メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

W杯ドイツ2006・準決勝(1)

2006-07-05 20:48:12 | サッカー
イタリア対ドイツ 延長 2-0
延長後半を見ながら考えていたことは、なぜイタリア3枚目の交代カードがデルピエロだったのかということだった。それは彼がダメ押しの2点目を入れたあとも続いていた。
 
確かによく働いていたペロッタを代え、3トップ気味にするのは、スコアレスのあの時間帯なら考えられなくもないが、インザーギでオフサイドの裏をつくという手もあった。だがリッピはチーム全体の力を信じてシステムを変えることを考えたのかもしれない。
 
W杯でドイツはイタリアに勝ったことはないが、イタリアもPK戦には弱く、できれば延長後半のうちに決めたい。
そしてその結果は出た。オーストラリア戦と同じように。
ドイツはPK戦を意識しただろう。最後のカードでクローゼに変えたノイビルも心なしか危険な雰囲気に欠けていた。
あと数分、ドイツの「このまま」意識をイタリアが本能的についたという結果になった。
 
役者はそろっていた。右コーナーキック、キッカーはデルピエロ、GKレーマンの前方に来たボールをジラルディーノ(多分)が頭で戻し、それをピルロがキープして右に動き、ディフェンスを3人くらい引き連れて前方のスペースがあいたと見てそこに出す、セットプレーだったから右に来ていた左サイドバックのグロッソが利き足の左で蹴ったボールはレーマンの指先をかすめ巻くように左ゴールポストの内側に入った。あの位置だと左利きでなければ入らない。
 
もちろん結果論であるが、デルピエロが入ったからあそこのコーナーキックはデルピエロになり真ん中に戦術にたけたピルロがいた。それにピルロは全般によかったがなぜがコーナーキックはいつもレーマンにとられもう少し変化をつけてもというところだった。このところをリッピは見ていたのだろうか。
 
それにしても、アズーリ達はゴールを守るということに陶酔感を抱いているのではないか。GKブッフォンが取れないと思ったシュートはこの日もなかったし、カンナバーロはキャプテンとしてもそろそろジダン並みの風格が出てきた。
 
こういうときのダメ押しもイタリアらしい。1点リードしている、イタリアでも2点目はほしいが、あまり積極的にとりに行けばカウンターで同点にされるということもわかっている。だからカテナチオと併行しての攻撃は、ひたすら少人数で得意の形がくるのを待つということではないか。
 
たとえばチェコ戦のインザーギによるオフサイドトラップの裏狙い、そしてこの日のジラルディーノのカウンターとデルピエロの十八番「左45度デルピエロ・ゾーン」。
事実上の決勝点の2分後、あせった相手の強引なパスに立ちふさがるカンナバーロのインターセプトからジラルディーノに渡り、彼は相手バックスが戻って来たのを見て少しためをつくる、がTV画面で誰か来ているのかと見ると左後ろにデルピエロ、必ず来ているのだろう。あとは入らないわけはないというように、アレックスはトラップもせずに得意のループシュートを決めた。 
これはもうドルチェ(デザート)!
 
さて、この日も右サイドで大活躍したカモラネージの頭は、お笑い時代劇役者のちょんまげである。どうしてこうしたのかきいてみたい。4年前にはロナウド(ブラジル)の大五郎カットがあった。

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中田英寿の引退

2006-07-04 21:33:15 | サッカー

中田英寿が日本代表だけでなく現役を引退した。
ホームページでの言動からなんとなく予想していたが。

最も感動した中田
1997年フランスW杯アジア予選最終試合、インドネシアのジョホールバル、相手はイラン、
サドンデスの延長も残り少なくなり、両チームとも疲れでだるくよどんだ空気がみなぎったとき、中央少し前でボールを持った中田は何人かの中を縫ってドリブルを始めると誰も止められない、無謀とも思える距離からのグラウンダーのシュートはキーパーの手をはじきそこに交代で入っていた岡野が飛び込み決勝点。
何度もビデオで繰り返されたが、今見ると、中田のドリブルも速くはない、シュートは利き足ではない左足のそれほど強くないもの。しかし双方この気候で長時間、疲労の極に達していたときに、これをトライしたということ!
 
最もかっこよかったNAKATA
2001年イタリアセリエA、2チーム目のローマ、事実上の優勝(スクデット)決定のユベントス戦、ペルージャでのデビュー戦で2点入れてから相性はいい、後半不調のトッティに代わり、中盤少し前で後ろからボールを奪取、ドリブルでゴールに向かう、このときフォワードのバティストゥータとモンテッラは相手バックスを引き連れて左右に散り中田の花道をあけて、シュート、ゴール。
バティストゥータ(アルゼンチン)はW杯で日本から最初のゴールを奪った英雄である。

この数年、中田はセリエA、プレミアとも試合にあまり出てないこともあり、その理想の追求の場はいきおい日本代表チームになってしまい、それがチームメイト、ジャーナリズム双方との間に極度の緊張をきたしてしまった。どちらの責任でもないが、高額の移籍料を伴うヨーロッパ・サッカービジネスが背景にあるのかもしれない。
 
こうしてみると、あの時は不明にも気がつかなかったが、もしフランスW杯の代表に三浦知良が入っていたら、その後の日本サッカー界の歩みはもう少しなごやかになっていたのではなかったか。


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W杯2006ドイツ・準々決勝(2)

2006-07-02 18:28:09 | サッカー
ポルトガル対イングランド 0-0 延長PK3-1
イングランドは後半にベッカムが故障で交代、ルーニーが一発レッドカード退場となったのが痛かったのだろうが、全般的にポルトガルの方が押してはいた。ただゴールしそうな場面ということになるとイングランドかもしれない、というまま延長も終わった。
 
こういう勢いも重視しなければならない試合でエリクソンの交代カードの使い方は疑問が残る。一人少ない状況で、ベッカムに変えて出したレノンをでなぜ延長も残り少なくなってDFのキャラガーに代えたか。明らかなPK戦準備であり、これはチームにいい影響を与えないだろう。それにポルトガルにとっては、そのスピードに手こずっていたレノンがいなくなったのは楽になったはずである。
 
PK戦というにのは何を言っても結果論だが、GKの差がでたのだろうか。経験知からすれば4人目、5人目がポイントだろうが、ポルトガルのこれで決めるという5人目はなんとクリスチャーノ・ロナウドであった。監督スコラリにしてみれば、失敗すれば監督の責任、決めればこの21歳の若者が大きく羽ばたくということだろう。
オランダ戦で痛み、先発も心配されたロナウドだったが120分よくプレーした。左サイドでかなり長いことボールの上で左右に足を交差させるフェイントを数秒にわたって見せてくれたし。(この前のラボーナといい毎回一度は何かやる)
 
伝えきいてはいたが、このPK戦に入るところで会場のBGMとして本当に「ケセラセラ」が流れていた。なんという真実の表明!
 
フランス対ブラジル 1-0
最後までフランスのペースであった。
アドリアアーノもロビーニョも先発できる状態ではなかったのだろうか。ロナウジーニョがあれほど前ではボールにさわれないだろう。こうしてみるとフランスも年齢層高いが、ブラジルも決して若くはない。そしてこの間のいろいろでモチベーションの高かったのはフランスだろうし。ある意味イタリアと同様で、、、
 
ジダンはトラップがあまり正確ではなかったが、次のプレーに移るときの緩急のつけ方がやはり唯一無二だ。それにヴィエラ、マケレレもいい出来だったし、なによりリブリーというダイナモ的な存在を持っているのが大きい。ゴールを決めたアンリも、今回のフォーメーションをよく理解していたのだろう。
 
2日続けて見ると明らかに睡眠不足、2日続けて片方はPK戦だったし。

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W杯2006ドイツ・準々決勝(1)

2006-07-01 22:02:33 | サッカー
ドイツ対アルゼンチン 1-1 延長PK4-2
アルゼンチンの勝ちを期待したが、結果論であるとしても、後半にGKがクローゼに脇腹を蹴られ交代枠を使ってしまったのが痛かった。サビオラ、アイマール、メッシを使えなかった。しかし、後半同点にされてから延長でドイツにやられると思ったが、アルゼンチンのディフェンスの素晴らしさは続いた。セーブすることの醍醐味、快感もあるように見えてしまう。
そりゃPK戦になればホームが強いだろう。アルゼンチンは胸を張って4年後を目指せばいい。
 
イタリア対ウクライナ  3-0
これはやむを得ないだろう。しかしシェフチェンコ中心の攻撃もイタリアのディフェンスならではの強さでとめられたというところはある。(カンナバーロ、ブッフォンなど)
初出場でよくここまで来た。
 
イタリアは監督リッピが多くの選手をここまでうまく使い、結果を出してきた。この試合でもトニが初ゴールと2点目。
準決勝ドイツ戦の準備は出来ている。

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W杯2006ドイツ・ベスト16(4)

2006-06-29 22:30:48 | サッカー
ブラジル対ガーナ 3-0
ブラジルは相当ガーナを研究し攻めさせておいて裏をとったそうだ。それにしても結果は順当だろう。
ロナウドはこのゴールでミュラーの通算記録を更新した。
  
フランス対スペイン 3-1
これはスペインが攻めている時間帯が多かったのだが、今大会ゴール数が多いもののいざディフェンスがいいところとあたると最後にしとめる強さに欠けるのだろうか。
長い間言われていることだろうが、国内リーグ特にFWには海外のビッグネームが来るから、人材が育たないということはあるかもしれない。
また、バルセロナとマドリードは違う国みたいなところがあって、ナショナルチームに対する応援などの盛り上がりに欠けるとも言われているがどうなのか。
  
ベスト8がそろったが、準々決勝ドイツ対アルゼンチンは技術、戦術の面で見ものだろう。またブラジル対フランスは1998年フランス大会決勝以来の因縁だが、勝負は何で決まるのかというところに興味がある。
 
フランスはジダンの34歳誕生日の6月23日、彼不在(カード累積)であったがトーゴを破り第3戦でやっとグループリーグ突破を決めた。
ジダンに代わってキャプテンマークをつけて先制ゴールをし、またスペイン戦でも勝ち越しゴールをはじめとする活躍をした絶好調ヴィエラの30歳誕生日も同じ23日であった。
また翌24日はアルゼンチン対メキシコであったが、アルゼンチンのメッシ19歳、リケルメ28歳の誕生日でもあった。この日はまた中村俊輔、ルイス・ガルシア(スペイン)のやはり28歳の誕生日!
さらに言えば6月22日はあのプラティニ(フランス)の誕生日である。
 
こう見ると、世代の順で面白い。
因みに私の誕生日が6月23日である。

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