ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

「本阿弥周子 in 大捜査線」―1

2020-09-23 00:00:03 | 刑事ドラマ'80年代










 
『大捜査線』の「四機捜」こと警視庁刑事部第四機動捜査隊で活躍する紅一点=都築悠子刑事がなにげにカッコいいです。

『Gメン'75』の女性刑事たちほどクールじゃないし、『大追跡』や『太陽にほえろ!』の長谷直美さんほど男勝りでもない。かと言って『警視庁殺人課』の一色彩子さんみたいにお色気で勝負するワケでもなく、言わばこれといった特長がないキャラクターなんだけど、それでいて埋没しないどころかやけに眼を惹き印象に残っちゃう。

単に私の「好み」なだけかも知れないけどw、都築刑事鑑賞が『大捜査線』を観る際の大きな楽しみの1つになってます。

サングラスも似合うし、四機捜のメイン車輌であるマツダ・サバンナRX-7に一番マッチしてるのは加納主任(杉良太郎)より都築刑事なんですよね。大きな特長が無いからこそ、さりげないからこその格好良さがある。

番組初期には加納主任をお慕い申し上げてるオーラを醸し出してたけど、徐々にそういう空気はフェードアウト。後期には髪型をショートにされ、同時にサバサバした性格にシフトチェンジされて、なんだか別人みたいになっちゃいます。が、それはそれで萌えますw 要するに好きなんですw

主任を諦めて同輩の沢木刑事(神田正輝)に乗り換えるようなこともなく、あくまでプロフェッショナルな捜査官としての姿勢を貫かれたのも格好良かったです。

演じられた本阿弥周子(ほんあみ ちかこ)さんは当時29~30歳。神田さんを除いて『大捜査線』のキャストは皆さんそうだけど、時代劇への出演が圧倒的に多かった方です。

デビュー作はTBSポーラテレビ小説の『ひまわりの道』で、'72~'73年の『吉井川』では主演を務めておられます。これも明治期の津山が舞台の言わば時代劇。

刑事ドラマは『東京メグレ警視シリーズ』や『チェックメイト78』、『噂の刑事トミーとマツ』、そして『大捜査線』を挟んで『特捜最前線』『新・女捜査官』『はぐれ刑事純情派』等、比較的渋めの番組にゲスト出演されてます。

Wikipediaに記載されてる出演作は'90年代末で途絶えており、どうやら引退されたみたいですね。
 

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『大捜査線』#03

2020-09-22 00:00:29 | 刑事ドラマ'80年代










 
☆第3話『蝶は舞った』(1980.1.24.OA/脚本=白井更生/監督=手銭弘喜)

加納主任(杉良太郎)と沢木刑事(神田正輝)は殺人犯の成瀬を追跡し、給水塔の上まで追い詰めるんだけど、なんと成瀬は逃走を助けてくれた連れの女を、加納らの目の前で突き落として殺しちゃいます。

そんな事しても袋のネズミで逃げられやしないのに、なぜ成瀬はより罪を重くするような酷い殺人を犯したのか?

調べてみると突き落とされた女はコールガールで、どうやらベトナム系中国人「サイ」が牛耳る人身売買組織が絡んでるらしい。その一員である成瀬は、警察より怖い組織の秘密を守るために彼女の口を封じたワケです。

当然、そうして捕まった成瀬が口を割るはずもなく、加納主任は都築刑事(本阿弥周子)と2人で死んだコールガールのアパートを訪ね、同居していた姉の昌子(中島 葵)に捜査への協力を依頼するんだけど、なぜか彼女は拒否します。

仕方なく加納は、外事二課の協力により売春斡旋業者の連絡先を入手し、客を装ってコールガールを発注。どんな女性が来るかワクワクしながら指定場所で待ってたら、やって来たのが昌子だったから驚いた! もちろん、彼女は加納が刑事であることを知ってますからチョメチョメ出来ません。残念!

なので潜入捜査は諦めるしかないんだけど、昌子もコールガールの1人だったという、言わば弱味を握った加納は、あらためて彼女に協力を求めるのですが……

「私は何も知りません、ほっといて下さい!」

どうやら昌子も、前回の辺見と同じで強烈な警察嫌い。その理由は10年前、彼女と妹がまだ10代だった時に父親が轢き逃げで殺された事件が未解決のままで、そこから姉妹の人生が狂ってしまったから。

「助けるならそのとき助けて欲しかったわ……仇を討つならそのとき討って欲しかった。もう遅いんです、ほっといて下さい!」

ところが激昂した昌子がそのまま気を失ってしまい、ほっとくワケにいかなくなった加納は彼女を病院へ運び、意識が戻るまで付き添う羽目になります。

医師の見立てによると昌子は麻薬中毒で「治せるかどうかは本人の意志次第」とのこと。もちろん、彼女に麻薬を与えたのは人身売買組織に違いありません。

意識を取り戻した昌子は加納の眼を盗んで病院を脱走するんだけど、行き先は1つしかありません。そう、彼女は麻薬を打つためアパートに戻ったのでした。

「自分の命を縮めているのが分からんのか? クスリを捨てない限り、コールガール組織から抜けることは出来ない。ヤツらはそれを知っているからクスリを与えるんだ!」

昌子が注射器片手にラリッてる現場をもろに見ながら、加納はなぜか手を出しません。

「このまま連行してもいい。だがその前に、病院に戻って自分の力で立ち直るんだ」

遅れて駆けつけた都築刑事も驚きます。

「病院に連れ戻さないんですか?」

「本人が治す気持ちになるしかない。その代わりどこへ逃げようと、オレは彼女を逃がさない」

やっぱカッコいいですなあ、加納主任! ていうか杉サマ! いつもアンタばっかり!w

そんな加納の優しさが響いたのか、昌子は自分の意志で病院に向かうんだけど、途中で組織の車に連れ去られちゃいます。カッコつけずに主任が連れて行っときゃ良かったのに!w

慌てた加納主任は、めったに使わない情報屋を使って組織のアジトを突き止め、沢木刑事と2人で乗り込みます。待ってました! 今回こそ神田さんの華麗なガンプレイが見られるぜ!……と、思いきやw

「沢木、車に戻ってくれ」

「えっ? オレも行きますよ」

「いいから車に戻れ」

「分かりました」

というワケで神田さん、あえなくご退場w まぁしかし、ここで銃撃戦を始めるワケじゃなくて、こっそりアジト内に忍び込んでこっそり昌子を連れ出すって戦法なので、2人で行くと見つかる危険性が高いと主任は判断したんでしょう。

つまり、ここはまだクライマックスじゃない。沢木刑事のCOLTガバメントが火を吹きまくるチャンスはいくらでも残ってます。楽しみは後に取っておきましょう!

で、みごとにカッコ良く昌子の奪還に成功した加納主任は、サイの組織と密接な繋がりを持つ外資系企業が、東南アジアの取引先を接待するという情報をカッコ良くキャッチします。

「サイは動くな……動くしかないだろう」

もちろん加納の読みは的中し、大人数のコールガールを引き連れて取引現場に現れたサイたちを、加納と外事二課が率いる警官隊が一網打尽にします。

なるほど、ここで満を持して沢木のガバメントが火を吹きまくるのか!……と、思いきやw なぜか直前のシーンまでいた筈の沢木や、都築までもが忽然と姿を消しw、やっぱりいつも通りに加納主任が1人でCOLTパイソン6インチを撃ちまくり、歯向かう敵を片っ端から1人で地獄へと送り込むのでした。警官隊はいてもいなくても関係ありませんw

しかし政界とも繋がりを持つ外資系企業の重役(神田隆)は、加納が迫って来ても余裕の笑みを浮かべます。

「取引の相手を女を使って歓待するくらい、どこの会社だってやっている。商売上の常識だよ」

悪いのは人身売買組織だけじゃない。むしろ、それを利用するセレブたちにこそ悪の根元がある。社会に対する創り手の……ていうかたぶん杉サマの怒りと怨念が、この『大捜査線』には毎回こめられてるんですよね。

「キミたち親方日の丸には解らんだろうがね、我々はそうやって今の経済大国ニッポンを築き上げて来たんだよ。政治の中枢にいる人物なら、そんなことは誰でも知ってるよ」

「…………」

「余計な手出しをするのはやめたまえ。キミ自身の首を絞めることになるよ?」

そう言って重役は笑うんだけど、ますます威圧感を増して来た杉サマの眼つきを見て、笑顔が凍りつきます。

「そのために2人の女が殺されている。1人の女が麻薬中毒にかかり苦しんでいる。それでもアンタ笑えるのか? それでも商売上の常識だ、日本はオレたちが背負っていると、大きな顔をするのかっ!?」

「…………」

やばい、殺される!って、重役は思ったに違いないけど、さすがに杉サマも丸腰の相手は殺しません。

「首を絞めるなら絞めてみろ、徹底的に戦ってやる。ニッポンの警察を甘く見るなよ?」

いやあ、カッコいい! 今回も杉サマ1人だけがカッコいい!w それが許されちゃうのがスーパースターなんですね。

ラストシーンは、病院で麻薬中毒を克服した昌子が笑顔で駆け寄り、加納主任も珍しく満面の笑顔を見せるという爽やかなもの。

今回最大の見せ場はクライマックスの銃撃戦よりもむしろ、加納が抵抗する昌子を抱えて組織のアジトからこっそり脱出する、中盤のシーンだったように思います。それこそがまさに「君は人のために死ねるか?」っていうテーマに沿った場面であり、だからラストの笑顔にグッと来るんですよね。

いずれにせよ杉サマの独壇場ですw 神田さんのガバメントは一体いつ火を吹くんでしょうか?
 

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『大捜査線』#02

2020-09-21 00:10:08 | 刑事ドラマ'80年代










 
令和の刑事ドラマ『MIU404』を観てて、主人公たちが所属する「四機捜」って部署名を耳にするたび、なんだか懐かしい気分になるのは何故だろう?って思ってたんだけど、久々に『大捜査線』を観て理由が判りました。

そう、主人公の加納主任(杉 良太郎)や沢木刑事(神田正輝)が所属してたのが警視庁刑事部第四機動捜査隊、すなわち「四機捜」なんですよね! まさか野木亜紀子さん、この渋すぎる昭和ドラマにまでオマージュを?

『大捜査線』は1980年の1月から12月までの1年間(9月からのリニューアル版『大捜査線シリーズ/追跡』含む)、全42話がフジテレビ系列の木曜8時枠で放映されました。『あさひが丘の大統領』と同じユニオン映画の制作です。

時代背景やリアリティーの差違は置いといて、同じ四機捜が活躍するドラマでも『MIU404』と決定的に違うのは、『大捜査線』はひたすら杉良太郎さんのワンマンショーに徹してる点。オープニングのタイトルバックも杉サマ1人しか画面に出て来ませんw

すでにレビュー済みの第1話は、ショットガンを持って銀行に立て籠った凶悪犯を、元射撃のオリンピアだった加納主任=杉サマが1人で射殺するミッションがじっくり描かれた後、死んだ犯人の姉による罵倒を1人で受け止め、彼女を食い物にしようとしたヤクザどもを1人でフルボッコにし、気がつけば彼女に慕われ、ついでに部下の都築刑事(本阿弥周子)にも慕われてる加納主任のオンステージが延々と続き、片腕の沢木刑事=神田正輝さんはその周りをただウロチョロしてるだけでした。

その沢木刑事が壮絶な殉職を遂げる第26話(これもレビュー済み)ですら、ストーリーはさすがに沢木メインで展開されたものの、アクションの見せ場はしっかり杉サマが独占しちゃいましたw

それは杉サマが欲張りだからじゃなくて、たぶん「主役のオレが活躍しなきゃ視聴者が納得しない」っていう思い込み、いや責任感によるものだろうとは思うけど、定評ある神田さんの拳銃さばきをもっと見たい私からすれば「おっさん、ええ加減にしなはれ」ってw、苦笑を禁じ得ません。

さて、この第2話はどうだったか? 画像をご覧の通り、メインゲストの小野進也さんと絡んでるのは神田さんであり、パッと見は沢木刑事メインの話なのですが……


☆第2話『男たちの挽歌』(1980.1.17.OA/脚本=白井更生/監督=林 伸憲)

とある深夜、岡島という若いパトロール警官が殉職します。住宅地で暴走族が騒音を撒き散らしてるのを放っておけず、本部からの待機指令に逆らって注意しに行った挙げ句、牽き殺されたのでした。

四機捜の大滝隊長(山内 明)が会議でそれを「無用の死」と表現し、加納主任は思わず立ち上がります。

「ひとつお聞きしますが」

「なんだ?」

「無用の死とは一体なんですか?」

「加納はそう思わないのか? やむを得ざる死以外は、無用と言うしかない」

「…………」

大人だからそれ以上はツッコまない加納だけど、その眼は静かに燃えてます。他の刑事たちのリアクションは描かれず、すでにオンステージが始まってますw

ところで、死んだ岡島巡査は事件当夜、先輩の佐藤巡査(織田あきら)とコンビで動いてました。通夜の席で「どうしてあの子を止めて下さらなかったの!?」と岡島の母親に責められた佐藤は、自宅で謹慎しながら酒に溺れてました。

「酒を呑み、酔っぱらう理由はなんだ? そうやって何を誤魔化しているんだ?」

岡島巡査が暴走族に殺された時の状況を聞き出すため、佐藤の自宅を訪れた加納主任はあえて厳しい言葉を投げかけます。

「オレもあの時、無線指令を聞いていた。もしオレがあの時、現場に駆けつけていたら、同じように暴走族のところに行っただろう……それで死んでも、後悔はしない」

死んだ岡島巡査は、通報して来た主婦に病気の子供がいることを知っており、その安眠を妨害する暴走族が許せなかった。たぶん佐藤も同じ気持ちだった事でしょう。

「人間らしい、ただそれだけの行動が、時として死に繋がる……死んだ岡島巡査には酷な言い方かも知れないが、それも警察官の、甘んじて受けるべき宿命ではないだろうか」

「…………」

警察官としては誤った判断だったとしても、人間としては絶対に正しかった。それは岡島を止めなかった佐藤も同じこと。加納はそう言いたかったんでしょう。

気持ちを切り替えた佐藤は、あの時、パトカーに戻りかけた岡島巡査に向かって「イキがるな税金泥棒!」と叫んで走っていくバイクがいたことを証言します。

そのバイクに乗っていたのは辺見(小野進也)という暴走族メンバーであることが判明し、当夜検問で彼と顔を合わせていた沢木刑事が尋問を引き受けます。

独りで海辺に佇む辺見に、沢木も独りで語りかけます。

「海はいいよな……1日じゅう車の中ばっかりじゃ、まったくイヤになっちまうよな。いいなあ、海は」

それは、来る日も来る日もパトロールに明け暮れる我が身の境遇を、最近ちょっと疑問に思ってる沢木の本音でした。

そんな刑事らしくない沢木に気を許したのか、辺見はかつて放り込まれた少年院を逃げ出したのに、結局は自分の意思で戻った経験を語り始めます。

「歩きながらオレは何をしてるんだろうって思った。わざわざ逃げ出して、また帰っていく……後で考えると理由は簡単だったよ。少年院へ帰り、施設へ帰るしか生きようが無かったんだ」

境遇は違えど、なんだかんだ愚痴りながら結局は刑事を辞められない沢木と、根っこの部分で辺見は似てるのかも知れません。

「なあ、辺見よ。オレたちは税金泥棒なんかじゃないよ。税金泥棒っていうのは、地位を利用してゴルフに行ったり、赤坂の料亭で遊んだりするヤツらにいる。車の中から世間様はいつも素通りだ。同じ車に乗ってたってオレたちとは月とスッポンさ」

「…………」

「車を降りる時は犯人と100メートル競走だ。勝ったって何もくれやしない、負けたらそれっきり……ホトケ様になる時だってある」

「…………」

威圧感がハンパない加納主任と違ってw、相手と同じ目線の高さで対話できる沢木は、意外と名刑事になれる器なのかも知れません。辺見は正直な気持ちを吐露します。

「警官ってヤツは、いつもオレを捕まえに来た。施設にいる時もそうだった……ヤツが来る時はオレが捕まる時だ。オレは警官を憎んでた。だが、やったのはオレじゃない」

その言葉を信じた沢木は、辺見を連行しない道を選択します。が、他に有力な容疑者が浮かばず、捜査本部はいよいよ辺見に容疑を絞ろうとしてる。辺見が本当に無実ならば、自ら潔白を証明するのが一番だと考えた沢木は、再び彼を訪ねて出頭を促すのですが……

「やっぱりお前もオレを捕まえに来たのか!」

染み付いた警察不信により誤解し、暴れ始めた辺見を、沢木は結局力ずくで連行することになるのでした。

「いま考えるとヤツは、逃げるためにオレに突っかかって来たんじゃない気がします。きっと、オレが憎らしかったんです。人を見たら犯人としか思えない……そんな自分がイヤになりました」

また愚痴を言い始める沢木を、加納主任がたしなめます。

「今度のことでは、すでに警察官が1人死んでいる。それを忘れるな」

「分かってます! ヤツらにはいつも憎しみを掻き立てろ、オレは警察官だ、自分は警察官だと思ってます!」

「違う! 殉職とはなんだ? 警察官の死ではない、1人の人間が死ぬことだ。そのやりきれなさを考えろ! その意味を考えろ!」

「…………」

なんだか会話が噛み合ってない気もするけどw、つまり自分たちは刑事である前に人間なんだっていう考え方において、加納主任も沢木と同じなんだって事でしょう。ただ顔と態度があまりに威圧的なだけでw

そんな折り、いよいよ辞職を決意した佐藤巡査が、挨拶しに加納を訪れて来ます。待機命令に従わない岡島を止められなかっただけで、彼自身は何もミスは犯してないんだけど。

「1人の部下を死なせた……だが、1人の病気で苦しむ子供に、安らかな夜を与えた。それでいい……残酷なようだが、警察官はそれで満足すべきだろう。オレはそう信じてる。負け犬が尻尾を巻くのでなければ、辞めればいい」

内心は辞めて欲しくないんだろうけど、加納は佐藤の決意を尊重します。そんな彼に、佐藤の妻が無邪気に言います。

「正直言って、主人が警察官を辞めると決めて、ホッとしています」

刑事としてしか生きて行けない、全身刑事マシーンの加納は独り暮らしの自宅に戻ると、やるせない想いを噛み締めながら、なぜか牛乳をがぶ飲みするのでしたw

ところで所轄署に連行された辺見は、無実を主張することもせず、頑なに黙秘を続けてました。

見かねた加納主任は、自ら取り調べを引き受け、辺見を威圧しますw

「無実なら無実と言ったらどうだ? 戦っても無実を認めさせる、それが本当だろう? 黙ってるのは拗ねているだけだ。甘ったれているに過ぎん」

「…………」

「何とか言ったらどうだ! お前の無実を信じてるヤツがいる。それに何と応えてやるんだ!? もう1人、お前たちのために死んでいった若者がいる。お前たちのために苦しんで、警官を辞めていった若者がいる。それに応えてやるのが人間じゃないのか!?」

「…………」

もちろん、警察不信のアウトローが威圧に屈する筈がありません。あるいは、暴走族仲間の中にいるであろう真犯人を彼は庇ってるのかも知れません。

ところが! 証拠不充分で釈放された辺見を取り囲み、人目につかない草むらに連れ込んだのは、仲間だったはずの暴走族でした。彼を殺し、全ての罪をなすりつけようとするド外道野郎たちです。

「辺見! 乗れ!」

そこに覆面パトカーで駆けつけたのは、加納主任の指示で辺見をマークしていた沢木刑事。どうやら今回は沢木の活躍エピソードで、いよいよ神田さんの華麗なガンプレイが見られそうです!

……と、思いきやw 車がぬかるみに突っ込んで身動きが取れなくなり、あっという間に取り囲まれボコボコにされちゃいます。

「ヤツらにオレを引き渡せ! それで済む!」

「そんなこと出来るか!」

「このままじゃアンタも殺されるぜ!」

「余計なこと言うな!」

ここで沢木がようやく愛銃COLTガバメントを抜き、スライドを引きます。待ってました!

「やめろ! やめんと撃つぞ!」

そうだ、撃て! ここが見せ場だ、ぶっ殺せ!

ところが! そこに颯爽とマツダ・サバンナRX-7に乗って、加納主任がやっぱり駆けつけてしまうのでしたw

ゆっくりと降り立ち、黙ってコートを脱ぎ捨て、わざわざサングラスをかけ、愛銃COLTパイソン6インチを引き抜いた加納は、向かって来る暴走族のバイクに片っ端から357マグナム弾をぶち込みます。ああ、やっぱりカッコいい! いつもアンタだけがカッコいい!w

「岡島巡査殺害容疑、並びに公務執行妨害で全員逮捕する!」

ぶっ殺しこそしなかったものの、20人以上はいた暴走族を全員、加納主任がたった1人で制圧。結局1発も撃てずに終わった沢木刑事は、やっぱり今回も良太郎オンステージの前座を務めただけでした。

というワケで、例によって加納主任の活躍により全てが解決。真犯人逮捕の報告を受けた岡島巡査の母親が、刑事たちに向かって叫びます。

「返して……あの子を返して!」

そりゃそうですよね。お母さんにとっては誰が真犯人だろうと関係ない。それより息子を見殺しにした警察組織の方がよっぽど憎いって事でしょう。

帰りの車を運転しながら、沢木がまた愚痴をこぼします。

「オレが死んだら、クニのお袋が悲しむだろうな……やだなあ」

助手席に鎮座する全身刑事マシーン=加納主任がそれを聞き、苦虫を噛み潰したような顔で煙草を吸い始めたところで、あの名珍曲『君は人のために死ねるか』が流れてドラマは幕を下ろします。

このラストシーン、後に沢木が殉職しちゃうことを踏まえて観ると、非常に味わい深いものがあります。この時点じゃまだ、彼を死なせるプランは無かったと思われますが。

いずれにせよ警察官の殉職はこのドラマのメインテーマとも言えるもので、主題歌のタイトルがストレートにそれを物語ってます。第1話では加納主任が「人のために」命を捨てようとし、今回は岡島巡査が、そして後に沢木刑事が……

そういうドラマはやっぱり見応えあります。『MIU404』では最初の24時間しか捜査を担当せず、あとは所轄に全てを引き継ぐ機動捜査隊の現実が描かれ、事件解決まで何日でも活躍しちゃう『大捜査線』の四機捜はあり得ないことが暴露されたけど、357マグナムを撃ちまくってる時点でファンタジーなんだから別にいいんですw

今回の加納はまだ大人しい方で、許せない悪に対する容赦ない彼の暴力制裁は、ふだん「いけ! ぶっ殺せ!」とか言ってる私ですら目を覆うほど凄まじくw、いろんな意味で現在のテレビ番組じゃ見られないものです。

だけど、世の中の悪に対する創り手の怒り、すなわち熱い魂がこもってる点でも『MIU404』は『大捜査線』とよく似てた気がします。野木亜紀子さん、マジで意識されてたのかも???

ちなみに『大捜査線シリーズ/追跡』の後番組は、宮内淳さんが実質の主役を演じられたキャンパス・アクションコメディー『探偵同盟』でした。
 

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『俺たちはあぶなくない』2020

2020-09-20 00:00:02 | 刑事ドラマ HISTORY










 
『クールにさぼる刑事たち』というサブタイトルがついてます。2020年の秋シーズン、毎日放送といくつかの関東ローカル局の深夜枠「ドラマ特区」でスタートした、毎日放送&TBSスパークルの制作による30分ドラマ。

☆☆☆☆☆☆☆

令和2年。日本人の多くにも、令和の生き方というものが身についてきた頃だろう。令和の生き方とはずばり“コスパを重視”すること。昭和の刑事は熱かった。平成の刑事は下り坂でも世のため人のために踏ん張った。でも令和の刑事は、見切っている! これからの自分の未来と平和のために戦うのだ!

人生百年時代の若者は、あぶない橋を渡らない。己のライフスタイルを守るのが彼らの正義なのである! そう、このドラマは全く“あぶなくない刑事”を描く、新時代のポリス・コメデイである!

(公式ホームページより抜粋)

☆☆☆☆☆☆☆

警視庁・麻布中央警察署に勤める、ラクして出世することしか考えてない世渡り上手の若手刑事=高野心に鈴木伸之、その相棒で推理力抜群なのに転職したくて仕方がない若手刑事=世中渡に佐野勇斗。

そんな2人を許せない先輩刑事に矢野聖人、その相棒に猪野広樹、刑事課長に井上肇、署長に近江谷太朗、そして高野に高級スイーツと引換えに情報を提供する内勤婦警=宇和佐好江に三吉彩花、といったレギュラーキャスト陣。

バディー物の刑事ドラマがやたら続きますが、そのうち『MIU404』と『キワドい2人』は本作と同じTBSスパークルが制作に絡んでおり、何か意図があっての連作と思われるので、世間で流行ってるワケじゃなさそうです。

その中じゃダントツで『MIU404』が面白かったけど、後は日テレの『未満警察』も含め「なんだかなあ」と言わざるを得ないものばかり。連ドラにとって脚本がいかに大切かをあらためて痛感します。

この『俺たちはあぶなくない』は、刑事物なんか好きでも何でもない若いクリエイターたちが、呑み会の席で「こんな刑事が主人公だったら面白くね?」「新しいんじゃね?」「若いイケメンにやらせたら可愛いんじゃね?」「女子にウケんじゃね?」みたいに盛り上がったものを、酔いが醒めないまま実行して世間に出しちゃった、みたいな企画だと私は感じました。

要領のいい主役コンビがいつもサボってるのを、運が悪すぎる刑事って設定の矢野聖人くんが何とか暴こうとするんだけど、やることなすこと裏目に出て結局は彼らに手柄を立てさせちゃう、ってなパターンをどうやら毎週繰り返すみたいです。

確かにイケメン好きの女子たちにはウケるかも知れないけど、そんなのは別に新しくも何ともない。今まで誰もやらなかったのは思いつかなかったからじゃなくて、やっても大して面白くならないことを皆が分かってたから。まあ、酔った勢いで創っちゃったなら仕方ありません。

矢野くんの運が悪すぎるっていう描写にしても、こっそり犯人に近づこうとしたら知り合いに「あ、刑事さん」って声を掛けられちゃうという、誰でも思いつくようなネタを初回だけで2回も使ってる。繰り返し(天ぷら?天丼?)のギャグだとしても発想が貧困で、アイデアを練りに練った結果とは到底思えません。酔っぱらってる人達に文句言っても仕方ないんだけど。

なにより解せないのは、そんな安易としか言いようがない番組に、三吉彩花さんが決して大きくない役でレギュラー出演されてること。矢口史靖監督の大作映画で主役を張られたメジャー女優さんが、一体なぜ? 酔った勢いで引き受けちゃったとしか考えられません。

そんなワケで、こんなドラマに三吉彩花さんが出てる!ってこと以外には、特に見所はありません。やっぱり仕事はシラフでやらなきゃいけないっていう教訓です。
 

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『Gメン'75』#240

2020-09-17 00:00:17 | 刑事ドラマ'80年代










 
☆第240話『'80新春おせち料理毒殺事件』

(1980.1.5.OA/脚本=高久進/監督=鷹森立一)

こちらは『Gメン'75』の1980年・正月第1弾。前回レビューした『太陽にほえろ!』#388の翌日に放映された作品です。

'80年代最初のお正月、本部で呑気に新春パーティーを開いていたGメンたちは、おせち料理に仕込まれた多量の青酸ソーダにより、危うくみんなで大霊界へと旅立ちそうになります。

おせちを持って来たのは田口刑事(千葉 裕)がよく通う喫茶店「柿の木」を経営する水上牧子(鳥居恵子)と亜子(遠藤真理子)の美人姉妹なんだけど、実際に料理したのは臨時で雇ったアルバイトの老婆だという。

自らバイト志願して来たその老婆を、名前も聞かずに雇った水上姉妹の大雑把さに呆れつつ、田口はじめGメンの若手刑事たちは必死に老婆の行方を探します。

一方、本部に残った黒木警視正(丹波哲郎)らベテラン勢は、おせちパーティーに備えて朝から何も食べてないもんでお腹がすき、出前の蕎麦を注文したらまた青酸ソーダが盛られてるもんだから驚いた!

その蕎麦屋もやはりバイト志願の老婆を雇っており、店主の証言から犯人は田中ヨシ(武知牡代子)と判明。彼女はかつて南雲警視(川津祐介)が捜査に参加した密輸事件で、運び屋として逮捕された男の母親なのでした。

Gメンたちはヨシを本部に連行し、地下取調室という名の拷問部屋で「青酸ソーダ入りのお茶を飲ませるぞ」と脅しw、犯行動機を吐かせます。

ヨシの息子は密輸品とは知らずに運ばされただけなのに逮捕され、それで人生が狂って自殺してしまった。その一方で輸送を命じた偉い連中(どうやら政府関係者らしい)には捜査が及ばず、未だ野放しのまま。ヨシは「日本という国を良くするため」に復讐を誓ったのでした。

「だから私たちは……」と言いかけて、ヨシは口をつぐみます。それで共犯者がいると睨んだGメンたちは、再び青酸ソーダ入りのお茶でヨシを拷問しw、ますます恨みを買う事になります。

共犯者の正体は、メッキ工場に勤めるヨシの孫娘、つまり自殺した男の娘である民子(沢井桃子)。喪服姿ですんなりGメン本部内に潜り込んだ民子は、黒木警視正と南雲警視に特濃青酸ソーダ水をぶっかけて大霊界送りにしようとするも、駆けつけた立花警部(若林 豪)たちに取り押さえられます。

「彼女たちの行為を、異常な行動と片付けるのは容易い。しかし、そう片付けてしまうことの出来ない、何かがある……」

黒木警視正はナレーションでしんみりとそう語るんだけど、直後のシーンで部下たちを全員引き連れ、喫茶「柿の木」で新春パーティーを仕切り直し、満面の笑顔でおせち料理を食い荒らすのでしたw(おわり)


前回レビューの『太陽にほえろ!』#388が「雑」な出来だと書きましたけど、『Gメン'75』の強引さと大雑把さに比べれば、全てのエピソードが緻密かつ繊細と言えそうですw

Gメンたちが最初に毒殺を免れたのは、島谷刑事(宮内 洋)が連れて来た野良猫がおせちを先に食べて死んだから。新春パーティーとはいえ野良猫をなぜ刑事部屋に連れて来る!?w

で、その次に青酸入り料理に気づいたのは、田口刑事が背広のポケットに入れてたハムスターが先に食べて死んだからw なぜ刑事がハムスターを連れ歩く!?w しかも、その死体を水上姉妹が道路へ投げ捨てて、それを食べようとした野良犬まで死んでしまう!w 現在なら動物愛護協会が抗議するより前に「炎上」必至でしょう。

横暴な国家権力に対する風刺を込めながら、主人公たちには青酸ソーダで老人を拷問させるというw、ある意味スジの通った警察描写もまた『太陽にほえろ!』じゃまず見られない「Gメン節」と言えましょう。

『Gメン~』も時代と共に作風が随分と軽くなって来たけど、根本はやっぱりハードボイルドなんですよね。やってることが正しいかどうかは別にしてw

国家権力の犠牲者に哀しい手錠を打った直後、おせちを食らってドンチャン騒ぎするGメンたちといいw、モラルに囚われすぎて身動き取れなくなってる七曲署とは何から何まで対照的。本放映当時はほとんど無視してた番組だけど、今となってはこの自由さが羨ましく思えてなりません。

セクシーショットは、田口刑事と恋仲になりそうでならない水上姉妹の妹=亜子役でセミレギュラー出演されてた遠藤真理子さん、当時19歳。

15歳の時にNHKの少年ドラマシリーズ『末っ子物語』と『ジュンのあした』で主役を演じられ、以降、現在に至るまで数多くのTVドラマ、そして舞台に出演されてます。

刑事ドラマは『夜明けの刑事』『噂の刑事トミーとマツ』『特捜最前線』『刑事物語'85』『はぐれ刑事純情派』等にゲスト出演。亜子役の他にもゲストで何度も呼ばれた『Gメン'75』は間違いなく最多出演作であろうと思われます。
 

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