『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第9章  戦闘再開  1

2007-12-07 07:33:07 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 戦野に朝が来る。休戦の終わりを告げる日の出である。突如として、あがる両軍の鬨の声、しじまを破り、鳥はとびたち、木々を震わせた。
 戦闘は開始された。両軍は、激しくぶつかり、怒号が飛び交い、干戈の打ち合う音が響き渡った。
 ヘクトルは、捨て身で軍団を励ました。連合軍を後退させるべく挑んでいった。トロイ軍が押している。ヘクトルの奮迅の働きが効を奏して、将兵たちは、勇み、奮い、押して押して押しまくった。トロイ軍の旗色が輝いた戦闘であった。
 両軍の死せる者、傷負いし者、その数多く、今日の激戦が偲ばれた。戦いすんで、日が暮れて、両軍とも武器を収めた。
 今日のヘクトルは、夜が更けても緊張を解かなかった。戦場に陣営を張り、連合軍を厳しく見張った。
 ヘクトルは、一日の土木工事で構築された防衛柵、櫓、濠に目を見張った。連合軍を押して、海に追い落とすことの難しさを痛感していた。
 星空の下、戦野の風は生臭い、その中にあって、彼は、脳しょうをしぼって考えた。