『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  122

2011-07-13 07:29:24 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスは現場を見回った。建造にたずさわる者たちが担当部署についているかを自分の目をもって確かめた。
 舟艇の部材を用材から切り出し、粗い仕上げをする部署が活気づいていた。リュウクス、セレストス、カイクスが仕事の流れに目を配っていた。
 組み立て場が、まだ完成に至っていない。ここではオキテスが陣頭に起って差配していた。彼は図面と首っ引きでアレテスと他の二人に指示を出していた。
 オロンテスの手配りに手落ちはないようである。
 部材の設計図は、判りやすく線引きしてあり、組み立て場についても、しっかりした図面が書かれていた。
 全く不安がなかった。
 オロンテスの手元には舟艇建造の工程表、進捗予定表もしっかり整えられており、総てが万全と言えた。
 何時、如何なることが起きても、彼は対処できる自信を持って、仕事と対峙していた。プロジェクトチームの面々にも絶大の信頼をおいていたのである。
 パリヌルスもオロンテスの管理、差配に充分な信頼を寄せていた。彼らは強固な信頼の絆で事に当たっていた。
 この日、アンテウスは思いもよらぬアクシデントに見舞われていた。
 今日、三回目の荷積みをやろうとしたときに発覚した。台車5台が使用できないとの報告を受けた。