オデッセウスは、周囲を見廻した、わずかの手勢と共に敵中に孤立していた。敵は、包囲を縮めてくる。彼は、血路を開こうと、敢然と向かい討った。倒れ行く敵将兵、間をおかずに攻め来る新手の兵、オデッセウスは息が切れてきた。彼は脇見をした、その隙を巧みに、敵兵の突き出した槍の穂先が胸甲を貫き、胸から左脇にぬけて傷を負わせた。突き出された槍の穂先の角度がオデッセウスに幸いしたらしい。逃げようと背を見せる敵兵、すばやく反応したオデッセウスの槍は、この兵の背中の真ん中を貫いていた。兵の目は閉じられていく、その双眸は再び光を見ることはなかった。
オデッセウスは、救助を求めるべく三度び、大声をあげた。
オデッセウスは、救助を求めるべく三度び、大声をあげた。