10月3日(木)。早朝。ここまで飼育できているクロアゲハの幼虫は一匹。たった一匹が残っただけ。見ると,飼育ケースの底で蛹になって横たわっていました。
蛹化して時間がそれほど時間が経っていないようで,指先を触れると柔らかいからだが窪みました。それに,腹端がわずかに動きました。
結局,この個体が最後に孵化した幼虫だとすると,それが孵化したのは9月14日の深夜。それから勘案すると,孵化から蛹化完了までは18日と6時間ほどだったと思われます。この幼虫,このまま越冬するのでしょうか。
10月3日(木)。早朝。ここまで飼育できているクロアゲハの幼虫は一匹。たった一匹が残っただけ。見ると,飼育ケースの底で蛹になって横たわっていました。
蛹化して時間がそれほど時間が経っていないようで,指先を触れると柔らかいからだが窪みました。それに,腹端がわずかに動きました。
結局,この個体が最後に孵化した幼虫だとすると,それが孵化したのは9月14日の深夜。それから勘案すると,孵化から蛹化完了までは18日と6時間ほどだったと思われます。この幼虫,このまま越冬するのでしょうか。
9月13日(金),夜。産付後106時間が経過。ドクダミの葉裏の卵が孵化。幼虫は卵殻を食べているところでした。
卵の直径は1mm。幼虫の頭部はそれよりずっと小さく,そこに顎や側単眼,アンテナ,機械感覚毛,それに胸脚などが手に取るように見えています。
9月14日(土)。日付が変わりました。午前0時半。残りの卵はナンテンのもの一つ。見ると,幼虫が孵化し終えたばかり。
幼虫は向きを卵殻の方に変えて,それを食べ始めました。
結局産付後,早いもので80時間,遅いもので110時間が経過。かなりバラツキがあることがわかります。今回の観察・撮影は偶然の目撃から始まりました。とてもラッキーでした。
9月13日(金)。昼で産付後96時間が経過。この時点で孵化済みは一つだけ。
98時間後。見ると,別の卵が一個孵化し,幼虫が殻を食べているところでした。これはツゲの葉裏のもの。
殻を食べ尽くすと,柑橘類の葉を準備しなくてはなりません。
これから10分程して次の卵が孵化。これはキンカンの葉裏のもの。
見る見るうちに穴が大きくなっていく感じです。
一休みすることなく,さっさと出て来ます。
こちら向きに動くので,ピントがなんとも合わしづらいですね。
着地すると,そのままこちらに向かって来ました。
昼間にこうした変化を観察できるのはありがたいばかり。
さて,孵化第一号の幼虫について記事にします。
上からも葉がかぶさるような格好になっているので,こうやって横方向に殻に穴を開けなくてはならないようです。
誕生時にこれだけ近接撮影するのはあまりないこと。
こちらに向かって出て来る格好になりました。
ぐうっと身を乗り出しています。
着地しようとする姿はいつものとおり。
着地。からだの後方はまだ殻の中です。
出終わると,殻に向かって移動。もちろん,それを食するために。
アップ写真はなかなか迫力があるでしょう。動きがあるのでピント合わせで多少苦労します。ピンボケ写真が何枚も出てしまいました。
9月10日(火)。産付後24時間経過。キンカンの葉裏の卵です。
ツゲの葉裏の卵です。
9月11日(水)。産付後48時間経過。キンカンの葉裏のもの。紋様がはっきりしてきました。
9月12日(木)。夜。産付後,80時間。一つの卵で孵化が始まりました。
今回は限りなく近づいて撮ることに。赤い顎がくっきり。
後方では突起が出ています。穴は横方向に開けられてゆきます。
さあ,いよいよ誕生の瞬間。これについては次回に報告します。
同じ時刻,他の卵はすべて誕生近しというところ。体毛が見えます。顎も見えます。つまり頭部を見ていることになります。
9月9日(月)。月曜日なので仕事は休み。今日の大仕事はアゲハの庭園で敷石をコンクリートで固定すること。作業を進めているとき,キンカンの木にクロアゲハが訪れ,産卵場所を探している様子です。新芽は少ないのでどうなるかと見守っていると,産卵!
行方を追っていると,葉の下の陰に入りました。おかしいなと思っていると,木の根元付近で産卵する姿が! それはドクダミの葉です。
その後,すぐ傍のツゲの枝にとまって,同じように産卵ポーズ。さらにその後,根元に生えたナンテンでも産卵ポーズ。
クロアゲハが去った後確認しました。ドクダミに卵が!
ツゲの葉裏にも卵!
そして,ナンテンも葉裏にも!
とにかくびっくりしました。木の枝の下,暗いところに産卵。それも幼虫の食樹ではない草木の葉。とてもふしぎです。アゲハは産卵場所を,前脚の先に生えた毛で感知するといわれています。今回の例は失敗例なのでしょうか。あるいは,"わざわざ例"なのでしょうか。孵化したばかりの幼虫には厳しい環境のはず。そんなことを考えると,そのファジーさに ,ふしぎ感しか生まれて来ません。
今回の目撃は偶然でしたが,びっくり情報です。当分,観察を続けます。
今年の夏はクロアゲハの孵化観察をたのしみました。おもしろいほどにたくさんの卵が産み付けられたお蔭です。
なかには,孵化直前のこんな幻想的な風景にも出合えました。これは葉の表側からフラッシュ光を当てたことによる効果です。
実際はこんな卵です。
若い葉の表に産み付けられた卵です。
孵化が近づいています。
すがたそのものは見えませんが,黒い影が中央付近にあります。
できるだけ丹念に変化を追っていると,いろんなチャンスに巡り合えます。観察を怠るわけにはいきません。
落下した卵のその後です。
しばらくして,孵化。見たのが孵化の終わりだけ。
脱出するまでにもたついている感じなので,反対側から見てみました。案の定,これではからだが脱し切れないはず。
からだにくっ付いて殻が動くのです。突起があるので,こうなるのはやむなしです。
葉に固定された卵から出るのは簡単。これに対して,自在に動く卵から出るのは至難。この事情を勘案すると,卵をしっかり葉面に固定するのがどんなに大事かが理解できます。
しかたがないので,指で幼虫を離してやりました。
卵内部に幼虫の姿が現れた翌朝。ときどき幼虫が動くのが見えます。
このとき,次のような事例を目撃しました。卵一つが付いた葉にアゲハの幼虫がやって来て,葉を食べかけました。そのまま放っておいたら,どんどん卵に近づいて来ました。
卵が落ちるまで食べないだろうなと思っていたら,そうではありませんでした。あっさり,卵部分を避けて葉をすっかり食べたのでした。無頓着! そのせいで卵は落下。
このとき思い浮かべたのがジャコウアゲハの場合。見ている限り,卵が落ちない食べ方をしていました。卵を単独で産付する,あるいは複数個かためて産み付ける,そういう生態が関係しているのかもしれません。ときには共食いをするジャコウアゲハが卵を避けているように見え,とても印象に残った記憶があります。
下写真は落下した卵です。
この観察事例からは,似たもの同士の行為が相手の死を招きうるということがわかります。
結局,翌日を迎えました。直接観察から見える事実は強し,です。孵化までにはまだまだ時間がかかりそう。
卵の直径は1.5mm。そんな世界の変化なのです。
よく見ると,黒っぽい影が現れています。
ほのかにぼんやりとした影です。
別の卵では,その影がかなりはっきり確認できます。中央付近からやや右上に向かった帯状の部分です。
この卵を真横から見ると,右側に影が。孵化に向かって確かな変化ぶりです。
夜,大変化が起こっているのを発見。紋様が消えて,幼虫の頭部が見えて来たのです。