三流読書人

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ドングリ小屋住人 

トカゲの血圧

2005年12月14日 18時49分23秒 | 教育 
『理科年表』というものを買ってしまった。
国立天文台編 丸善株式会社刊 1400円。
昔、理科の教科書といっしょに薄いペラペラの理科年表というものを持たされた。
原子記号などが載っていた。あまりなじめない本だった。簡易版だったのか別物だったのか。
何故こんな変な本をこの歳になって買ったかというと、今朝の毎日新聞のコラムである。
以下そのコラム。

『毎日新聞』12月14日付 コラム「発信箱」 元村有希子
「自然界の辞典」
《「理科年表」をご存じだろうか。天文、生物、物理、科学、環境など自然科学を網羅するデータブックである。国立天文台が監修して1925年に創刊され、毎年、版を重ねてきた。近年は売れ行きが芳しくない。発行部数は85年の9万部をピークに下がり続け、昨年は3万部を切った。科学雑誌の発行部数も科学技術に関心を持つ国民の割合も同じカーブを描く。「天文台の年間見学者数もこんなグラフになりますよ」。創刊80年を祝う行事の控え室で、ある天文学者が言い、座は苦笑に包まれた。
私は科学を取材する立場になって初めて理科年表を買った。仕事でも使うが、眺めていると飽きない。トカゲの血圧、銀河団までの距離、気体の粘度。いったい誰が使うデータなのだろうと想像する。「分からない」ことを楽しむのも、科学の楽しみ方だ。出版元の丸善によると、科学全般を扱うデータブックは世界に例がない。が、不振が続けば経営に響く。廃刊となれば、一企業の問題ではない。例えば思い切って書名を買えたらどうだろう。「理科」と聞くだけで敬遠する人は少なくない。じっさい、テーマは「理科」に限らないのだ。宇宙誕生以来の自然界の歴史と未来が記されている。そのすべてが、私たち人間の努力と発見のたまものだ。最新版は1000㌻を超えた。増える一方のデータからどれを削るか、監修者は毎年頭を悩ませる。編集には各分野の研究者が協力する。執筆協力への謝礼は毎年、「理科年表1冊」と決まっている。》(環境科学部)

欲しくなってきませんか。
トカゲの血圧や、銀河団までの距離以外にも、実験用マウスの寿命について、給餌に制限をくわえた場合と無制限に餌を食べさせた場合の寿命の差、もちろん制限をしたほうが長生きするんだけれど、こんなデータいっぱい。
この元村有希子という記者すごいです。