ヘレンは、待っていた。ベッドには、香しい薫が漂っている。パリスをベッドへと誘った。三日間連夜の同衾である。二人は、喜悦と陶酔の愛の行為を終えて、パリスは、ヘレンに小声でささやいた。ヘレンの耳朶に息を吹きかけながらのささやきは、ヘレンを妻とする計画である。ヘレンの手を引いてのスパルタからの脱出を、どのようにして実行するかを耳を通して、ヘレンの心にささやきいれた。ヘレンは肯いた。
パリスは、三日後の深夜にヘレンを迎えに来ることを約束した。ヘレンは、この誘いにのった。
夜が明けた。スパルタの原野を吹きぬけた風には、初秋の冷ややかさがあった。メネラオスの館を辞する日の朝である。パリスにとって、時の経つのがもどかしかった。朝食を終えて、辞するときとなった。三日間は短かった。そのことを別れの言葉としてメネラオスの館を離れた。
パリスは、三日後の深夜にヘレンを迎えに来ることを約束した。ヘレンは、この誘いにのった。
夜が明けた。スパルタの原野を吹きぬけた風には、初秋の冷ややかさがあった。メネラオスの館を辞する日の朝である。パリスにとって、時の経つのがもどかしかった。朝食を終えて、辞するときとなった。三日間は短かった。そのことを別れの言葉としてメネラオスの館を離れた。
