部屋は暗い。その闇の中に、ヘレンは待っていた。
パリスは、夜目が利く、隣のメネラオスの部屋へ入り見廻した。かなりの財宝が、部屋のあちこちにある。飾ってあるもの、床においてあるもの、パリスは、その財宝を、手当たり次第に持参した袋中に入れた。二つの袋は、それなりに膨らんだ。それを片手に持ち、ヘレンの手をひいて、暗闇の廊下を早足で、門の出口へむけて急いだ。とちゅう、犬の死体につまずいたようだ。二匹の犬は口から泡を吹いて、こと切れていた。二人は、出口の門扉を開いて外に出た。
二人は、ここまで一言の言葉を交わすことなく来た。パリスは、小声でヘレンに声をかけた。
『ヘレン!娘のヘルミオネは、どうするのだ。』
『ここに残していく!連れてはいかない。』
パリスは、夜目が利く、隣のメネラオスの部屋へ入り見廻した。かなりの財宝が、部屋のあちこちにある。飾ってあるもの、床においてあるもの、パリスは、その財宝を、手当たり次第に持参した袋中に入れた。二つの袋は、それなりに膨らんだ。それを片手に持ち、ヘレンの手をひいて、暗闇の廊下を早足で、門の出口へむけて急いだ。とちゅう、犬の死体につまずいたようだ。二匹の犬は口から泡を吹いて、こと切れていた。二人は、出口の門扉を開いて外に出た。
二人は、ここまで一言の言葉を交わすことなく来た。パリスは、小声でヘレンに声をかけた。
『ヘレン!娘のヘルミオネは、どうするのだ。』
『ここに残していく!連れてはいかない。』