背負った謎多きキャラクターみたいです。

渡瀬恒彦さん、寺尾聰さんが歴任した二枚目ポジションでありながらコミカルなお顔立ちでw、笑わせるのも得意な役者さんなのに、そんなダークなキャラで使うのは勿体無いんじゃ?って思うけど、まだ登場されたばかりなので何とも言えません。メンバーに馴染み、砕けていくにつれ本領を発揮されるのかも知れません。私はそれを期待します。

ストーリー自体はごくスタンダードな謎解き物ですから、さして面白いと私は思いません。それはイチオシ『警視庁・捜査一課長』シリーズも含め今どきの刑事ドラマ全てに言えることです。

そこはもう、そういう時代なんだと割り切った上で、それでも何とか面白く見せようっていう工夫が如何に成されてるか、そこを見比べて評価することに私は楽しみを見いだしてます。

その点で言えばこの『特捜9』シリーズは『警視庁・捜査一課長』シリーズの次ぐらいに評価してますし、同じテレ朝の人気シリーズでも『刑事7人』なんかは最低レベルだと私は思ってます。あくまで個人の裁定で好みの問題です。

『特捜9』の面白さは過去の記事にも書いた通り、チームが個性バラバラで全然一枚岩になってないのに、それぞれのスペックが絶妙に噛み合って「結果的に」見事なチームワークで事件を解決しちゃう、徹底して「アンチ体育会系」なノリ。だから日曜劇場みたいな「臭さ」が微塵もなく、コミカルでありつつハードボイルドなんですよね。

3組のコンビがバラバラに動きながら1つのゴールに向かう様が、今回は分割画面を駆使することで強調されており、一致団結するだけがチームワークじゃないんだっていう創り手のメッセージも感じられます。やたら「ワンチーム」を連呼する風潮にうすら寒さを覚える私としては、そういう部分にも共感せずにいられません。

とはいえ、基本的にやってることは謎解きゲームですから、毎週欠かさずに観るほどハマることもありません。時間が空けば観る、観れば確実にそこそこ面白い。私にとって『特捜9』はそういう番組です。

セクシーショットは、バラエティー番組『ミラクル9』とのコラボでゲスト出演された、AKB48の大家志津香さん。ほか、中越典子、原沙知絵、宮近海斗、飯田基祐etc…といったレギュラー&セミレギュラー陣も続投されてます。
 

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『映像研には手を出すな!』#01

2020-04-08 00:00:11 | TVドラマ全般










 
ウイルス問題でいくつかの新ドラマがスタート延期を余儀なくされてる中、早くに撮影を終えてた『映像研には手を出すな!』実写版ドラマがMBS日曜深夜枠とTBS火曜深夜枠で始まりました。原作は大童澄瞳さんの同名漫画で、前シーズンにNHKでアニメ版が放映されたばかり。

アニメ創りに邁進する映像研3人娘に扮するのは、人見知りのディレクター・浅草氏に齋藤飛鳥さん、カリスマモデルのアニメーター・水崎氏に山下美月さん、守銭奴のプロデューサー・金森氏に梅澤美波さん。いずれもアイドルグループ「乃木坂46」のメンバーです。

ほか、小西桜子、グレイス・エマ、福本莉子、高嶋政宏、松崎亮、鈴之助、出合正幸といった人たちが脇を固め、恐らくストーリーが繋がってるであろう劇場版(5月公開予定)には浜辺美波さんも登場される模様です。

基本的な設定と粗筋はアニメ版と同じなので、そちらのレビュー記事を参照して頂くとして、ここでは初回を観た限りの感想だけ記しておきます。

とりあえず、良くも悪くもアニメ版とは全く違ったものになってます。主役のお三方も原作&アニメとはイメージが全く違います。それはもう当たり前のことですから、そこにとやかく文句をつけるのは野暮、っていうか創り手の思う壺です。

企画はそもそも齋藤飛鳥さんを主役にすることを前提に、何をやらせたら面白いか色々と探った末に『映像研~』に辿り着いたとの事ですから、これは典型的なアイドル物。つまりわざとミスマッチを狙ってるワケで、似合わないキャラを一生懸命演じるアイドルの姿を見て「萌える」のが正しい観賞法。

それ以前に、二次元で創られた世界を三次元で再現するんだから、同じものになろう筈がない。その違いこそを楽しめないなら最初から観ない方がいい。

二次元、三次元の問題で言えば、『映像研~』最大の見せ場となる、浅草氏の脳内世界(自分たちがアニメの世界に入ってディティールを構築していく、言わば妄想)を実写版ではどう描くのか?が、私にとって一番の注目ポイントでした。

てっきり、映画『バクマン』みたいに二次元と三次元の融合(背景がアニメで人物だけ実写)でやるものと思ってたら、すべて三次元のみ(背景は実写風CG)で表現されてたもんで驚きました。

アニメ版はいずれも二次元でありながら明確に描き分けされてるのが凄いと思ったし、それに比べれば二次元と三次元の両方を使える実写版はラクだろうと思ってたのに!

それだとかえってつまんないと判断したのかも知れないし、試してみると仕上がりがチャチかったのかも知れません。いずれにせよ、それが吉と出るか凶と出るかは、もうちょっと先まで観ないことには判りません。

それはともかく、同じキャラとストーリーなのにアニメ版とは全くの別物。アニメ版の方が人物にも背景にも実在感があり、実写版の方が現実とかけ離れて見えるのは興味深い現象でした。それが良いのか悪いのかも、現時点じゃまだ判断出来かねます。

ただ1つだけクレームを言いたいのは、本筋とは全く関係ない野球部内のコントみたいなやり取りを、延々5分近くも割いて見せてたこと。何かの伏線になってる様子もなく、大して笑えもしない、全くもってムダな時間でした。

一体、なぜ? 大人の事情ですか? 原作にもある場面なのかも知れないけど、そこをわざわざピックアップしちゃうディレクターさんの感性を、私は到底リスペクトできません。あのシーンが1つあっただけで、本作を見る眼が一気に厳しくなっちゃいました。なぜそんな、自分で自分の首を絞めるような事をする?

浅草氏は、素晴らしい感性を持ったディレクターです。そんなキャラを、こんなセンスの悪いディレクターさんが描いてしまうのかと、暗澹たる気持ちになりました。

たぶん大人の事情でしょうから今回は眼を瞑りますが、また同じような場面が出てきたら、私はそこで視聴を打ち切っちゃうかも知れません。それくらい「ぶちこわし」に値する場面でした。
 

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