いわき市遠野町入遠野地内の三大明神山に計画される風力発電について、地元区長会などの要望にもとづく説明会が本日、入遠野公民館で開かれました。
この計画は、三大明神山の尾根沿いに、3,000kwで最大18基の風車を建設し、最大出力5万4,000kwの風力発電所を建設しようとするもの。前回の説明会の内容は昨年7月29日のブログで詳細に紹介しています。
本日の説明会に遠野町の住民9人が出席し、ユーラスエナジーホールディングスと環境影響評価を担当するアジア航測の担当者らが、計画の概要と環境影響評価の調査の状況等について説明しました。
計画の概要については7月29日のブログに譲りますが、今回新たに、事業の必要性を福島県やいわき市が再生可能エネルギーの導入の推進を復興計画等にうたっていることなどから説きおこし、また、(1)風の状況が良好、(2)土地利用に規制される場所を避けた、(3)建設地まで一般車両が通行が可能、(4)事業計画地内に接続できる送電線がある、の条件に合致しているために三大明神山を計画地として選択したと説明しました。
また、地元に設立する風力発電の事業会社を、株式会社ユーラス山大明神風力(仮称)とし売電先は東北電力とすることを説明しました。
建設にあたっては入遠野地内の折松林道を利用することを検討しており、小名浜港で陸揚げした資材を陸送します。工事期間は2年間で、1年目は道路や基礎工事、2年目に風車の建設をするといいます。建設される風力発電機はローター(風車)が約80mから103m、ハブ(風車の軸部分)高が約75mから80mになる大きな風力発電機が設置されることになります。
陸送の状況が気にかかったので質問してみたのですが、風車は10のパーツに分けて陸送されるため風力発電機1機につき10台のトレーラーで夜間に運ばれることになり、要する期間は1週間から10日程といいます。18機でのべ180台が通行することになります。
また、トレーラは全長17m、幅3mになるといいます。林道をこのトレーラーが通れるように改築することになるわけです。
大型車両の通行は、パーツ搬送のトレーラーに加え、土木工事関係の大型車も通行するようになるわけで、工事期間中の静音な生活の維持をどうはかるかという問題も浮かびました。事業者としては、次の説明の機会までに車両の台数や通過ルートなどについても明らかにしたいとのべました。
前回の説明会で住民から指摘されていた低周波の影響と地下水や表流水への影響に関しては、現時点で評価の途上にあるために示すことができない、としていましたが、一般論として低周波及び騒音とも最も近い住宅まで1㎞の距離があるため影響はないと考えられるなどと説明していました。
ただ低周波の問題は、環境省のホームページでも風車からの低周波の影響は、良くわかっていないため調査中で、その結果を踏まえて基準値の設定など適切な対応をしたいとしています。
きょうの説明会で住民から新たにいくつかの留意点が指摘されました。
一つは土石流への懸念です。
山大明神山の山裾には沢沿いにいくつかの集落があり、多くが土砂災害区域に指定され、土石流の危険区域に指定されている地区もあります。その尾根伝いを開発することによる影響は、飲料水の確保とともに災害の視点からも十分検討されるべきものでしょう。
二つは動植物に対する影響です。
いわき市は南限と北限の動植物が生息・植生する貴重な環境を有し、それだけに注意深い調査と影響の評価が求められます。
三つは前述の工事による静穏な生活への影響です。
また、要望として会社機能を遠野地区に設置することを求める要望も出されていました。
説明会は1時間30分程で終了しました。これも参加者に指摘されたことですが、きょうの説明会には手元に資料が用意されておらず、パワーポイントを使っての説明となりました。
これについては、私も、「資料が用意されていないことには愕然としました。今回は初めて上遠野地区に開催予告を回覧した上で開催され、初めて計画を聞く人もいるわけで、この事業に地元住民の理解を広げて実施するという会社の姿勢が問われる問題だと思う」とのべました。
事業者からは今後の説明会では指摘を考慮したいと反省が語られ、また今後は「地区毎に要望があれば説明の機会を設けたい」ともしました。住民に対する十分な説明と住民の納得は引き続きの課題だと思います。
ある参加者の発言で、本ブログを結びます。
「住民を巻き込まないといいものはできない。」
八潮見城散策路から見た三大明神。尾根の中心部左寄りに見える奥の山が三大明神。手前の集落は遠野町深山田鷹ノ巣
この計画は、三大明神山の尾根沿いに、3,000kwで最大18基の風車を建設し、最大出力5万4,000kwの風力発電所を建設しようとするもの。前回の説明会の内容は昨年7月29日のブログで詳細に紹介しています。
2015年7月19日ブログ:入遠野地内に風力発電。環境影響評価説明会で不安聞かれる
本日の説明会に遠野町の住民9人が出席し、ユーラスエナジーホールディングスと環境影響評価を担当するアジア航測の担当者らが、計画の概要と環境影響評価の調査の状況等について説明しました。
計画の概要については7月29日のブログに譲りますが、今回新たに、事業の必要性を福島県やいわき市が再生可能エネルギーの導入の推進を復興計画等にうたっていることなどから説きおこし、また、(1)風の状況が良好、(2)土地利用に規制される場所を避けた、(3)建設地まで一般車両が通行が可能、(4)事業計画地内に接続できる送電線がある、の条件に合致しているために三大明神山を計画地として選択したと説明しました。
また、地元に設立する風力発電の事業会社を、株式会社ユーラス山大明神風力(仮称)とし売電先は東北電力とすることを説明しました。
建設にあたっては入遠野地内の折松林道を利用することを検討しており、小名浜港で陸揚げした資材を陸送します。工事期間は2年間で、1年目は道路や基礎工事、2年目に風車の建設をするといいます。建設される風力発電機はローター(風車)が約80mから103m、ハブ(風車の軸部分)高が約75mから80mになる大きな風力発電機が設置されることになります。
陸送の状況が気にかかったので質問してみたのですが、風車は10のパーツに分けて陸送されるため風力発電機1機につき10台のトレーラーで夜間に運ばれることになり、要する期間は1週間から10日程といいます。18機でのべ180台が通行することになります。
また、トレーラは全長17m、幅3mになるといいます。林道をこのトレーラーが通れるように改築することになるわけです。
大型車両の通行は、パーツ搬送のトレーラーに加え、土木工事関係の大型車も通行するようになるわけで、工事期間中の静音な生活の維持をどうはかるかという問題も浮かびました。事業者としては、次の説明の機会までに車両の台数や通過ルートなどについても明らかにしたいとのべました。
前回の説明会で住民から指摘されていた低周波の影響と地下水や表流水への影響に関しては、現時点で評価の途上にあるために示すことができない、としていましたが、一般論として低周波及び騒音とも最も近い住宅まで1㎞の距離があるため影響はないと考えられるなどと説明していました。
ただ低周波の問題は、環境省のホームページでも風車からの低周波の影響は、良くわかっていないため調査中で、その結果を踏まえて基準値の設定など適切な対応をしたいとしています。
参照:環境省:低周波音問題に関するQ&A
きょうの説明会で住民から新たにいくつかの留意点が指摘されました。
一つは土石流への懸念です。
山大明神山の山裾には沢沿いにいくつかの集落があり、多くが土砂災害区域に指定され、土石流の危険区域に指定されている地区もあります。その尾根伝いを開発することによる影響は、飲料水の確保とともに災害の視点からも十分検討されるべきものでしょう。
二つは動植物に対する影響です。
いわき市は南限と北限の動植物が生息・植生する貴重な環境を有し、それだけに注意深い調査と影響の評価が求められます。
三つは前述の工事による静穏な生活への影響です。
また、要望として会社機能を遠野地区に設置することを求める要望も出されていました。
説明会は1時間30分程で終了しました。これも参加者に指摘されたことですが、きょうの説明会には手元に資料が用意されておらず、パワーポイントを使っての説明となりました。
これについては、私も、「資料が用意されていないことには愕然としました。今回は初めて上遠野地区に開催予告を回覧した上で開催され、初めて計画を聞く人もいるわけで、この事業に地元住民の理解を広げて実施するという会社の姿勢が問われる問題だと思う」とのべました。
事業者からは今後の説明会では指摘を考慮したいと反省が語られ、また今後は「地区毎に要望があれば説明の機会を設けたい」ともしました。住民に対する十分な説明と住民の納得は引き続きの課題だと思います。
ある参加者の発言で、本ブログを結びます。
「住民を巻き込まないといいものはできない。」
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