朝から雨だと思っていたが、まだ降ってはいなかったので、南高梅の実のつき具合を見回っている時だった。
視野に動くものが入ったので、何気なくみたら、こちらに向かってくる動物だった。
しばらく静観していると、立っている自分に3~4メートルのところまで近づいてきて、やっと気づいてくれた。立ち止まり、自分をじっと凝視し始めた。
・・・・・・・
気づいたら逃げると思っていただけに、一瞬、自分の方がたじろいだ。
瞬時にいろんなことが脳裏をよぎった。
「顔や形からすると、イタチに間違いない」
「イタチって狂暴だったかなあ?」
「人をみたら逃げるはず。でも、対峙したままで逃げようともしない」
「大声を出したら逃げるかもしれない。でも、万一、飛び掛かってきたらどうしよう?」
「目をそらしたらアカン」
「自分は素手。棒を探している余裕はない」
「万一、飛び掛かってきたら、足でキックするしかない・・・」
その間、奴は警戒するかのように「キッキッ」という鳴き声を何度も発し始めた。自分は無言で凝視していた。
しばらく睨み合いが続いた後、奴は「キッキッ」と鳴きながら、方向を変え用水路に向かって悠然と歩き出した。
その間に、畑にあった鉄パイプをつかみ追い立てると、足早に用水路に消えて行った。
「ホッ」とした。
スマホを持っていなかったので、奴の姿は映せなかった。でも、持っていたとしても、とても映している余裕はなかった。
<2018/6撮影 アライグマ捕獲器に入ったイタチ>
対峙したイタチの後ろ姿は、もっと丸々と太っていて大きかった。
初めての体験だった。