☆『いいね!光源氏くん』#01~#02(NHK総合・土曜深夜『よるドラ』枠、全8回予定)
「えすとえむ」さんの人気コミックを実写化した30分枠の連ドラで、なぜか現代にタイムスリップし、雑貨メーカーに勤めるOLの部屋に現れた光源氏(千葉雄大)と、そのOL=沙織(伊藤沙莉)との不思議な同居生活、そして恋模様が描かれるラブコメディ。
なぜ光源氏がタイムスリップしたのか、なぜその場所が沙織の部屋なのか、いっさい説明する気がない脚本が素晴らし過ぎますw 後々明かされるのかも知れないけど、とにかく理屈抜きで楽しめばいいんだと、観てる我々にのっけから肩の力を抜かせてくれるんですよね。
設定を聞けばストーリー展開も笑いの取り方もだいたい想像はつくんだけど、千葉雄大くんと伊藤沙莉さんの組み合わせは想像を超えてチャーミングで、特に千葉くんが演じる無邪気な光源氏には、イケメン嫌いの私ですら「か、可愛い」ってw、思わずキュンとさせられちゃう唯一無二の魅力があります。
そして伊藤沙莉さんに加えて、同じようにタイムスリップしてきたプレイボーイ=頭中将に桐山漣くんが扮し、主題歌に岡崎体育くんと、やけに『これは経費で落ちません!』濃度が高い組み合わせにも要注目。
セクシーショットはキャバクラに勤める沙織の妹=詩織を演じる、入山杏奈さん。週末のくつろぎタイムに観るにはうってつけのドラマで、これはオススメ出来そうです。
☆『隕石家族』#01(フジテレビ系列・土曜深夜『オトナの土ドラ』枠、全8回予定)
東海テレビの制作で、小松江里子さんのオリジナル脚本によるホームコメディー。
「巨大隕石が接近!! 地球滅亡まで……あと半年!? 最後まで家族一緒に……って、わたし、このままでいいの!?
たった今から主婦卒業。高校時代の憧れの彼と、熱い恋をもう一度! 母のビッグバンが幸せな家族をブラックホールに突き落とす。地球最後の“スペクタクルホームドラマ”、開幕!!」(公式ホームページより抜粋)
また不倫ですか……と私は辟易しちゃうんだけど、お母さん(羽田美智子)だけじゃなく他の家族たち(天野ひろゆき、松原智恵子、泉里香、北香那)にも裏の顔があるようで、地球滅亡へのカウントダウンの中でそれぞれの秘めた欲望が爆発していく、という展開にはなるんだろうと思います。
もし現実にそういうシチュエーションに置かれたら、自分ならどうするか?って、まぁ考えなくはないけど、よその家族が何をしようが興味は持てないし、残念ながらこれは初回でドロップアウトです。
セクシーショットは長女役の泉里香さんです。
☆『美食探偵 明智五郎』#01(日本テレビ系列・日曜夜10時半『日曜ドラマ』枠)
東村アキコさんによる同名少女漫画を実写化した作品で、美食家のクールな探偵=明智五郎に中村倫也くん、彼に乗せられて助手をやらされるお弁当屋の小林苺に小芝風花さん、彼との出逢いを契機に殺人鬼へと変貌する主婦「マグダラのマリア」に小池栄子さんが扮してます。
「殺人ミステリー」と「グルメ」という女性に大人気のメニューを組み合わせた、如何にもドラマ化狙いで描かれたコミックを、まんまとドラマ化しちゃうテレビ業界にも私は辟易してます。
だけど全編に漂うヨーロピアン(?)な空気、しっとりと落ち着いた雰囲気は観てて心地よく、そんな中でひとり弾け回る小芝風花さんはめっぽう可愛いし、マイペース男が日本一ハマる中村倫也くんと彼女のチグハグな掛け合いも楽しくて、決して退屈することはありません。
けど、結局やってる事はミステリー&グルメですから、私からすれば超「どーでもいいこと」で、これもドロップアウトは免れないと思います。創り手は女性視聴者しか相手にしてませんから、そりゃ当然の結果です。
セクシーショットはもちろん小芝風花さん。抱きたいですw
プロのクリエイターとしてやって行くには、2つの才能が必要だと彼は言ってました。
1つは言うまでもなく創作の才能、そしてもう1つは営業の才能です。
一応プロデビューすることが出来た彼には、創作の才能はそこそこあったんだろうと思います。でも、営業の方がからきしダメだった。
具体的に言えば、自分を売り込む力と、交渉する力。彼はそういうことが大の苦手で、それをやりたくないからこそサラリーマンじゃなくクリエイターを目指したのに、それが出来ないと業界じゃ生きていけないと知って途方に暮れたそうです。
もちろん、最初から強いコネがあれば話は別で、例えば大スターの息子であるとか、そういう環境に恵まれることも『俺の話は長い』の主人公に言わせれば「才能」なんですよねw
残念なことに何のコネも持たなければ、自分で名前を売り、顔を繋いで行かなきゃ業界では生き残れない。彼は、デビューして良い作品さえ創れば、自然と次の仕事に繋がっていくものと思い込んでたそうです。甘いわっ!
偉い人のところへ挨拶にいく、用が無くてもマメに通う、心にも無いおべんちゃらを言う、呑みたくもない酒を呑む、etc、etc…… そんなこと、彼は死んでもやりたくなかったそうです。
もちろん、周りが放っておかないほどの、とてつもない(創作の)才能があれば、多分そんなことはしなくていいんでしょう。いわゆる天才ってやつです。残念ながら、彼はそうじゃなかった。
アニメ版『映像研には手を出すな!』最終回のレビュー記事に、主人公の浅草氏が内に秘める創作の才能を、交渉力に長けた金森氏、宣伝力を持った水崎氏という、2人との出逢いが開花させたって書きました。逆に言えば、2人のサポートが無ければ浅草氏の才能は宝の持ち腐れに終わった可能性が高い。
そういう仲間に恵まれるのも、また1つの才能なんでしょう。これはかなり運にも左右されそうだけど、本人に人間としての魅力が無ければ仲間も出来ないワケで、人徳という名の才能ですよね。
……とまぁ、いろいろ書きましたけど、以上のことは全て、苦手であろうが苦痛であろうが、死に物狂いで努力すれば何とかなるもんだろうと思います。彼は、そこまでの努力が出来なかった。それだけの話です。
つまるところ、これも『映像研~』の記事に書いたことだけど、クリエイターに一番必要なのは「情熱」という名の才能なんです。そればっかりは、意識して持とうとしても持てるもんじゃない。
彼は、自主製作映画でやりたいことをやり、プロデビューも果たし、特撮ヒーロー番組の脚本を書いて「人生最高」の幸せを味わい、満足してしまった。
彼は別にBIGになりたかったワケじゃなく、自分の創りたい作品を創ることだけが目標でしたから、自分で満足してしまったらもう、そこでおしまい。
一生を賭けて、命を懸けて、この作品だけは創りたい、それさえ創れたら死んでもいい!っていう位の創作意欲を持つこと。それこそが何より必要な才能。
そういうビジョンを持ってない人は、クリエイターを目指しても絶対うまくいかない。と、彼は言ってました。現在クリエイターを目指してる方はもちろん、お子さんやお知り合いにそういう人がいる方も、参考にして頂ければと思います。
こないだからレビューしてる「超星神シリーズ」の脚本家について、私が異常なほど詳しいのは、彼のことを個人的によく知ってるからであり、別に彼のマニアとかストーカーをやってるワケじゃありません。
彼が東京=映像業界で働いたのはほんの数年間だけど、前回の記事に書いたような「幸せ」を味わったこともあれば、当然ながらイヤな思いをしたことも多々あったようです。人生すべてプラマイゼロ、帳尻が合うように出来てるんですよね。
メイキング撮影の仕事では悪魔みたいなプロデューサーに丸1年間休みなくこき使われ、身も心もボロボロにされてたし、当時政治家だった元プロレスラーの人が監督する映画で脚本を担当した時は、昼夜問わずドスの利いた声でかかって来る電話に怯え、神戸の友人宅に避難して書いてたそうですw
中でも一番心に深い傷を負わされた出来事は、彼が「人生で一番幸せだった時期」と言ってた筈の、まさに超星神シリーズの脚本を書いてる真っ最中に起きたんだそうです。
彼は大阪から単身で上京し、孤独と闘いながら頑張ってたワケだけど、同時期にやはり大阪から上京して映像業界で働く自主映画時代の仲間が何人かいて、良きライバルとして刺激も受け合いながら、心の支えにもなる大切な存在として、良い関係を築いて来たものと自分では思っていたんだそうです。
ところが! その内の何人かが、唐突に「ジャリ番」という呼称を使うようになった。ジャリ番っていうのは、特撮ヒーロー物やアニメなど子供向けに創られたテレビ番組のことを指す業界用語。明らかに「しょせんはガキ向け」という差別意識が込められた蔑称です。
頭の回転が速い人、頭に血が上り易い人なら、即座に「もういっぺん言ってみろ」という台詞を返したかも知れません。そうすれば相手は素直に謝ったかも知れないし、喧嘩になったとしても大した遺恨は残らなかったことでしょう。
だけど私がよく知る脚本家の彼は、いったん心に留め置いて考えちゃうタイプの人なんです。「今、もしかしてバカにされた?」「いや、別に悪気はなくて、覚えたての業界用語を使ってみたかっただけだろう」「そもそも俺が特撮ヒーロー物の脚本を書いてることを忘れてたのかも?」なんて、争いを避ける方向に思考が向いちゃうクセがついてる。
だけど後から考えれば考えるほど、相手は明らかに悪意を持って言った、わざと自分を傷つける為に言ったという結論に辿り着いちゃうワケです。
ああいう業界にいてライバルが今どんな仕事をしてるのか忘れてる筈がないし、ジャリ番という呼び方に嘲りの意味がこもってることを、いい大人が分からない筈もない。
そんな言葉をわざわざ、その仕事に全身全霊で打ち込んでる者の前で発するワケだから、「お前がやってる仕事はレベルが低いんだぞ」「調子に乗るなよ」っていうメッセージを暗に伝える意図が間違いなくあった。
彼はそれがとても悲しくて情けなく、そして腹立たしかったそうです。自分と同じ「ジャリ番」の仕事をしてる先輩から言われたなら「天狗になるなよ」っていう戒めとも受け取れるけど、そうじゃない相手から言われる筋合いは無いですから。
その話を聞いて、私も腹が立ちました。私がその件に関して腹が立つポイントは、主に3つ。
まず1つは、同じ志を持つ仲間だった筈の相手に対する、思いやりの無さ。もし百歩譲って悪気は無かったとしても、それを言ったら相手が傷つくことに思いが及ばないのはあまりに無神経です。
もう1つは、そもそも私は「業界用語」ってヤツが大嫌いであること。例えばその機材を「どかせろ」っていうのを「わらえ」って言ったり等、その業界に長くいる者にしか分からない言い方をわざわざする。それで新人スタッフが「えっ?」ってなっても教えてやらない。そんなことして一体何のメリットがあるのか、私にはサッパリ解らない。
たぶん、自分たちが特殊な世界にいることを誇示したい、選民意識が彼らにはあるんだろうと思います。その世界でしか通用しない言葉を使う自分がカッコいいと思い込んでる。外の世界から見るとただ滑稽でダサいだけなのに。
そしてもう1つ、何より腹立たしいのは、彼らが最も特撮ヒーロー物を夢中になって観た筈の世代だということ。ウルトラやライダー、宇宙刑事などのシリーズを毎週観て、学校で話題にし、オモチャを買い、ごっこ遊びをして、さんざん楽しませてもらった(言わば恩恵を受けてきた)世代の人間が、なぜそのジャンルを見下せるのか、私には本当に理解出来ません。
私は、刑事ドラマやヒーロー物のクリエイターたちに対しては本当に感謝の気持ちしかありません。ブログで辛辣なことを書いたとしても、愛あればこそです。バカにするような気持ちは微塵もありません。
全くの素人さんならともかく、映像作品を生み出すことにどれだけ大変な苦労が伴うか、誰よりも知ってる筈の業界人たちが、なぜジャリ番などと口に出来るのか本当に解らない。
脚本家だった彼は、映像業界という空間が、そこにいる人間の心を変えてしまうんじゃないかと思ってゾッとしたそうです。なにせ彼自身も、あの業界にいる時は自分が特別な人間になれたような錯覚をしてた。「ジャリ番」呼ばわりは、そのしっぺ返しだったのかも知れません。
あの世界には、そういう魔力が確かにある。
彼が映像業界に見切りをつけたのは、まぁ売れなかったのが一番の理由だけどw、あの世界にいると自分の人間性が腐ってしまいそうで怖かったっていうのも、理由の1つにあったみたいです。
業界人たちが多部未華子さんを絶賛する時、異口同音に「普通の女の子」であることを理由に挙げるんですよね。あの世界にいて性格が歪んでしまわない、いわゆる「業界に染まらない」ことが如何に難しいかを物語ってると思います。
魔神「カイザー・ハデス」を450年に渡って封印してきた数枚の「ステラプレート」が、ハデス復活を目論む侵略者たちにより次々と破壊され、それを阻止する使命を負った3人の若い勇者「ジャスティライザー」たちは焦燥します。
今度こそは先回りしてプレートを護るべく、僅かな手掛かりからその隠し場所を推測した3人は、手分けして山の中を探索。
そこでライザーカゲリこと真田ユカ(神崎詩織)が、なぜか野武士みたいな格好をした傷だらけの青年=武田広之(小谷嘉一)と出逢います。なんと彼は450年前にステラプレートを護衛する任務を負った武士の末裔で、まさに今、プレートを奪いに来た侵略者たちと戦い、命からがら逃げて来たのでした。
すぐに行かないと、またプレートが破壊されてしまう! ユカは無線で翔太らに広之の保護を託し、独りで現場へと駆けつけ、多勢に無勢の戦いを挑むのでした。
『ユカ、絶体絶命!』と題されたこの第11話は、緊急事態とはいえ単独行動を取ったせいで危機に陥り、すんでのところで仲間たちに救われ、チームワークの大切さを学ぶというモロ『太陽にほえろ!』的アプローチの成長ストーリー。
ユカが単独で主役を張った最初のエピソードでもあり、神崎詩織さんは変身前の姿で川へ飛び込み、ずぶ濡れになりながら複数の敵と格闘するハードアクションを熱演してくれました。
決してアクション女優ってワケじゃない神崎さんだけど、モデル業も務めるその長身、長い手足は何より強力な武器で、一挙手一頭足が実にキマってます。
前作『グランセイザー』のヒロイン=清水あすかさんは拳法の宗師も務めておられるモノホンの方で、やっぱり動きはめちゃくちゃシャープだし正確なんだけど、ボディが小さいゆえ映像からはその迫力が伝わりにくい。私もチビで自主映画に出演したりしてましたから、立ってるだけでも絵になっちゃう大きい人がホント羨ましかったです。
もちろん、神崎さんは初めての本格アクションに相当な訓練を積んで臨まれた筈で、その成果あればこその素晴らしい出来映えでした。
つづく第12話は前回ユカに救われた武田広之を中心としたストーリーで、ステラプレートが全て破壊された時に何が起こるのかが、彼の証言により明らかになります。
と同時に広之のストレートなユカへの恋心と、彼に何となく母性をくすぐられるユカの女心、それを見てヤキモキするライザーグレン=伊達翔太(井阪達也)のラブコメ模様も描かれ、笑いの要素もふんだんに盛り込まれてます。
この第11話&12話の脚本を書いたのは、第9話&10話(オリオン座博士のエピソード)を書いたのと同じ脚本家。つまり4回連続、丸1ヶ月分の脚本をその人が担当したことになります。
「もしかすると、その1ヶ月間がこれまでの人生で一番幸せだったかも知れない」と、その脚本家は言ってました。
彼は映画監督としてデビューしたものの鳴かず飛ばずで、メイキングやインタビューを撮る仕事で生活を繋げることに嫌気が差し、廃業を考え始めた時に『グランセイザー』の脚本を書いてみないか?という誘いを受け、言わばテスト的に2本(先日レビューした#36と#48)やってみて、それが認められて『ジャスティライザー』では全51本の内10本、続く『超星艦隊セイザーX』では全38本の内9本を任され、次の番組ではいよいよメインライターへの昇格が内定してたのに、そこで運が尽きて超星神シリーズ自体が打ち切りになっちゃった。
『グランセイザー』は途中参加で2本しか書いてないし、『セイザーX』はメインライターの林民夫さんが完璧にシリーズ構成されてたので、その枠からはみ出ることが出来なかった。『ジャスティライザー』が一番自由に書かせてもらえたし、特に4話連続で自分が書いたストーリーが放映される快挙を成し遂げた時の達成感と興奮は、監督デビューが決まった時や初めてカノジョが出来た時をも超えるほどだったそうです。
監督業より脚本業の方が性格的に向いており、刑事物、アクション物が好きだった彼にとってヒーロー物を書くことは何より楽しく、これこそ天職に違いない!と、その時ばかりは人生がバラ色に思えたんだとか。
だけどあまりに幸せすぎて、彼は燃え尽きてしまった。幻に終わった超星神シリーズ第4弾のメインライターがもし実現していたとしても、恐らくジャスティライザーの時ほど楽しめなかっただろうと、彼は言ってました。
やがて彼は創作意欲そのものを失い、映像業界から足を洗うことになります。なんて勿体無いことを!と周りからはさんざん言われたらしいけど、本人は未練など全く残ってないそうです。充分に幸せを味わったし、それ以上に楽しいことはもう、映像業界にいてもまず無いことを確信してしまったから。
彼がプロとして手掛けた中で、この『ジャスティライザー』という番組、特に今回レビューした4本が、一番いとおしく忘れがたい仕事なんだと、彼は言ってました。
このあと彼が『ジャスティライザー』で脚本を担当したエピソードは、波岡一喜さん扮する暗黒騎士「デモンナイト」がいよいよ正体を現す回と、ライザーガントこと平賀真也(井坂俊哉)が女子たちに「シン様」呼ばわりされる回、武田広之が再登場して翔太の恋に火を点ける回、デモンナイトがザリガニを食べる回などw 他のライターさんより笑いの要素が多いのが特色です。
セクシーショットはライザーカゲリ=真田ユカ役の神崎詩織さん。ナイスバディだけどAV女優の神咲詩織さんとはもちろん別人です。
『幻星神ジャスティライザー』は2004年の10月から翌年9月までテレビ東京系列で全51話が放映された、東宝&ゼネラル・エンタテイメントの制作による特撮ヒーロー番組で、グランセイザーに続く「超星神シリーズ」の第2弾。
前作で12人もいたヒーローが3人に絞られ、戦国武士をモチーフにしてることから東映の『忍風戦隊ハリケンジャー』にちょっと似てたりします。
敵は今回も侵略宇宙人で、地球を護るライザー星人の「ステラプレート」により封印された魔神「カイザー・ハデス」を450年ぶりに復活させるべく、プレートの破壊を目論みます。そんな侵略者たちに立ち向かうのが、ライザー星人の魂が宿る「ジャスティ・クリスタル」の意思により選ばれた3人の若者たち。それがジャスティライザー。
そんな設定やキャラクター、メカ等の紹介をひと通り終え、ゲストキャラを迎えた通常運転のスタートを切るこの第9話&第10話(前後編)の脚本を書いたのが、先日『超星神グランセイザー』の記事でご紹介した#36『さらば相棒!』と同じ脚本家だったりします。この人のホンはなぜか私の感性とバッチリ合うんですよね。
前回までの物語で、ジャスティライザーとして侵略者たちと戦う運命を受け入れた主人公たちは、敵の目的が何枚かあるステラプレートの破壊であること、そしてそのプレートにオリオン座の模様が刻まれてることに気づきます。
敵がなぜプレートを破壊したがるのか、オリオン座と一体どういう関係があるのか、この時点ではまだ不明のまま。それを突き止めない限り先手の打ちようがなく、困り果てたライザーグレンこと伊達翔太(井阪達也)は、すぐ近所に「オリオン座博士」と呼ばれる老人が住んでることを知り、ライザーカゲリこと真田ユカ(神崎詩織)と一緒にワラをもつかむ思いで、博士の話を聞きに行きます。
アパートで独り暮らしのオリオン座博士こと二宮省蔵(田口主将)は、12年前に孫の健太と散歩に出かけた裏山で、オリオン座から来たUFOに健太をさらわれた、だから愛する孫を取り戻す為にオリオン座とUFOをずっと研究してるんだと語ります。
「行ってみるかね? 宇宙人が来たという証拠も、そこにある」
とうてい信じられない翔太たちを、二宮老人は健太がさらわれた現場である裏山へと案内します。そして二宮が秘密の隠し場所から取り出したのは、まさに翔太たちが早急に見つけなきゃならないステラプレートそのものだった!
それを狙って襲撃して来た敵の戦闘員「ザコール」たちを蹴散らした翔太とユカは、ライザーガントこと平賀真也(井坂俊哉)、そしてジャスティ・クリスタルの守り人である天堂澪(江口ヒロミ)とそのボディーガード=本宮麗香(小澤栄里)らと合流します。
まさにヒョウタンからコマ、敵に壊されるよりも先に翔太たちがステラプレートを手にしたのは、今回が初めてのこと。
合理主義のクールガイである真也は、すぐにプレートを二宮から回収すべきだと言いますが、熱血純情派の翔太は反対します。二宮はステラプレートをオリオン座星人の道標、つまり孫の健太を連れ戻しに来る為の目印だと信じてるのでした。
「どうであれ、プレートを持ってると危険だ」
「だからって俺たちが取り上げていいのか? お爺ちゃんにとってあのプレートは、健太くんが……」
「それはあの人の憶測に過ぎない」
「俺たちが言ってることだって全部憶測だろ!?」
「敵が狙ってる以上、強制的に回収もやむを得ない!」
「俺がお爺ちゃんを守るよ! だったら文句ないだろ!?」
ところが2人が口論してるスキに、二宮はプレートを持ったまま勝手に麗香の車を借りて、姿を消しちゃう。ヒーローたちに護られる一般市民ですら、どこか破天荒でファンキーな一面を持つキャラクターにしちゃうところが、私がこの回の脚本家に共感する一番の理由かも知れません。
そんな二宮老人が向かった先は、孫の健太が行方不明になった例の裏山。だけど当然ながら待ち構えてた敵の襲撃を受ける羽目になり、またもやジャスティライザーに救われるんだけど、プレートを渡したくない二宮は勝手に部屋へ戻って旅支度を始めます。
翔太がすぐに追いつきますが、二宮は決してプレートを手離しません。
「この国にもいくつかUFOの着陸基地があるんだ。そこへ持っていく」
「…………」
「どうせ疑ってるんだろ?」
「…………」
「力ずくで取り上げるかね?」
「そんなこと、しないよ」
「ほう……だったらどうする?」
そこで翔太が決意したのは、二宮老人をとことん信じてみるということ。健太が本当にオリオン座へ連れて行かれたのかどうかはともかく、二宮が本気でそう信じてることだけは確か。だったら彼の気が済むまで自分も付き合おうと決めたのでした。
で、ユカと真也の制止を振り切り、翔太は二宮と2人で旅に出ます。そこまでが第9話。
そして第10話では、二宮の娘夫婦(つまり健太の両親)が暮らす家を訪れたユカと真也によって、健太失踪事件の真相が明かされます。
12年前に二宮と健太が裏山へ出掛けた時、大きな地震が起きて、健太は崖崩れの下敷きになってしまった。そう、健太はもう、この世には存在しないのでした。
じゃあ、二宮はやはり嘘をついているのか?
「いや、嘘ではないんだ」
「どういうこと? 健太くんがその事故で亡くなった事実は知ってるんでしょ? それがどうして宇宙人のせいになっちゃうの?」
素朴な疑問をぶつけるユカ、澪、麗香の女子チームに、なぜか心理学にも詳しいらしい真也がクールに解説します。
「あの人は忘れたんだ。自分がプレートに夢中になったばっかりに、事故が起こってしまったことを」
12年前、二宮は裏山の神社に隠されたステラプレートを見つけ、それに刻まれたオリオン座の模様に気を取られて健太から目を離した時に、運悪く地震が起きてしまった。もし自分がそばにいたら、健太は死なずに済んだかも知れない。
「人は耐えられないショックや悲しみに直面した時、その記憶を別の記憶と置き換えてしまう事がある。無意識の内に……」
「宇宙人にさらわれたと思い込めば、健太くんはまだ生きてる事になる……そうしないと耐えられなかったのね」
そんな複雑な話を、メイン視聴者であるチビッコたちが理解出来たかどうか甚だ疑問ですがw、そんなことは気にせず突っ走っちゃうのが「超星神シリーズ」の素晴らしさ。理解出来ようが出来まいが、最終的に怪人や怪獣をカッコよくやっつけさえすりゃそれで良いのです。
真実を知らないまま二宮と行動を共にする、翔太の身をユカたちは心配するんだけど、そんなのどこ吹く風とばかりに2人は意気投合。翔太も早くに祖父を亡くしており、すっかり二宮を自分の「お爺ちゃん」みたいに思ってるのでした。
そしてクライマックス。都心に怪獣を出現させ、ユカと真也を誘きだした敵は、そのスキに翔太と二宮を襲撃。老人を護りながら独りで闘う羽目になった翔太=ライザーグレンは、さすがに苦戦して絶体絶命!
この時、二宮の脳裏に12年前の記憶が甦ります。健太に続いて、翔太まで死なせるワケにはいかない!
「おい、バケモノ! お前の目的はこれだろう!?」
「お爺ちゃん、何やってんだ!?」
「そんなに欲しけりゃ、取りに来い!」
「ダメだ、お爺ちゃん! 逃げるんだ!!」
二宮は翔太を助けるために、ステラプレートを敵に差し出したのでした。もちろん、それを待ってた敵はすぐさまプレートを破壊、その衝撃で二宮の体も数メートル飛ばされてしまいます。
「お爺ちゃんっ!? テメエェェェェーッ!!」
怒りに燃える翔太=ライザーグレンの活躍により、敵の怪人も怪獣も倒されたことは言うまでもなく、二宮老人も幸い軽傷だけで済みました。
けど、ステラプレートはまたしても破壊されてしまった。敵がどうこうより、二宮から心の支えを奪ってしまった事実に、翔太は凹みます。
「もういいんだ」
「よくないよ! あれが無いと、健太くんが……」
「わしは今、健太にサヨナラを言っておったんだ。あの子はもう、この世にいない。この12年、わしはその現実から逃げとった」
「そんな……」
「でも、もう逃げなくて良くなった。わしには、新しい孫が出来たんだ。そうだろ?」
「お爺ちゃん……」
「楽しかったよ、この二日間」
「俺だって」
「また遊びに来てくれるかね?」
「行くよ。またドライブしよう!」
これも『さらば、相棒!』と同じように、切ないけど温かく、爽やかな余韻が残るラストシーン。私はこういうストーリーが大好きなんです。
オリオン座博士こと二宮老人を演じた田口主将(たぐち かずまさ)さんは'01年~'02年の『仮面ライダーアギト』に警視庁捜査一課のベテラン刑事=河野役でレギュラー出演された名バイプレーヤーで、特撮ヒーロー物にも刑事物にも数多く出ておられ、現在も活躍されてます。
このオリオン座博士のキャラクターは好評で、シリーズ後半に再登場させる案もあったらしいけど、諸事情で流れたみたいです。彼にまつわるドラマはこの回で完結してますから、それで良かったんじゃないでしょうか。
ほか、翔太の父親で家電店を営む伊達源太郎役で中村有志さん、その店の店員=松平健一役で正名僕蔵さん、そして最初は敵でやがて仲間となるデモンナイトこと神野司郎役で波岡一喜さん等がレギュラー出演。正名さんと波岡さんは当時まだ無名の新人でした。
セクシーショットは天堂澪役の江口ヒロミさんです。