『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  130

2011-07-26 06:46:04 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 彼らは、杯の酒を一気に飲み干した。少量の酒が運搬別働隊の者たちの口を滑らかにした。彼らも肩の荷を降ろした。食事の場は、荷役運搬道中の話に花が咲いた。仕事をやり終えた者たちの心底くつろいだ姿がうかがえた。
 舟艇建造の場では、仕事の流れが軌道に乗りつつあった。部材がきちっと出来上がってくる、組み立て場に運ばれてくる、それを設計図と照合してくみ上げていく、しかし、舟艇が体を為してくるのは、まだ、少し先のことである。仕事にたづさわっている者たちが額に汗して、励んでいる姿がそこにあった。
 『やあ~、オキテスどの、ご苦労様です。連絡ありがとうございました。五人の浜衆を引き連れてまいりました。例の件、よろしくお願いします』
 『おうっ、トリタス、よう見えられた。見てくれ、浜はこの有様だ。いま、少しづつだが建造の調子が出てきたところだ』
 『それはいいですね。それにしても、皆、大車輪で仕事に燃えていますね。私もこのような情景を目にすることが大好きです』
 オキテスとトリタスが、舟艇建造の場の中で話し合った。
 『トリタス、干物づくりの要領の伝授は、2泊3日の予定でやるのだが、いいか』
 『え~え、いいですとも、そのつもりで来ています。よろしくお願いします』
 オキテスうなずき、仕事の場に目線を移した。