『トロイからの落人』 FUGITIVES FROM TROY 第７章 築砦 561

　浜にはパリヌルスが立っている。
　『おう、パリヌルス帰ったぞ！結果は上々といったところだ。まず、結果から話す。用材到着の件だが、第二便は、日を繰り上げての到着となる。１０日後が４日後になる。その時に技術者連５人も同時到着だ。こちらに滞在するのは２カ月ということになった。製材に使用する道具に関しては、ガリダ側に一任とした。費用は当方負担で決着した。道具準備の都合上、調査担当の者が一緒に来ている。顔つなぎをやろう』
　オキテスは、渚に立ってドックスと話しているノコギスを手招きだ呼んだ。
　『なあ～、オキテス、どう思う？手の打ちようが早い、ガリダは乗り気なのかな』
　『ガリダは、懸命にやってくれている。新艇にえらい興味を持っていることは確かだ』
　『そうか』
　『お！来た来た』
　『おう、ドックス、今日はご苦労！今、オキテス隊長から話を聞いた。うまくいったな。こちらが道具調査担当か？』
　パリヌルスはドックスの横にいる同行者に目を移した。
　『オキテス隊長、この場ですぐ打ち合わせと顔つなぎと行くか』
　『おう、それがいい。互いの気脈が通じる。ドックス、それでいいな』
　『それがいいです』
　四人は、立ったまま紹介と打ち合わせを始めた。オキテスが口を開いた。
　『パリヌルス隊長、今日、一緒の来た製材担当者の一人でもあるノコギスだ』
　『新艇建造担当責任者である。私がパリヌルス、こちらがオキテス隊長だ。そして、こちらが船棟梁のドックスだ。宜しくな』と言って右手を差し出した。ノコギスがパリヌルスの手を握り、丁寧に低頭した。
　『ガリダの許より製材担当としてきました、ノコギスと言います。宜しくお願いいたします』
　ノコギスは、オキテス、ドックスにも丁寧にあいさつをした。
　『ドックス、ノコギスに仕事内容を話して、最適の製材道具の調達を決めてくれ。それから、彼の帰りは、明日の昼のキドニア行きの便で送るようにアレテスと打ち合わせておいてくれ。夕食の事もお前に任せる。頼むぞ』
　『判りました』
　『オキテス、打ち合わせは終わったな。派遣されてくる製材担当者たちの宿舎の事もある。軍団長のところへ行くか』
　二人は、イリオネスの宿舎へと歩を向けた。