今日は一日雪降りでした。
ボタ雪って久しぶり。
帰りにスーパーに寄ったら「鬼まんじゅう」が売っていたので、衝動買いしてしまいました。
私の前にいた主婦の方が、みたらし団子やまんじゅうなどを大量に買い込み、しばらく待たされたので、お店のおじさんが気を使ってきなこ餅をサービスしてくれました♪
こういうの嬉しい☆
ついでに本屋さんにも寄って来ました。
先日発表された芥川賞、直木賞の受賞作がさっそく並べられていて、買い求めるお客さんもけっこういました。
読んだのは第146回直木賞を受賞した、葉室麟さんの、
『蜩の記』(祥伝社)
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蜩ノ記 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:2011-10-26 |
時代小説ですが、不覚にも2回ほど感きわまって泣きそうになりました。
よかった~
「蜩(ひぐらし)」とはセミの一種。「カナカナカナ」と鳴き、このセミが鳴き出すと夏も終わりを迎えます。
舞台は九州。城内で不本意ながら刃傷沙汰を起こした青年、檀野庄三郎(だんのしょうざぶろう)は、その罪を減じるかわりに、山奥の小さな村に幽閉中の元郡奉行(こおりぶぎょう)、戸田秋谷(とだしゅうこく)の元へ送られます。
この秋谷は七年前、とある罪を犯して切腹を命じられているのですが、家譜編纂という藩の歴史を編纂する仕事をまかされ、十年の猶予を与えられていました。
つまり、あと三年経ったら、秋谷は切腹しなければならないのです!
庄三郎の役目は表向きは秋谷の家譜編纂を助けるというものですが、実際は秋谷を監視し、その仕事内容を確かめ、万一逃走の気配があれば切り捨てるというもの。それも、妻や子供もろとも…
幽閉中の寒村で、慎ましく暮らすこの秋谷の家族がいいんです!
夫を信頼し子供らを愛する秋谷の妻。
病弱な母を助ける娘の薫。
その弟で村の子供と遊んだりもしている長男郁太郎。
切腹の日が一日一日近づいているにもかかわらず、淡々と資料をめくり、家譜編纂にいそしむ秋谷。
まだ幼さの残る郁太郎の言動に笑いあう母と娘。
村の百姓たちも秋谷を頼って相談に訪れます。
質素な食事。家族の団欒。人々との触れ合い。
その人柄に触れた庄三郎は、しだいに秋谷という生き方に惹かれていきます。
七年前の事件の真相。
隠された秘密。
農民たちの不穏な動き。
家譜編纂を行う秋谷と藩の秘密を結びつけるやり方は、ちょっと強引な気もしましたが、とにかく人間がすごく生き生きと描かれていました!
この秋谷という人の生き方には共感できる部分がたくさんあって、三年後の切腹という事実があっても、何とかハッピーエンドを願ってしまう…
しかも後半、意外な人物の意外な行動で、意外な展開をみせるんです!(これじゃさっぱり訳が分かりませんね)
ハァ、感情をゆさぶられすぎて疲れてしまった…
水戸黄門や暴れん坊将軍(すごいタイトルだな…)に慣れてしまっていて、バッタバッタ人が切られる時代劇くらいしか知らない私には、百姓一人の命をしっかりと見つめ、”人間”を描いた葉室麟さんのこの「蜩の記」は衝撃でした。
考えてみたら、すごく当たり前なんですよね。
我々が「世の中の仕組み」と考えているものは、後の世では変わるかも知れない。そのために、かつて何があったのかを書き残すのだ…
いい読書ができました☆