『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  129

2011-07-25 07:29:13 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 彼らの足運びは極めて慎重であった。注意を払って、できるだけ道路の凹凸を避けるようにして運行をはかった。浜までの中間地点を過ぎた頃、気にかけていた台車の不具合が発生した。3台であった。1台は、だましだましながらいけば何とか浜まではいけると判断した。2台は手のうちようがなかった。予備としていた台車を使用した。ここまで来て不具合の出てきた台車は、そろりそろりの運行で荷役の用を果たさせた。
 運搬は手間取ったが、何とか四苦八苦の末に業務を為し終えた。浜に着いて、アンテウスは用材を所定の場所に下ろし終えて、彼は『これで終わった』 と胸をなでおろした。頬を撫でて通り過ぎた風が心地よかった。彼は一同を集めて声をかけた。
 『おうっ、皆、大変ご苦労であった。ここに業務の完了を宣言する。この大役を無事に終えたことを皆に心から感謝する。ありがとう。さあ~、少々遅くなったが昼めしにしよう。昼めしは西門前の広場だ』
 一同は返事を返して広場へ足を向けた。そこにはささやかながら、彼ら一同の労苦をねぎらう準備が整っていた。
 オロンテスに報告を終えたアンテウスがアミクスら三人と連れだって昼めしの座についた。
 『お~い、皆、お前たち、ささやかだが心づくしの昼めしだ。アミクスにリナウス、何をやっている、みんなの杯に酒をついでやらないか、、』
 『え~え、一同、酒杯を手にして、隊長の『飲めっ!』 の掛け声を待っていますよ』
 『そうか、よしっ!』
  彼は、立ち上がった。みんなを眺め回した。
 『飲めっ!』
 出せる限りの大声をあげた。