
2011年11月高知城
「頭が固い、融通が利かない、だからお役所は。…求められたのは創造性や柔軟性よりも硬直性だ。自治体というのは効率よりも公に言い訳が立つことを優先せなぁいかん組織よ==県庁ルール」
半分くらいは実地体験を交えた高知県庁を舞台にした観光小説、ちょっぴり青春小説風な仕上がりでイッキに読めてしまった。
県庁おもてなし課の若き職員「掛水くん」が、地元出身の若手人気作家「吉門喬介」に高知県観光特使を依頼する。
依頼したあと、1ヶ月ほったからし、クーポン付の名刺を作成して配るまでにまた、時間時間…
「名刺にクーポンの有効期間を設定したところで、翌年も新しい名刺を配るなら、無期限と同じだ」
作家が掛水くんに公務員の仕事のあり方を辛辣に時には投げやりに言い放ち、腹たつけどめげずに食らいつき、昔、県庁で「パンダ誘致作戦」をぶちあげて辞めざるを得なかった伝説の清遠さんを訪ねたり、おもてなし課一丸となって一個ずつクリアしていく。
アルバイトで入ったしっかり者でかわいい多紀ちゃんとの恋の成り行き、吉門さんの隠された家族やら、土佐弁の会話が生き生きしてとっても楽しい。
いきなり、カーナビ無しで県内を連れまわされて、パラグライダーで飛ばされて、思いつきで馬路村へ出かけてみたり、観光とは何かという話も満載。
ああ、秋の高知県馬路村を訊ねてみたくなった。
人物キャラクターが秀逸なので、ドラマになるなら配役は…と思っていたら、2013年5月に映画公開されるそうだ。
主演は錦戸亮に堀北真希、清遠役に船越英一郎。
堀北真希はいいとしても、掛水くん役は向井理にやってほしかったなぁ。(笑)
「県庁おもてなし課」 有川 浩(ひろ) 角川書店
有川浩は映画「阪急電車」の原作者でもある。