映画『博士の愛した数式』を観ました。
監督は小泉堯史。主演は寺尾聰、深津絵里。原作は第一回本屋大賞を受賞した小川洋子さんの同名小説。
まず、感動というより感謝でした☆
こんな美しい数学という世界を見せてくれてありがとう♪
交通事故で記憶が80分しかもたない老数学教授に寺尾聰。その家に家政婦としてやって来るシングルマザーの女性役に深津絵里。
この数学教授=博士の語る数学の世界のなんて魅力的なこと!
家政婦さんの一人息子で、頭の形が似ていると博士に√(ルート)と名付けられる少年がいて、彼が成長して数学の先生になっているという出だしも原作にはなかったので驚いたけれど、博士の義理のお姉さんの存在がクローズアップされていたのも驚き!
美しい風景の映像や、いつも聞こえる鳥の声など、映画ならではの演出、この監督さんの持ち味がしっかり自己主張していて、ただ原作をなぞっただけじゃない、映画化するっていうのはこういう風にやらなくちゃ、と思わず最近の原作持ち映画の監督さんに言いたくなるくらいしっかりした作りでした。
小説と映画は違うってことを、いい意味で感じました。
ルートの成長した姿を吉岡秀隆(「北の国から」のじゅん役♪)が演じていて、数学の先生になった彼が物語の語り手として、またストーリーに登場する数式の数々を生徒たちに説明するという演出もよかった♪
難しくなりそうな数学の言葉が素直に頭の中に入ってきて、あんな数学の授業だったら受けたいと思うほど☆
記憶がある時点で止まってしまい、新しい記憶は80分ごとに消えてしまう博士と、その身の回りの世話をする家政婦との会話。
確かに普通の映画みたいな盛り上がりはないし、一見わかりにくいようなシーンもあるけれど、そういう演出が原作の魅力をよく引き出すためにわざと使われている感じ。
空気を察するとか、一を見て十を知る、というような、想像力を使う映画かな。
言葉で説明できないものを映画で表現するという仕事を久しぶりに見ました☆
朝目覚めるたびに、自分の記憶が80分しかもたない、ということを毎日初めて知らされ、苦悩する博士の姿…
そんな博士が語る無限に広がる数と数の不思議な世界…
原作とはまた違った魅力を持つ一本の映画。この監督さんの独特のリズムに乗れれば、面白いと思います。
最後に寺尾聰演じる博士が着る背番号28、江夏と同じ番号をつけたジャンパー。
これだけは似合っていなかった。残念(笑)