『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第9章  戦闘再開  5

2007-12-12 09:25:07 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 アキレスの陣営幕舎の戸口に立ったオデッセウスは、そこにいる番兵を無視して大声で呼びかけた。
 『お~い、アキレス!いるか。俺だ。入るぞ、いいな。』
 それはオデッセウスの声であった。
 アキレスは、あの疫病事件以来、このかた、オデッセウスやアイアースに会っていない、戦場にいる彼等を遠くに望見した日は、幾日かあった。膝をあわせて話し合うのは、半月ぶりではなかろうか、耳にする声が懐かしかった。
 『お~お、御歴々、どうした。中に入って、おちついてくれ。』
 オデッセウスたち一行は、言われるままに中に入って腰を落ち着けた。アキレスの傍らには、幼いときからの友パトロクロスもいる。アキレスは、小者に言いつけて、酒食の膳を整えさせ、かっての戦場の友とくつろぎのときを過ごすことにした。座に着いた彼等は、神に感謝をすませ、親しく肉を焼き、美酒を飲み、友諠を尽くして話をはずませた。やがて、酒食に飽きる頃になり、アキレスは、オデッセウスに声をかけた。