『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  115

2011-07-04 07:07:06 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 戦火で燃え上がっているトロイ城市を見つめて、『ここを去ろう』 と決めた瞬間から、今日までの4ヶ月をなつかしむ表情で話した。オロンテスは目頭が熱くなるのを覚えた。
 『オロンテス、お前うまく言うな、俺は同感だ。オキテス、お前はどうだ』
 『俺か、俺もそのように感じている。俺は、大きな流れの中を俺は、俺の分を守って生きているという感じだな。うまくはいえない』
 そこへアンテウスが姿を見せた。彼はオロンテスに報告した。
 『棟梁、用材を所定の場所におろし終えました。皆さん、おそろいで』
 『おう、アンテウスか、ご苦労、ご苦労!お前たちは、明日の朝は、早く森へ向かうのか』
 『はい、その予定です。時間的に余裕を持って仕事をはこびたい、そのように思っています。2回目の運搬に森へ向かうとき、道に不具合の箇所に気づいたら、手直ししながら森に向かいたいと思っています。修復の必要がなければ、それに越したことがないのですが』
 『おっ!そうか、判った。とにかく、充分な気配りで仕事を終えろ、安全第一を忘れるでないぞ』
 『判りました。私たちは、今日はこれであがります』
 彼らのやりとりを周囲で見聞きしていた者たちは、彼らに今日の労をねぎらう言葉をかけた。
 『アンテウス、ご苦労であった。明日から、仕事は新しい局面に入る、申し伝えておく、いいな』