キーシンとレヴァインによるシューベルトのピアノデュオについて、「デュオは歌える人の演奏でききたい」とのコメントをいただいた。
確かに、見事に合っている(ほほえましいということも含め)、丁々発止火花が飛ぶ、とかいろいろ表現はあるが、これらはデュオの具合に関するものであり、もちろん本来はその内容がどうかである。
シューベルトのこの種の録音はいくつかあり、当然モーツアルトのものも多いが、他にはと、と思いあたったのがラフマニノフ、2台のピアノのための組曲第1番、第2番である。
マルタ・アルゲリッチなどは、1982年にネルソン・フレイレと第2番を、1991年にアレクサンドル・ラビノヴィッチと両方を録音している。(それぞれPHILIPS、TELDEC)
彼女はもうソロをやらないみたいだから、ライブでやった機会も多いかもしれない。
こ2つの録音に比べても好きなのはウラディーミル・アシュケナージとアンドレ・プレヴィンのもの。(1974年DECCA)
とてもバランスがよく、相手の音をよく聴き、お互いがそしてそれぞれがよく歌うように、うまくはこんでいる。
気がついてみるとこれはキーシンとレヴァイン同様、ロシア系ピアニストと指揮者の組み合わせである。こういう組み合わせ、誰でもとはいわないが、ピアニスト同士よりいいのかもしれない。
ところでこのアシュケナージ/プレヴィン盤、CDではソロの曲とカップリングされているが、LPで出たときにはデュオだけであった。それもあってかアルバムのタイトルは「サイド・バイ・サイド」というジャズ・ヴォーカルの題名をつけ、しゃれたものになっている。
おそらく仲の良いデュオということ、プレヴィンが当時すでに一流のジャズ・ピアニストであるということの両方があるのだろう。
彼がトリオで演奏した「マイ・フェア・レディ」(1956 Contemporary)、「ウェスト・サイド・ストーリー」(1960 Contemporary) の2つのビッグヒット・アルバムはエヴァー・グリー
ンとなっている。
たまに取り出して聴く。