hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

青の炎

2010年09月19日 | 映画
 17歳の櫛森秀一は、女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。その平和な家庭に、母が10年前に再婚しすぐに別れた男が現れ、居座って傍若無人に振る舞い出した。
 警察も法律も家族の幸せを獲り返してはくれないことを知った秀一は自らの手でその男を葬ることを決意する。
 完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。

 ずい分前に原作を読みました。
 映画化になり、二宮が主役ということが始めから分かっていたので、そのつもりで読んでいたし、まぁ雰囲気も合っているのではないかと思っていたのですが・・・
 全体的にキャスティングが全くダメダメだったと思います。特に勝手に上がり込んできた男役が山本カンサイって・・・・でも、死に方は結構やるじゃん、と思わされましたが。
 二宮はきっと蜷川監督と舞台からの間柄だったせいで、きっと監督の期待に応えようとあのような演技だったのではと想像するのですが、感情を表に出しすぎる点が原作のイメージとかけ離れていました。殺しのシーンは(二度もあるのですが)なかなかイメージ通りで良かったのですが・・・
 死に方と殺し方に高い評価を下している私はちょっと変かも。
 原作での主人公はあまり感情を表に出しません。自分の心の奥底で怒りをためこみ、緻密な完全犯罪を静かに丁寧に計画していきます。だからこそのタイトル「青の炎」。このタイトルには彼の内から放たれる怒りと、殺人の決定的な方法から発するもの、の二つをかけていると思います。
 1人だけイメージ通りだったのは刑事役の中村梅雀。人の良さそうな柔らかいあたりのわりには、シャープな目を持っていて、じわりじわりと秀一の完全犯罪の綻びからくいこんでいき、真実をつきとめて行きます。
 全体的には無駄なシーンを省き、よいまとめ方ができていると思いましたが、自転車に乗っている秀一にもう少し語らせるとか、絵具を使ったトリックなどキーとなった部分ももう少し描写して欲しかったかな。
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