オデッセウスとデオメデスは、暗闇の中を忍んで、トラキア軍の野営陣に近づいて行く、見張りの者の有無を確かめた。トラキア軍も大胆である、見張りも立てずに寝ている、全く無防備な野営陣であった。二人は、陣中に入っていく、王レソスが近衛の将に囲まれて寝ている。二人に気付かない、剣を抜いた。叫び声をたてないように気配りをして、またたく間に12人の近衛の将の命を奪った。王レソスは、戦車の脇だ。二人は、瞬時に息の根を止めた。王の戦車の馬は、見事な白馬である。静かにつなぎ紐を解き、二人は、馬上の人となるや、自陣目指して疾駆した。野営陣を襲ってあげた戦果は大きかった。