「キンキーブーツ」(Kinky Boots、2005年、英・米、107分)
監督:ジュリアン・ジャロルド、脚本:ジェフ・ディーン、ティム・ファース、音楽:エイドリアン・ジョンストン
ジョエル・エドガートン、キウェテル・イジョフォー、サラ=ジェーン・ポッツ、ジェミマ・ルーパー
イギリスのノーザンプトンの靴工場の息子チャーリー、家業は継がずにロンドンで婚約者と結婚の準備を進めていると、突然父親が死んで、後を何とかしなければならなくなる、倒産寸前と判明した工場を、偶然出あった女装のドラッグ・クイーン ローラの悩み兼アイデアで男の体重に耐えるハイヒール・セクシー・ブーツを作り始め、様々な誤解の中で、自分達も考えを変えながら、成功するまでのストーリー。
似た話はよくあるから、展開のいくつかは想像がついてしまうところがある。細かいところでも、例えば腕相撲の場面でも結末はなんとなく想像できた。
とはいえ、その中でのやり取りはあと一息でべたべたにならず、動きが止まらないまま次に展開していく。最後まで飽きずに気持ちよく見ることが出来る。それは脚本とともに、ローラ役キウェテル・イジョフォーの演技に負うところが大きい。
体、動きの迫力、対照的なやさしさ、そしてなんといってもこの種のショーにおける動きと歌、これが見せる。
この人、調べてみたらあの「ラブ・アクチュアリー」(2003)の中で、特に困難には見舞われない役(キーラ・ナイトレイの結婚相手)を演じており、風貌が全然違うため、同じ人とは気づかなかった。あんな穏やかな出過ぎない演技から、いい意味で想像しがたい。
「ドラッグ・クイーン」という言葉から麻薬を連想したが、このストーリーではおかしい、と思って調べたら、ドラッグはドレスを引きずる(drag)ということらしい。このように女装まではわかるが、性的に本当はどうなのかというとは、この映画の中でも疑問、悩みとして何回か出てくるものの、はっきり理解は出来なかった。もっともそれがこの映画の理解に必須ということでもないだろう。
これも実質イギリス映画、こういう舞台、その丁度いい大きさは、このところこの国の映画に顕著である。
なおこれは実話をもとにしているとのこと、kinkyとは「ねじれた、変わり者の」を意味する。