食べることが大好きで、次から次に口に運んでむせてしまう利用者さんに、茶碗をやめてプレート皿で食事を提供してみました。
研修で事例として同じような状況が紹介されていたので。
ところがこれが大失敗。
利き腕の右手に麻痺があるので、左手でスプーンを使ってもらっているのですが、奥に置いた食材が全部手前にきてしまい、結局グチャグチャ。
ひと口ひと口の量は少なくなるので(お皿が浅いので)むせることは少ないのですが、それがもどかしいのか、あせってスプーンを動かしかえってこぼす量が増えてしまいました。
うまくいきませんね〜
これまではスプーンですくいやすい浅めの皿に一品一品入れて提供していたのですが、それを面倒がる介護スタッフが一度に何品もお皿に入れてグチャグチャにするので、それを防ぐ意味でもプレート皿を使いたかったんです。
本当ならそんなスタッフをちゃんと教育しなくちゃいけないのですが、残念ながらそんなことをするのは先輩や上司といった長年介護の仕事をしてきた人たちばかり。
時間をいかに短く、手間をかけない介護、が身についちゃった人たちなんですよね。
こんなことがありました。
おやつの時間。
認知症があって数分前のことも忘れてしまう利用者さんが、糖尿病があって甘い物に制限がある、こちらも家族の顔さえわからない認知症の利用者さんに、自分のお菓子を渡してしまいました。
本人は「おすそわけ」したつもりで、良かれと思ってしたことです。
それを見ていたベテランスタッフが、何も言わず利用者さんからそのお菓子をパッと取り上げました。
いきなりお菓子を奪われた利用者さんは「あれ!」と驚きの声をあげます。
そりゃそうですよ! 見ていたこっちもびっくりです!
いくらすぐに忘れてしまう、説明しても理解できない、本人の体のことを考えて、のことだとしてもあまりに乱暴。人権無視。
もうね、悲しくなるくらい「業務」としてしかお年寄りを見れない人が多すぎる。
ついこの前、認知症はなくて、足が不自由な利用者さんがいっていました。
「ここは広くて明るくてキレイだけれど、年寄りを閉じ込めておく刑務所ね」
スタッフはさしずめ刑務所の監視員ですかね・・・
もちろんこんな施設ばかりじゃありませんし、うちの施設もこんな人ばかりじゃありません。
ただ、ベテランさんには多いかな、仕事は早いけれど、介護じゃなくて業務をしているスタッフさん。
適切な例ではないかも知れないけれど、ナチスドイツのアイヒマンや、ミルグラム実験でわかるように、その状況に置かれた人間って、倫理や道徳観念がマヒして、「仕事」としてならどんなに非人道的な行為でもやっちゃうんですよね。介護だけでなく、どんな仕事でも。
多分、家では子供を心配するいいお母さんなんだろうし、子猫が道に飛び出せば助けようとする心の持ち主だったりするんでしょうけど。
自分はどうかな?
そんな人間になってやしないかな?
次は回想法の手助けとして、図書館で借りてきたDVDを流す予定です。
地元の観光や産業、歴史について紹介している地味な映像ですが(苦笑)
あとトイレの場所がわからなくてゴミ箱に放尿しちゃうおばあちゃん向けに、トイレ表示を工夫したいし、部屋の場所がわかるように扉にも目印をつけたい(古いポスターを貼りたいので古本屋で探してくる予定)
レクリエーションのネタも新しいものを作りたいし、芋掘りの時の写真も印刷して居室に貼らなくちゃ。
録画なんですけど、認知症なのでリアルタイムだと勘違いされがちです(笑)
仕事なのである程度の「早さ」を求められることはしょうがないんですけどね〜
人手不足でいっぱいいっぱいなのもわかりますし。
でも私は負けず嫌いなので(苦笑)厳しい条件の時ほど逆に頑張れるってところもあります。
逆境に燃えるタイプなので!
時間も体力も有限ですからね。
自分に恥じない生き方をしたいと思うか否か・・・
入居者さん達、紅白歌合戦の録画みるの大好きでしたよ。
大昔、母の病室の目印にしていた小さな人形、今でも、くちこ家の二階廊下に飾っています。