地球にあしあと

地球の色々なところに足跡をつけてきました。

カミーノにあしあと 13

2010年09月22日 | Weblog
【13日目】7/8(木) Tosantos → Agés
朝、出発の準備はできたけど、スィナがもたもたしてるので手持ちぶさたにしていた。
他の巡礼者はもうほぼ全員出発済みで、ガランとした2階の部屋の窓から玄関付近を見下ろしてみると、なんとポーランド人のマリアがアルベルゲに向かって歩いてくるのを発見

思わず窓から大声で呼び、スィナにもマリアの到着を知らせ、急いで階下へ降りる。

マリアはTosantosより1つ手前のBeloradoに宿泊し、早朝に出発して今ここへ辿りついたらしい。
抱き合って再会を喜ぶ


アナマリアとマルゲリータは今日Burgos経由で帰国予定。
クリスティーナは2人にくっついてBurgosまで行き、そこからバスに乗って先まで行くとのことで、マリアは1人になっていた。

4日前、Navaretteで一緒にディナーした際、私とスィナは急いでアルベルゲに戻ったため夕食代を支払っていない。
たぶん立て替えてくれたのはアナマリアだと思うけど、同じポーランド人のよしみでマリアに返せばどうにかなるのではないかと思い支払いを申し出るが、マリアは必要ないと言う。
「その分他に困っている巡礼者がいた時に助けてあげて」とのこと。
う~ん、これぞ巡礼者スピリット

アナマリアにもお礼を言おうと思い、マリアから聞いた電話番号にかけてみるが、どうにもつながらなかった。


7:45にマリアと別れてアルベルゲを出発。
最初の休憩は3kmちょっと先のEpinosa del Caminoにて。
ここでもバルのテラスで他の巡礼者たちと情報交換する。
おのずと話題はこの先に待ち構えているメセタに及ぶ。

メセタとは木陰の無い乾いた高原で、約20kmに渡りバルもなく、水飲み場もなく、村も出てこないエリアが2か所ほどある。
そのエリアを通過する際には、十分な水と食料を持っていなければいけない。
みな、その過酷な行程について噂には聞いているので、戦々恐々としている

が、バルで居合わせたドイツ人女性の話によると、「去年の同じ時期にメセタを通ったけど、案外涼しかった。どちらかと言うと肌寒いくらいだった」とのこと。
メセタが涼しい?
にわかには信じがたい。

そうこうしているうちに、仲良くカミーノを歩いているスペイン人3兄弟や、デンマーク人やイタリア人が到着し、場が賑わう。
このデンマーク人とイタリア人は、巡礼の動機などを話し合っているうちに結構意気投合して楽しそうだった。

イタリア人のおじさんは政治家志望。
いつの間にか話題が犯罪とか法律の話に移り、デンマーク人が「全ての罪人にはカミーノを歩かせるといい!」と言えば、イタリア人が「それも往復ね!」と応じ、大いに盛り上がった。

このデンマーク人のポールとはこれを機に仲良くなり、一緒に歩いたりもすることとなる。



さて、木陰の無い乾いた道を歩き、11:00頃にVillafranca Montes de Ocaという村に至る。
暑くて疲れた~
バルでランチしよう。

Villafranca Montes de Ocaは人口200人程度の小さな村だけど、結構立派な教会もあり、アルベルゲも2軒あった。




教会のそばにちょっとこじゃれた感じのホテルがあったので、今日はそこでランチすることに。
カミーノ上では巡礼者の存在は認められているけど、やっぱりホテルなどに足を踏み入れるとちょっと緊張する。







ワンパターンだけど、ポテトのトルティーヤ(オムレツ)入りのボカディーヨとコーラ。




ボカディーヨは顔ぐらい大きい。





ランチしているとグナー並みに巨大なドイツ人が隣のテーブルにやってきた。
案の定スィナは嬉々としてドイツ語で話しだす。
どんだけ好きやねん、ドイツ人
グナーは体が大きすぎてアルベルゲのベッドから足がはみ出て寝心地悪そうにしてたけど、きっとこの人もそうなんだろうなあ。


この先当面水場もバルも出てこないので、ランチを終えてからホテルの前にいた子供に食料品店の場所を聞き、フルーツなどを購入。
重いけどしょうがない。
山の中で食べるフルーツは格別だし。

今日はほぼずっと緩やかな上り坂だったけど、ここから一気に傾斜がきつくなる。
森が出てきたのは嬉しいけど、目の前にそびえ立つ急な坂にげんなり





St. Juan de Ortegaまでの約12km、ほとんど水場もなく延々と道が続く。


17:00頃にSt. Juan de Ortegaに到着。
ここのアルベルゲはSopa de Ajo(ニンニクスープ)が有名なアルベルゲのため人気があるらしく、ベッドは1台しか空きがなかった。
仕方ないので次の村まで歩くことにする。

ひとまずバルで休憩していると、さっきの村で会ったドイツ人やポーランド人のマリア、カナダ人のエレナ、フランス人のマークなど顔見知りがたくさん。
みんな今日はここで宿泊らしい。

私がかなりぐったりしてるので、エレナが笑いながら「アイス買ってあげようか?」と。
一瞬心が動いたけど、大人なので自分で買いに行った。
もちろんスィナの分も。


コーラとポテトチップスとアイス(なんてジャンキーなんだ)で力をつけ、St. Juan de Ortegaの教会を見学してからいざ出発。
マリアとエレナには、明日Burgosで一緒にディナーをしようと約束する。

空は曇り、ポツポツと雨が降り出した
次の村へ到着するまでに本降りになるだろうか?


幸い雨はそれほど強くならなかったので、軽快に歩けた。
しかもSt. Juan de Ortegaを出てから次の村Agésまでの約3.6kmの道のりは、今まで以上に美しかった
そして今まで以上に蝶々が舞っている

途中、地元のパトロールの車が通りがかり何か問題はないかと聞いてくれる。
こういうのがあると安心して山道も歩けるね。
実は「ありがとうございます。問題ないです」と答えながら、心の中では「その車に乗せてくれよ~」と思ってるけど。


Agésは小さな村なのにアルベルゲが3軒もある。
ひとまずEl Pajarという私営のアルベルゲに入ってみる。

受付のオスピタレロ、英語は全く話さない。
そして早口のスペイン語でまくしたてる。
私よりスペイン語ができるスィナもその早さにはついていけず、半分ぐらいしか理解できない。

なぜかその場で支払いはなく、パスポートを預けさせられ、書類にサインさせられる。
良く分からないけどとりあえず案内されたベッドへ。

すると、私の部屋は私以外全員男子のようだった。
しかも誰かが勝手に私のベッドに座って携帯充電してるし…

スィナの部屋は逆に女性ばかり。
若い男の子が多かったので、騒がしかったら嫌だなと思いつつ、またあのスペイン語しか話さないオスピタレロと交渉して部屋を変えてもらうのもしんどいので、我慢することにした。

ここのアルベルゲは13ユーロと高めだったものの、シャワー設備はすばらしく、朝食もついていたのでよしとする。
あと、不織布みたいな素材でできた使い捨てのベッドカバーと枕カバーもくれた。

毎日汗とホコリまみれになって長距離を歩いてアルベルゲにたどり着くと、どんなアルベルゲでもベッドが空いているだけでありがたいし、シャワーが浴びられるだけでも幸せ
たとえシャワー室が汚くても、お湯の出が悪くても、1日のうちで本当に幸せを感じる瞬間。
なのに今日は奇麗なシャワー室で、お湯もふんだんに出る
ああ、贅沢


シャワーと洗濯を終えて階下へ降りると、キムがパソコンを使っていた
アルベルゲで使えるインターネットは、コインを入れて使うタイプのもの。
大抵1ユーロで20分ぐらいだけど、場所によって多少使える時間が違う。

キムが「今インターネット終わったけどまだ後3分残ってるの。使う?」と言ってきたので、「いや、いいよ」と断ったけど、「3分でいっぱいできるから!早く早く!」と席を譲ってくれた。
お言葉に甘えて私もメールチェック。
さすがに3分だとチェックするだけで終わってしまい、返信してる暇はなかったけど、満足。
ありがと、キム


ところでキムはなんと11:00にチェックインしたらしい。
私たち到着したの18:00ですけど…

キム曰く、「朝早く出発して、歩くのは早めに切り上げてあとはリラックスしたい」とのこと。
私とスィナがさっき到着したばかりだということに驚いていた。
「私たちは歩いている途中でリラックスするから。途中のバルで休憩して、他の巡礼者とおしゃべりしたり、川で遊んだり、楽しいよ」と言うと、キムは「うらやましいわ。今度あなたたちと一緒に歩いてみたいわ」と。
もちろんウェルカム!


シャワーと洗濯後、受付に行ってお金を払い、パスポートを返してもらう。
どうやらここのアルベルゲでは晩御飯を出してくれるそうだけど、2日連続アルベルゲディナーだった私とスィナは、今日こそはなんとしても外で食べたいと思ったので、必死にオスピタレロの誘いを断った。
かなり残念そうにされたけど、ここは譲れない。

アルベルゲディナーを断ったものの、本当に小さな村なのでディナー場所の選択肢はほぼない。
散々ウロウロした揚句、公営アルベルゲに併設のバルで9.5ユーロの巡礼者メニューを頂くことにした。
St. Juan de Ortegaで食べられなかったSopa de Ajoをここで注文。

ディナーで同席したのがポルトガルから来た母と息子。
お母さんの方は英語が分からないので、息子がいちいち優しく通訳してあげている。
息子の名前はヌノ。
20代後半だろうか。
結構かっこいい

この年で母親と一緒に旅してるって、ポルトガル人男性はイタリア人男性みたいな感じなのか?
でもヌノは何度もカミーノを歩いていて、冬場は一人でもしくは友人と、夏場は家族と歩くことにしているということなので、ちょっと安心。

カミーノ経験豊富なヌノによると、ここ数年アルベルゲの整備などが進んでおり、巡礼環境はかなり快適になってきているという。
10年ほど前まではアルベルゲの状態は本当にひどかったらしく、驚くことに公営より私営の方が汚くひどかったと。
それはびっくり。
もちろん今でも公営の方が必ずしも汚かったり古かったりするわけではないけど、全般的に私営の方が宿泊料が高いのでシャワー設備などが整っていたりすることが多い。

ヌノの話は色々と面白く、楽しいひとときだった。
スィナも「彼はキュートね」と気に入っていた。

ちなみにヌノがデザートに注文したアイスクリームは、見事に棒アイスだった


食後、外のテラスでコーヒーを飲む。
スィナは少し離れたところで息子と長電話しており、コーヒーがすっかり冷めていた。
ちなみにスィナは「私は日常を全てオランダに置いてきたから、カミーノでは一切インターネットとかしないの」と誇らしげにみんなに自慢しているが、1日何回も家族にSMSを送っており、私的には「どないやねん!」と思っている。


消灯時間より早く部屋に戻ると、真っ暗で1人おじさんが寝ていた。
あまり音を立てないように気をつけながら、ごそごそ寝る準備をしていると、そのおじさんがスペイン語でキレ気味に「静かにしてくれ!」と抗議してきた。
「…。すいません」と、やっていたことをあきらめてそっとベッドに横たわる。

でもまだ他のベッドの若者たち帰ってきてないんだけどな~。
彼らが戻ってきたら結構うるさいよ~。
と思っていたら、しばらくしてワイワイガヤガヤ男の子たちが帰ってきた。
おじさん、当然キレてそっちにも文句言う。
私、心の中で「オヤジ、ざまあみろ」と思う。

聖女への道はまだまだ遠そうだ




本日の歩行距離:約22km
本日の歩数:38,026歩