『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  132

2019-10-06 15:04:01 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 ニューキドニアの浜が開催される夕食会で沸いている、年が暮れ、暦なしの2か月が過ぎ、新暦になって19日目である。
 民族一同が集い開催する夕食会である、大きな別れを明後日に控えた全員会同の夕食会である。
 広場に焚火のシマの数が35か所余り炎をあげている、浜焼きスタイルで挙行する夕食会である。
 各シマごとに酒樽1個づつ配されている、食材といえば朝採れの魚が調理されて積まれている、キドニアの集散所から調達してきた羊肉、野菜類も積まれている。
 小島から、アレテスが1団を率いて姿を見せる、パリヌルスが配下の者らを連れて到着する、オキテスとドックスが建造の場の大集団を引き連れて姿を見せる、ユールス、アンキセス、アカテスも姿を見せる。
 続々と集まってくる者らをアエネアスとイリオネスが見つめている、パン工房のスタッフ全員が夕食会の場作りにまめまめしくたち働いている。
 イリオネスが、太陽を見あげて頃合いを計る、場の状況を確かめる。
 彼は場を指定して、全員集合を指示する、一同が広場の高所に集合する、アエネアスを真ん中にして周りに集う、アエネアスを囲んでの円陣形である、760人余りの者らがアエネアスを取り囲む。
 前列から中ほどまでの者らを草の上に腰を下ろさせる、場が整う。
 イリオネスがアエネアスの左斜め背後に寄り添って立つ、場が鎮まる。
 アエネアスが全員を見まわす、再度ゆっくりと場の者らと親しみを込めたまなざしで見まわす。
 感情がこみあげてくる、全員に対して話しかけるタイミングを計る、心が決まる、おもむろに口を開く。
 
 『我が民である諸君!壮健であるか?』身体を廻しながら、二度、三度繰り返して、全員に呼びかける。
 一同から『おうっ!』『おうっ!』『おうっ!』雄叫びが返る。
 一同と目を合わせる、会同している者らの双眸がアエネアスの目を射貫く、一呼吸する、口を開く。
 『我々は、ここに二つの大事を為す!民族の大望である建国の地の探索の壮途に出航する!もう一つは、このクレタ島のこの地にわが民族の都市国家の建設をする!全員がこのいずれかに任をもって民族の未来を築くのだ』
 アエネアスが言い終わる、身体を廻しながら全員と目を合わせる。
 全員が呼応する、広場に喊声が沸きあがる、広場を震撼させる。
 イリオネスがアエネアスに代わって、一同に声をかける。
 『本日これより、全員で決起の夕食会をやる!心行くまで楽しんでくれ!以上だ』
 一同が足を踏み鳴らす、『おうっ!』『おうっ!』『おうっ!』律調を整えて掛け声をあげる、足を踏み鳴らして、全員が動き始める、アエネアスとイリオネスを中心軸として750人余りの円陣が動く、廻る、地が震う、喊声をあげる、3回転くらいして止む。
 パン工房のスタッフらが手分けして一同を各焚火のシマへみちびいていく、全員が焚火のシマに着く、全員からまたもや歓声があがる広場の空間がどよめく。
 イリオネスが大声をあげる、場がシーンと静まる、杯に酒が注がれる。
 アエネアスが場の隅々まで届くような大声をあげる。
 『乾杯っ!』
 『おうっ!』と声をあげて全員が杯の酒を飲みほす、夕食会がスタートした。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  131

2019-10-06 06:27:06 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 朝が明ける、建国の地の探索に旅立つ日が明後日に迫っている。
 イリオネスが浜に立つ、緊張に殺気がおびている、その気配の抑制につとめてはいる、消せないでいる。
 アエネアスが来て傍らに立つ、アエネアスの表情は常日頃と何ら変わりはない。
 イリオネスは、平常と変わりないアエネアスの姿、雰囲気に唖然とする、この落ち着きはといぶかしむ。
 アエネアスがイリオネスに向かい合って立つ、イリオネスの両肩に両の手をおく、イリオネスが肩に手のぬくもりを感じる、アエネアスがイリオネスに言葉をかける。
 『軍団長!そう力まずともいいのでは、緊張が殺気をおびている。お前には俺がいる、いいスタッフがお前を支えている。平常心、平常心、全てが順調うまくいっている。彼らに任せろ、事はうまくいく』
 『そうか、俺の自己責任の念が強すぎるのかな』
 アエネアスの言葉でイリオネスの想いの届く領域が広がっていく、物事が見えてくる。
 イリオネスが周りに集まった者らに気づく、眼前にドックスが立っている、その背後に昨日話し合った面々が立っている。
 『おう、おはよう、いい朝だ』
 『おはようございます。いい朝です。イリオネス軍団長、今日は朝からですね。場所は軍団長の宿舎でよろしいですね。私が声をかけて昨日のメンバーを連れていきます』
 ドックスが述べる言葉にイリオネスがうなずく。
 『ドックス、そのほかに伝えたい用件がある。我々、民族全員が広場に集合だ。午後半ばから夕食会を開催する。その手配りをしてくれ』
 『了解しました。任せておいてください』
 ドックスが彼らと共に場を去っていく、その背を見送る。
 パリヌルス、オキテス、オロンテスの三人がイリオネスと打ち合わせる。
 『パリヌルス、今日の操船訓練は?』
 『はい、今日はオキテス隊長の配下の者らをを軍船に乗せて沖に出ます。オキテス隊長も同行することになっています』
 オキテスがイリオネスの顔を見てうなずく。
 『今日の夕食会の件、解っているな。会の開始におくれることなく集合する。いいな』
 『判りました』と二人が唱和する。
 『オロンテス、このあと、統領と三人で打ち合わせる。会所に行く。忙しい、朝食を食べながらやる』
 パリヌルスとオキテスは軍船の浜へ向かう、アエネアスら三人は会所へと向かう。
 パリヌルスは、歩きながら昨日の操船訓練の模様をオキテスに話す、二人が軍船の浜に着く、集まっている一同に操船訓練の要領を伝える、2隻の軍船に分乗して小島の沖に出ていく、昨日との違いは沖に吹か風の風向きである、沖の風は東から来ている、風の強さには差異がなかった。
 会所における夕食会の打ち合わせは時間をかけることなく終わる。
 アエネアスとイリオネス、ドックスら一同は、イリオネスの宿舎においてポリスの件に関する諸事の最終話し合いと財務及び関連業務の引継ぎを完了する。
 むつかしさが考えられた三事業部の引継ぎが順当な配慮で終わる。
 アエネアスとイリオネスとドックス、そして一同が懸念した不安の全くない引継ぎである。
 引継ぎの業務を終えて一同が握手を交わす、ここに引き継ぎの全ての業務が完了する。
 イリオネスが一同に伝える。
 『今日、午後半ばの頃合いから広場において、我ら民族、全員が集いて、広場において夕食会を開催する!よろしく頼む』
 一同が歓声をあげる。
 引継ぎの会合を終えた。
 

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  130

2019-10-04 14:20:56 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 操船訓練が終わる、アエネアスとイリオネスとパリヌルスが話し合う。
 パリヌルスは、地中海なる海の海洋状況を考えての航走と操船と航法を考えて二人と話し合う。
 『そうです。この操船訓練は、乗り組んでいる漕ぎかたらより、操船の指示をする者のための訓練でもあるのです』
 『それで、いつもの試乗と比べて遠い沖での航走だったのか。お前の意図を理解した。ただただ、ひたすら西へ向かって進む地図なるものの無い航海だ。パリヌルス、お前が頼りなのだ』
 『心を尽くすことを約束します。今日は操船訓練に同行、ありがとうございました』
 二人は軍船の浜をあとにする。
 パリヌルスは、二人を見送り、操船訓練の一同と昼を共にする。
 『船が大きいことで漕ぎかたに苦労をさせる、それを含めての操船訓練だ。俺が知っていなければならないことが多々あった。君らに感謝だ。ありがとう!礼を言う』
 一同の労をねぎらう。
 会所では、遅い昼を終えて、イリオネスがアエネアスを誘う、今日のポリス関係の話し合いにの同席である。
 二人はイリオネスの宿舎へと行く、程なく、一同をむかえて話し合う頃合いとなる。
 彼らが集まってくる、一同と顔を合わせる二人、イリオネスは、一同に木板と木炭を配る、話を聞くだけではなく、書き留めておくことの大切さを話を始める前に説いて聞かせる。
 『一同!解ったな。書き止めておく、それはとても大事なことなのだ。もし書けない、そうであるときは、書ける者に習うことだ。いいな』と言い終える。
 イリオネスは軍団長として、愛を込めた目を一同と合わせる、話始める。
 集団のありかた、トロイ民族のクレタにおけるポリス、この集団が成り立っていくために重要なことはと前置きして食と住の問題から発して、衣について説き、それについて何が必要なのかを説き聞かせる。
 その仕組みを実例をもって説明する。
 彼らはイリオネスの話を真剣にきく。
 パン工房のこと、漁業部のこと、船舶の建造事業のこと、詳しく説明し、それらの維持と発展が大切なことを説き聞かせる。
 イリオネスの説明の旨さもあるが、一同は聞きわけが良い、理解度もよい、事は上々の結果であった。
 話し合い、説明会の終わるころには、宵のとばりが浜を包み始めていた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  129

2019-10-04 10:35:58 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 軍船の浜では総員がそろっている、パリヌルス隊長の来るのを遅しと待っている。
 『お~い、隊長が見えたぞ!朝めしの支度ができたか?』
 『おう、出来ている』
 パリヌルスが一同のところに着く、一同が隊列を整えてパリヌルスを迎える。
 『隊長!こちらです!支度して待っていました』
 『おう、そうか』
 一同と目を合わせる。
 『おはよう、いい朝だ!』
 『おはようございます、いい朝です。朝食の支度は出来ています』
 『おう、そうだな。よしっ!食べるぞ!』
 全員揃っての食事が始まる、パリヌルスがが声をかける、
 『おう、タクス!食べ終わったら、すぐに出るか?』
 『はい、それが、いいですね!』
 『そうか、使用するのは2隻だ。総員は何人だ?』
 『はい、174名です。1隻あたり、87名となります』
 『判った。操舵担当を決めているな!』
 『1番船は私がやります。2番船は、ポラスです』
 『めしを終えたら一同を船上へだ』
 『判りました。隊長、沖の風向きが今のところ不明です』
 『そのようなこと、出たとこ勝負だ!判ったな!』
 一同の食事が終わる、タクスが指示する、一同が軍船に乗り込む、櫂座に就く。
 アエネアスとイリオネスが来る、アエネアスが1番船に乗る、イリオネスが2番船に乗る。
 船上に指示がとぶ、『漕ぎかた櫂をとれ!漕ぎかたはじめっ!』2隻の軍船が波を割る、小島の東を目指す、東端を過ぎる、小島を離れて20スタジオン(約4キロ)沖に出る、西からいい風が来ている。
 進行方向を東に転じる、全帆を張る、帆張り航走するも漕ぎを続ける、半刻を過ぎて漕ぎをやめる、半刻を帆走で進む、パリヌルスが舵座のタクスにサインを送る、帆を下ろして進行方向を反転させる。
 タクスが大声をあげる、『漕ぎかたはじめ!』漕ぎかたが懸命に漕ぐ、しぶきが舞う、船上の一同を濡らす、風、波に抗して懸命に漕ぐ、帆走1刻の距離の航走に1刻半の時を要する。
 小島の東端に来る、浜へと方向を転じる、今日の操船訓練を終える、彼ら一同、汗と浴びたしぶきでグッショリ濡れていた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  128

2019-10-04 06:59:59 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 新暦18日の朝が明ける。
 イリオネスが朝行事の浜に緊張の面持ちで立っている、昨日の夕食会で顔を合わせたメンバーが彼のもとに集まってくる、朝の挨拶を交わす。
 イリオネスが固い表情で彼らと顔を合わせる、そして伝える。
 『おう、一同!今日と明日、今日は頃合いが午後の半ばからだが、君らに伝えたようにポリスの建設をどのように手を尽くして進めていくかを説明する。場所は昨日同様、俺の宿舎でやる。明日は、朝からやる、財務及び業務の引継ぎの件についても行う。以上だ。いいな』
 彼ら一同、奥歯をかみしめてうなずく、場を解く、各自がそれぞれの持ち場へと散る。
 『パリヌルス、ソリタンはお前の配下にいるな、クリテスを通じて、ソリタンに出席するように手配してくれ。クリてスを通じてだぞ。解ったな』
 『解りました。ところで軍団長、今日と明日、二日間ですが、頃合いにして朝から昼過ぎまで、軍船の操船訓練を行います』
 『了解!統領と俺、参加の必要があるかな?』
 イリオネスが問いかける、考える、こたえる。
 『今日の参加はオーケーだ、明日はノーだ。以上だ』
 『解りました。よろしく願います。朝食後直ちに出ます。朝食をすまされたら、軍船の浜へ来てください。待っています』と打ち合わせてパリヌルスは軍船の浜へ歩を向ける。
 朝行事を一緒に終えたオロンテスがスダヌス浜頭がアエネアスとイリオネスの前に立つ、セレストスがキドニアへの出航を告げに来る、スダヌス浜頭が二人に挨拶を終える、セレストスとともに出航に浜へ向けて歩みだす、アエネアスとイリオネスが去りゆくスダヌス浜頭の背中を見送る、これからのち二度と会うことがない、胸に寂寥の情をみなぎらせて見送る、会う別れるは人の世の常である、胸に寂しさがこみあげてくる、涙が目にあふれる、二人の気が潤む、アエネアスが人差し指の背で目の下を拭う、イリオネスは心中に住む鬼を呼び寄せる、耐えられず腕で目をぬぐう。
 二人は波打ち際に立つ、昇る陽の光を右の頬に受け、朝の凪いだ海の彼方に目を凝らす、望見する、想いを馳せる。
 二人は己の心意気を確かめる、不退の決意、心の映え、体にみなぎってくるフオース、波を割って海洋を行く、艱難をしのぎ、さすらい行く、海に大河が注ぐほとりに開ける緑の大地が瞼裏に浮かぶ。
 『統領、行きましょう』の声にうながされ、二人は会所に向けて歩き始める。
 『なあ~、イリオネス、いろいろあったな』
 アエネアスが回顧の情を告げる。
 『出航までの三日余り、まだ、いろいろあります。今日、午前中、軍船の操船訓練に参加します』
 『ほう、そうか。それはいいな!』

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  127

2019-10-02 10:20:10 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 エドモン浜頭一行の見送りを終える。
 一同は、スダヌス浜頭を交えて、会所でくつろぐ、ハチミツ割りぶどう酒を口に運び、雑談を交わしてくつろぐ。
 イリオネスは、鉄を赤いうちに叩いておきたい衝動にかられている、思案する、気をもむ。
 スダヌス浜頭がいる、今日しか話し合う機会がないかもしれない、展開を考える、話し合うメンバーを考える、決断する。
 打ち合わせ会に参席させるメンバーリストを考える、簡単な夕食会の催行、場を設けるところは?段取りと手順を決める。
 日の高さを見る、頃合いを計る、即刻、指示を出す。
 『おう、オロンテス、夕食会をやる!夕食会の支度を整えてくれ。やる場所は、俺の宿舎だ、参加人員は15名、そろえる料理品目は特別の気遣いは不要。酒は乾杯のみとする。以上だ』
 『頃合いはどのように?』
 『頃合いか、すぐ準備にとりかかってくれていい。あ~あ、それからセレストスの出席かたを連絡しておいてくれ』
 オキテスと目を合わせる。
 『オキテス、スダヌス浜頭がいる、今夕、打ち合わせ会と夕食会を行う。ダッカスはこちらにいるな、出席させてくれ。場所は俺の宿舎だ。支度が出来次第、即、始める。いいな』
 『解りました』と応えて、席を立つ、会所から出ていく。
 『おう、パリヌルス、今夕、夕食会と打ち合わせ会をやる、いいな。クリテスに出席させてくれ。また、アレテスとジッタにも連絡して呼び寄せてくれ。場所は俺の宿舎だ。支度の指示は終えている。支度が出来次第、即刻やる』
 イリオネスからの指示を受けて会所をあとにするパリヌルス。
 次いで、ドックスと目を合わせる。
 『おう、ドックス、ポリス体制の補佐役2名、決まっているのだな?』
 『はい、決まっています』
 『今夕、スダヌス浜頭を囲んで夕食会と打ち合わせをやる。その二人も出席だ。場所は俺の宿舎だ。すぐ行って連れてくるのだ、いいな!』
 イリオネスは四人に指示を終える、アエネアスとスダヌス浜頭と夕食会と打ち合わせ会の開催を自分の宿舎でのやることを告げる。これを聞いた二人、アエネアスがイリオネスに声をかける。
 『おう、軍団長、出席メンバーの手配を終えたのか?』
 『はい、終えました』
 『解った。浜頭、行こうか、話の続きは歩きながらやっていこう。軍団長、お前、どうする?』
 『私も同道します』
 三人が会所をあとにする、イリオネスの宿舎へと歩を運ぶ、日没までにはかなりの間がある。
 ニューキドニアの浜には、建国の地の探索に出航する日を四日後に控えた緊張した雰囲気が漂っている。
 夕食会の支度ができあがる、招集をかけたメンバーが集まり始める、イリオネスは、アエネアスとスダヌス浜頭に夕食会と打ち合わせ会の進行次第を打ち合わせる。
 イリオネスの宿舎は、広いとは言えない、一同がつめて席に就く、出席メンバーの顔がそろう、イリオネスが夕食会と打ち合わせ会の進行次第を説明して会がスタートする。
 アエネアスが姿勢を改める、一同と顔を合わせる、彼らの健康を確かめる。短いメッセージ述べる、乾杯の声がけをする、イリオネスが今日のエドモン浜頭との話し合いの経緯を一同に伝える。
 スダヌス浜頭がクレタ島全体を市場とした船舶の商環境に関与する新しく発足した営業の仕組みを説明する、そのうえでニューキドニアの浜を核としたポリスの成立と自分との関係を出席している一同に理解しやすく説明する。
 一同が話の内容を理解する、それを感じとり、スダヌス浜頭が果たす、一同の業務へのかかわりを話して話し終える。
 イリオネスが話の終わりを確かめる、一同に質疑を問う、質問がない。
 『一同!スダヌス浜頭の話の内容を理解したな。不明な点がある時はドックスにたずねてくれ。話は終了した。夕食を楽しくやってくれ』
 場に拍手が沸く。
 『それから一同に伝えておきたい用件がある。今ここにいるメンバーで明日、明後日の2日間、これからどのようにしてポリスを建設していくかを話し合う。その段取りを明日、朝行事の浜で打ち合わせる!以上だ』
 イリオネスは、一同に対しての通達を終えた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章   クレタ離脱  126

2019-10-01 10:43:22 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 エドモン浜頭がパリヌルスに話しかける。
 『お~お、パリヌルス殿か、イラクリオンのエドモンです。イラクリオンから、こちらへの航海において、オキテス隊長が客に説明する船の『五大特徴』を入念にチエックして評価した』
 『そうでしたか。なにか気になることでもありましたでしょうか?』
 『いや、そうではない。船体構造構想、それの実際構造効果等だな。実に素晴らしい!この発想はどこからと考えたな。一歩も二歩も先行く構造が施されている。今は、船種が2種類だが、この船を取り扱っていくことを強く心に決めた。いい船体構造の船を造ってくれましたな。大いに感じ入りました』
 『はい、ありがとうございます。ほめていただいて感激です。未来において当たり前になることを一足先に船体構造に取り入れたに過ぎないと考えています』
 『お~お、その謙虚さが新しい時代を切り拓いていくのかな。今日は君に会えてうれしい!エドモン、感激の一時だ!』
 エドモン浜頭が手を差し出す、差し出された手を握るパリヌルス、ジイ~ット浜頭の目を見つめる。パリヌルスの感動の一時である。
 場に拍手が沸く、この進行を目にする場の一同、アエネアスとイリオネスが目を細める。エドモン浜頭とパリヌルス、二人の会話が止まったままである。
 エドモン浜頭が口を開く。
 『今日の会談もいいカタチで終わり、約束事も交わした。クレタの未来を開く話し合いを終えた。そして、あの素晴らしい船を創ってくれた頭脳の持ち主にも会えた。太陽も中天にかかろうとしている。この地をさらねばならん時が近づく。パリヌルス殿ではなく、君と俺とはモット近くにいる。パリヌルス君、いい船造りを続けてほしい!』と親密極まる言葉である。二人の手が伸びる、握り合う、二人の握手が場に拍手を呼ぶ。
 エドモン浜頭がアエネアスの前に立つ、姿勢を改める、口を開く。
 『アエネアス頭領殿、今日はあなたに会えていい時を過ごしました。いい話を語り、いい約束を交わしました。あなた方と私らのいい未来が開けると確信したいい話し合いでした。ありがとうございました。私らは、船舶の営業活動をクレタ島に展開して、いい成果を収めます。このエドモン、誠意をもって約束します』と話し終えて手をさしのべる、差し出された手をシッカと握り返すアエネアス、次いで、テムノス浜頭と握手を交わす。
 エドモン浜頭がイリオネスと手を握り合う、場の一同が握手を交わす、エドモン浜頭が最後にドックスと握手を交わす。
 『ドックス船棟梁殿、貴方が管理監督して出来あがる船、私らが懸命の営業で売っていきます。いい船造りをよろしく願います』
 二人がシッカリ手を握り合う。場の者らが盛大な拍手で場を沸かす。
 エぢモン浜頭一行がニューキドニアの浜を去る頃合いとなる。
 『アエネアス統領殿、イリオネス軍団長殿、本日は、手間、暇、世話をかけ、ありがとうございました。オキテス隊長、パリヌルス君、今日はありがとう!これであなた方ら、私らがいい成果を獲得できる。この地にいとまを告げる時となりました。一同の皆さんの壮健を祈ります』
 場に拍手が沸き上がり、惜しまれる別れ、一同が浜におりる。
 来訪の一行がスダヌスを残して、艇上の人となる、彼らが帰途航海の波を割る。
 アエネアスら一同、浜に集う一同が彼らを見送った。