「ホテル・ニューハンプシャー」(The Hotel New Hampshire 、1984年、米、109分)
監督・脚本:トニー・リチャードソン、原作:ジョン・アーヴィング
ジョディ・フォスター、ロブ・ロウ、ポール・マクレーン、ボー・ブリッジス、リサ・ベインズ、セス・グリーン、ジェニファー・ダンダス、ナスターシャ・キンスキー
監督・脚本:トニー・リチャードソン、原作:ジョン・アーヴィング
ジョディ・フォスター、ロブ・ロウ、ポール・マクレーン、ボー・ブリッジス、リサ・ベインズ、セス・グリーン、ジェニファー・ダンダス、ナスターシャ・キンスキー
,大家族のそれぞれに、突然事件や不幸が舞い降り、それが時にはまた別の偶然とも思えることによって何とかなったりする。その大きな模様で何かを言う、という作品といったらいいだろうか。
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」と比べると、こちらの方がもう少し一つ一つの人生に意味を付けたいように見える。
第二次世界大戦の前の米国、一家でホテルを経営し始める父、ウィーンに帰っていた元従業員からそのホテルを手伝ってくれと便りが来て、一家は渡欧、しかしそのホテルには過激派がいついており、熊になってしまった(?)女性がいたりする。その中での子供達の災難、成長、その中にはかなり過激な体験も含まれ、また天賦の才が示されたりする。
こうして、ドラマとして万華鏡、タペストリーは出来て行き、その中で、人生は偶然、儚いものさ、だけどそれを嘆き続けていなくてもいいのではないか。というのが結論だろうか。
もちろん、面白さと、エキセントリックなところは細部にある。
たとえば、ジョディ・フォスター演ずる長女の前半の不幸と、後半の跳躍、これは対称形になっており、後半はある意味でその代償、再生と取られることを想定しているだろう。かなり激烈で、なかなか他の作品ではないものだが。
彼女が「タクシードライバー」で注目された後、それで熱狂的なファンになった男がレーガン大統領を襲撃、それにショックを受けしばらく仕事が出来なかったが、何とか復帰したのがこの作品とか。
そう思ってみると、何か逆療法とも見え、考えさせられる。また彼女はこのとき、160cmくらいの身長とのバランスでいく、まだ随分太めである。
他の俳優達、皆リチャードソンの演出によく応えているが、ナスターシャ・キンスキーの熊女などは、むしろやりやすいかもしれない。その中では、どこか静かな雰囲気を保っている父親役ボー・ブリッジスがうまく中心の位置を保っている。
もう一人、成長がとまってしまっていることになっている末娘で天才作家役のジェニファー・ダンダス(Dundas)、ただの子役にしては大人びた静謐な表情と、落ち着いた語りが印象に残った。
調べてみたら、その後あまり映画には出ていないものの、舞台では相当のキャリアを積んでいるらしい。