伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

やっぱり再稼働する気満々。東電福島第一原発5号機、6号機

2013年04月17日 | 原発
 東京電力福島第一原発で地下貯水槽から汚水漏れがあった件で、今朝の福島民報は、緊急時に汚染水を原発5号機、6号機に移送する検討をしていることが報じています。昨日の福島民友新聞の後追い記事のようですが、興味深い記事です。

 移送先は、原子炉下部にあり、格納容器内の配管が破損した場合などに、蒸気を冷却して格納容器の圧力上昇を抑える役割をする圧力抑制室など5施設とされ、汚染水に含まれる塩分で装置が劣化するために、汚染水の移送をすれば5号機、6号機も廃炉の可能性があると記事は伝えています。

 ところが東電はこれを否定しています。圧力抑制室などにはすで水がに入っているため、汚染水が混ざると塩分濃度が薄まり影響はないとして、「廃炉につながらない」(東電福島復興本社)としているというのです。

 どこが興味深いかというと、一つは東電は5号機、6号機の再稼働に意欲満々だということです。
 東電が「廃炉」にする考えを持っているなら、「廃炉につながらない」という答えはありえません。県内住民の大方の世論である廃炉を東電に求めても、公式答弁では何も決まっていないという趣旨を繰り返すだけです。かねてから東電が再稼働に意欲を持っていることは、節々に表出していましたが、あらためての思いがします。

 もう一つは、塩分濃度が薄まれば影響はないとしている点です。どの程度に薄まるかが問題なのでしょうが、ネットで調べてみると鉄の場合濃度が3%(海水とほぼ同じ)の場合もっともさびやすいという記述を見つけました。汚染水の塩濃度は当然これより低い。ずっと低いかもしれません。そうした際に影響がないと言えるのはなぜなのかをしっかり説明する責任が東電にはあるでしょう。

 また今日のしんぶん赤旗日刊紙は、汚染水漏れをおこした地下貯水槽を建設した会社の作った同様の処分場で、シートの破損が続発していたにもかかわらず、事故発生後も東電は同社を「一番能力のある会社」と持ち上げていたとして、「こうした原発事故への反省を欠いた危機管理意識の低さが重大な事故を招いた」と伝えました(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-17/2013041701_04_1.html)。

 遮水シートは管理型処分場などで漏水防止のために貼られていますが、遮水シートの破れの問題は、処分場裁判でいわき市住民が争った経過があります。

 この裁判は、いわき市に隣接する小野町に、ウィズ・ウェイスト・ジャパン社が管理型処分場を建設し、関東からの一般ごみ焼却灰などを搬入する計画を立てたことに対し、シートの破れから漏水し、いわき市の水源・夏井川が汚染されると住民が提訴したものでした。この時よく引き合いに出されたのが東京都の日出町に作られた処分場で、数百カ所の破れが発見された伝えられていました。

 遮水シートが破れる可能性が高いことは、明らかになっていたのです。小野間に処分場が作られ運営されました。原告団の方々といっしょに施設を視察した際、遮水シートの下の汚染されていない地下水を汲み出していると説明されたモニタリング用の蛇口がありました。ここから出る水を口にした際、塩辛いような何とも言えない味を感じたことを思い出します(汚染水処理水も沈殿の際塩化物で処理するため塩辛くなるようなので、これの影響かもしれませんが…)。

 汚染水を保管することができなかった事故直後に、緊急に使うために作った遮水シートによる貯水槽というなら理解もできようものです。しかし、これを恒久的施設に使おうと考えていたなら、お粗末すぎると言わざるを得ません。

 収束作業の途上で事故が起これば、農産物の販売、観光などに風評被害をもたらしかねないことは明らかです。また漁業は一部魚種についてこれから試験操業に入ろうかと検討している最中であり、こうした復興の取り組みに水をさすことも明らかです。

 こうした仮設にすぎない施設を本設の施設に切り替え、安定的な収束作業に道を開く。東電はこのことにこそ取り組むべきです。



 今朝散歩していて、和種の踊子草(上写真)が花をつけているのを見つけました。外来種のヒメオドリコソウ(下写真)は大量に繁茂していますが、この踊子草は中々見ることができません。遠野町滝のある場所周辺ではよく見ることができます。元気に繁茂してもらいたいですね。

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