マンスフィールド短編集
安藤一郎 訳 新潮文庫
キャスリーン・マンスフィールド(1888-1923)というニュージーランド生まれのイギリス作家については文庫の案内目録にあったかなという程度の記憶しかなかった。このところチェーホフの作品をかなり読んでいて、解説かなにかにマンスフィールドの名前を目にし、ちょっと興味を持った。彼女はチェーホフの少し後の世代で、かなり影響をうけたらしい。
イギリス連邦圏の中上流というか比較的に恵まれた人たちの世界、女性の眼でみた世界が、少し象徴的な描き方、それが場面によってはこちらにはよくわからないところもあるのだが。
冒頭の「園遊会」、園遊会の準備(このあたり同時代の「ダロウェイ夫人」(ウルフ)を思わせりる)そのごたごたとその裏で起きた違う階級の悲劇、それに対処した主人公の少女のしたことがどうだったのか、それをストーリーとしてどうおさめたか、そこはうまい。
しかし多くの作品はぼやっとしていて短編としてまとまりに欠け、完成度が今一つ。チェーホフは結論めいたことは書いてない場合でも、それまでの描写で読者にもっと何かを想像させた。「鳩氏と鳩婦人」はちょっと面白いが。
もう一つの問題は翻訳である。それも作者の文体を考慮などということ以前、訳出した時代の日本語としてもおかしいし、やりとりで話者はどっち、動作はどっちが日本語でわかりにくい。そはか原文は正確に理解しているのかもしれないが、日本語としては未熟、はっきり言うと下手である。前にぼやっとしていてと書いたのは、このせいかもしれない。
これは昭和32年の発行、新訳はあるのかもしれないが、入手しやすい新潮文庫でなんとかならないか。
安藤一郎 訳 新潮文庫
キャスリーン・マンスフィールド(1888-1923)というニュージーランド生まれのイギリス作家については文庫の案内目録にあったかなという程度の記憶しかなかった。このところチェーホフの作品をかなり読んでいて、解説かなにかにマンスフィールドの名前を目にし、ちょっと興味を持った。彼女はチェーホフの少し後の世代で、かなり影響をうけたらしい。
イギリス連邦圏の中上流というか比較的に恵まれた人たちの世界、女性の眼でみた世界が、少し象徴的な描き方、それが場面によってはこちらにはよくわからないところもあるのだが。
冒頭の「園遊会」、園遊会の準備(このあたり同時代の「ダロウェイ夫人」(ウルフ)を思わせりる)そのごたごたとその裏で起きた違う階級の悲劇、それに対処した主人公の少女のしたことがどうだったのか、それをストーリーとしてどうおさめたか、そこはうまい。
しかし多くの作品はぼやっとしていて短編としてまとまりに欠け、完成度が今一つ。チェーホフは結論めいたことは書いてない場合でも、それまでの描写で読者にもっと何かを想像させた。「鳩氏と鳩婦人」はちょっと面白いが。
もう一つの問題は翻訳である。それも作者の文体を考慮などということ以前、訳出した時代の日本語としてもおかしいし、やりとりで話者はどっち、動作はどっちが日本語でわかりにくい。そはか原文は正確に理解しているのかもしれないが、日本語としては未熟、はっきり言うと下手である。前にぼやっとしていてと書いたのは、このせいかもしれない。
これは昭和32年の発行、新訳はあるのかもしれないが、入手しやすい新潮文庫でなんとかならないか。