古希からの田舎暮らし

古希近くなってから都市近郊に小さな家を建てて移り住む。田舎にとけこんでゆく日々の暮らしぶりをお伝えします。

『れくいえむ』(郷 静子)と出会いました。

2012年03月20日 03時13分56秒 | 古希からの田舎暮らし 80歳から
                
 今年もシイタケが採れはじめました。裏山のホダ木置き場にホダ木を10本買い足しました。先日採ったシイタケを写真に撮りました。
 図書館の大型活字本コーナーで母・妙子さん用の本を漁っていたとき、ふっと手がいって『れくいえむ』(郷 静子)という本を借りました。いままで知らなかった本でしたが、昭和47年に出た芥川賞をもらった作品です。読んでぼくの中の針が大きく振れました。
 これはひと口でいうと「軍国少女の渾身の声」です。昭和一桁生まれの人たちが、愛国少年として予科練に志願し、陸軍幼年学校に行き、満蒙開拓青少年義勇軍に志願した、その世代の少年たちと同じ思いであの戦争に打ち込んだ愛国少女の血を吐くようなことばがつづられています。読み終わって、ただ「読んだ」でなく、「出会った」という思いです。返すまでにもう一度読み返すつもりです。
 中味についてはまた思いがかたちになってから書きます。いまは「ぼくの針が大きく振れた本」のことを書きます。
○ 『長い道』(柏木兵三)……田舎に縁故疎開をした小学校6年生の男の子の物語です。図書館の普通の書棚には見当たらないようですが、大型活字本の棚にはあります。(三木でも神戸の大倉山でも)疎開した男の子の視点で、淡々とした筆致で子どもの世界を描いています。疎開したよそ者、仲間はずれ、いじめ、おべんちゃら、ボスなどが生きて立ち上がり、迫ってきます。三度借りて読み返しましたが、手元に置きたくて<スーパー源氏>で古本を入手しました。
○ 『終らざる夏』(加賀乙彦)……昭和4年に生まれ、陸軍幼年学校に進んだ作家の等身大の自画像のような作品です。この本も大型活字本で大倉山図書館にも三木図書館にもあり、三度借りて読み返しています。手元に置きたい本ですがまだ入手していません。主人公は敗戦の直後に殉死する筋書きになっていますが、あの戦争にめり込んだ少年が、敗戦後に生き直すためには一度死なねばならなかったのが痛いほど伝わります。予科練に志願した城山三郎も敗戦後「私は廃墟になって生きた」と書いています。(『そうか。きみはもういないのか』)
○ 『ルソンの谷間』(江崎 誠致)……昭和20年8月の敗戦直前、ルソン島の山中を逃げまどう日本兵部隊の様子を書いています。切れ味のいい彫刻刀で刻んだような描写が戦争をあますところなく伝えます。三度借りて読みましたが、やはり手元に置きたい本で<スーパー源氏>(古本屋さん)で入手しました。
○ 『大地の余燼』嚮導指訓第四期生記録文集……満蒙開拓青少年義勇軍に志願した14歳の少年たちは、茨城県内原の訓練所で二ヵ月の訓練を受けた後「満州」(当時の呼び方)に渡り、ソ連との国境付近の開拓地に配置されました。その少年たちの中から推薦され選抜された者たちが集る「嚮導訓練所」がハルビンにつくられました。これはその少年たちの回想集ですが、愛国に燃える少年群像が生き生きと立ち上がります。入手はむずかしいです。
コメント
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