第８章 休戦 １２

　アガメムノンは、会見を終えると、主だった将を集めて、事の次第を説明したあと、連合軍の意志を伝え、戦野における防衛の土木工事を命令した。
　トロイ軍の攻撃に備えて、ゲートを設けて防衛柵を構え、各所に櫓も作った。防衛柵の外側には、幅を広くとり、濠を掘って、濠の中には、多くの杭を打ち込み、水の入れることの出来る濠には、水をいれ、万全を期した。
　陽が西にかかる頃、工事を終えた。春宵は長い。レムノス島からの酒の売人たちの船が岸辺に着く。将兵たちは、彼等から、戦利品で酒を買い、牛羊を屠り、夕べの食宴を催し、休戦の満足を得て、寝に就いた。