公開されたばかりのアニメーション映画、細田守監督の
『おおかみこどもの雨と雪』
を映画館で観て来ました♪
いやぁ、泣いた。
泣いてしまった。
おおかみ男に恋をして、やがて二人の子供を産む大学生の女の子、「花」の声を宮崎あおい。
彼女が愛したおおかみ男の声を、大沢たかおさんが演じてみえます♪
最初はこの二人がどうやって出会って、どんな風に愛し合って、そして子供が生まれ、どうして父親がいなくなったのかが描かれるため、抱き合うシーンなんかがあって、子供連れの観客にはちょっと気まずい(苦笑)
でも、こうやって世界中の子供が生まれてきているわけですからね。
そして同時に、誰も避けて通れないのが「死」
人間を、生き物を描くのに、「生」と「死」は避けては通れない道なんでしょうね…
アニメ作品なのに子供向けの無難な作品にせず、きっちりそういう所も描いていて、監督のこの作品にかける意気込みみたいなものを感じました。
子育てシーンは、もう本当に大変で、おおかみこどもならではの笑いもありますが、夜泣きしたり、すぐ吐いたり、もう一人で頑張る「花」が見ていられない。
疲れきっていねむりしたり、夜中病院を探して走り回ったり、出生が出生なだけに、気軽に医者にも診せれなくって、しだいに追い詰められていく「花」…
おおかみの血を引く姉弟、「雪」に「雨」の性格設定も見事で、気の強いお姉ちゃんに、気の弱い引っ込み思案な弟という対比が後半の二人の決断を際立たせていました。
オオカミとして生きるのか…
それとも、
人間として生きるのか…
「元気で! しっかり生きて!」
巣立っていく我が子にかける「花」のセリフを聞いたとたん、ジワッとこみあげてくるものが!!
…ここから少々ネタバレを含むグチを書きます。
知りたくない人はここから先は読まないで下さいね。
子供の成長、親になる覚悟、母親の姿という、描きたいテーマはよくわかるし、そのメッセージを伝えるうえで、「おおかみ男との恋」という設定は確かに面白いし、功を奏している面もあります。
「おおかみ男」の最後がちょっとあいまいだったり、「雪」の異性を意識し始めたらしい小学生とは思えない言動も少々気になりますが、それは小さなこと。
一番気になったのは、「花」自身の人生です。
子育て=自分の人生
みたいなところがあって、ジェンダーな部分にうるさい私にはどうしても引っかかってしまう。
そりゃあ、子供二人抱えて生きていくのは大変です。
自分の夢を実現しながらこなせるほど、子育ては甘くはないでしょう。
でも、でも、一人で育てる決心をした割には、「花」ってけっこう考えなしだし、いろいろ危なっかしいし、いつ破綻してもおかしくない人生設計なんです。
だいたい、いくら過疎の村だからって、「花」に言い寄る若い男の一人や二人いないのはおかしい…ずっと一人の男を愛してなきゃいけないの?
なぁんて、ちょっと製作者側の「男の理想」を感じてしまう(苦笑)
ラスト、子供たちを見送った「花」が、自分の好きなことに打ち込む描写を入れて欲しかった(もしかしたら将来的にはそうなるかも知れないけれど、映画では言及されません)
言い方がとっても難しいのですが、「花」も、子供や愛するおおかみ男(故人)とのつながりを大切にしながら、いち個人として独立した人間であって欲しいんです。
「いいお母さん」以外の人生もあるという、「大人」として「人間」として、人生を生きる「花」の姿が見てみたかった。
映画を観て、ボロボロ泣いている男がいってもあまり説得力はありませんけどね♪
エンターティメントを狙った娯楽作品ではありません。
そういった作品ではありませんが、人間を描いた作品として、とって面白かったです。
おおかみこどもを使って人間を描くというある意味逆転の発想がこんなにうまくいくなんて!
やっぱりこの映画の見所は、その着眼点のすごさですね。
細田監督の出身地で、今回の舞台のモデルともなった富山県の自然も美しかった。
エンディングに流れるアン・サリーさんの歌う「おかあさんの唄」もとても耳に残りました。
いろいろ書きましたが、感情に訴えてくるいい映画だったと思います。
あー面白かった☆