『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第1章  二つの引き金  50

2007-05-25 10:53:58 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 時節は九月となっていた。これからは地中海からの南の風も吹く日がある季節を迎えようとしている。パリスは、この風に押されてトロイへ帰ろうとしている。
 パリスは、ヘレンを伴っての脱出行の思案に集中していた。メネラオスの館から船まで(約50キロメートルぐらい)の移動手段はどうするか。パリスの育ったトロイの土地柄のせいで馬の扱いについては慣れている。馬の早駆けで移動に費やす時間を把握した。スパルタ地内の道路状態に対する工夫も考えた。また、邸内のものに感づかれた場合の追っ手のことも考慮した。つぎに、出航する際の陸風の状態についても、エウロタス河の河口をはさんで三つの地点で出航予定時間に合わせて調べた。
 パリスの使用している船は、乗員20人~30人の一枚帆と漕ぎ座18の長い船であった。