「モディリアーニ展」(Modigliani et le Primitivisme)(国立新美術館、3月26日~6月9日)
モディリアーニ(1884-1920)の作品をまとめて見たことはない。それでもこの人の絵は皆、顔が細く、首が長くてなで肩、目はアーモンド形というイメージが出来上がってしまっている。それが普段はあんまり見る気にさせなかったのだが。
こうしてみると、これらの特徴はそのとおりだけれども、画家はここに至るまで、何度も試行をくりかえし、頭の中でこうしようと理屈をこねたのでなく、描いている中でこれが描きたいフォルムだというところに発見到達したのだろうと、推察できる。今回多くのデッサンがあることもそういう理解の材料になっている。
この人体の形には今回のテーマの一つであるアフリカなどを背景にした原始主義の影響があるのだが、それはきっかけにすぎないだろう。
首が長くなで肩であれば、見るものはまず頭に目がいき、しばらく胴体は忘れるが、そのあとむしろ頭と胴体の対照を味わう、楽しむという具合になる。そうしてみると会場の解説にもあるように、同じようなスタイルの絵でありながらむしろモデルの特徴がよく出ている、ということが出来る。
また描き始めのころは、モデルの人となりをやさしく見つめたやわらかい絵であったのが、すぐに画面の空間にどういう形があるべきかの追求に移り、雰囲気的なもので見せるということはなくなっていく。
実はそんなに期待していなかったのだが、点数が多すぎないこともあり、楽しめた。