『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  568

2015-07-15 11:00:15 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスとオキテスとドックスの三人は、始業前の打ち合わせを行って作業の場を見廻る。『では』『おう』で次のステップへと移っていく。パリヌルスはオキテスを誘って、イリオネスの宿舎へと向かった。
 『おう、来たか、ちょうどいい、統領もおられる、二人に話しておきたい要件がある』
 四人は、宿舎前の草原に座した。イリオネスは二人と目を合わせた。
 『新艇建造の方の動きはどんなだ?』
 オキテスが答える。
 『明後日から、いよいよ建造に取り掛かる段取りになっています。ドックスが抜かりなく手配しております』
 『ほう、そうか。それは重畳というところだな。では、本題に入る、重要な案件だ。二人とも心して考えて手を打ってもらいたいことなのだ。新艇完成まで三カ月、間があるようだが、歳月は人を待たない、たちまち過ぎてしまう。出来あがる新艇は5艇、同時完成だ。これのトレードをいかにするかが命題なのだ。よくよく考えて、トレードに最良の手を打つ、それを考えてもらいたい。価格の件、誰にどのようにして売り渡すか。これを考えてほしい。10日後にこれに関する第一回の打ち合わせをやる。いいな。計画段取り等の打ち合わせはそれから5日後に行う。即、計画に基づいて手を打ち、動き出そう。俺たちに課される要務だ。そのように認識して、このことを遂行してくれ、以上だ』
 『判りました。当然、俺たちが取り組むべき課題です。やりましょう』
 3人はうなずいた。
 『おう、オキテス、新艇建造の手配のめどがついた、次に待ち受けている課題がこれだ。エノスで造った船とはわけが違う。覚悟してやろう』
 『そうだな、判った。やろう』
 『軍団長、判りました。では、10日後の第1回打ち合わせまでに、この件の計画を立案いたします。そのうえでその5日後には、即、行動をとれるような計画とします』
 『その様に計らってくれ』
 『判りました』
 打ち合わせは終わった。二人は目を合わせる。
 『オキテス、5艇同時完成だぞ。俺とお前、このことに気づくのがちょっと遅れた。そのような感じだな』