「ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情 (Petry of Silence) 」
(9月30日~12月7日、国立西洋美術館)
ヴィルヘルム・ハンマースホイ(1864-1916)については、この展覧会の企画が日経で報じられる前、その名前も知らなかった。
ほとんど人の顔を描かない、人物は後姿、そして誰もいない室内を描いた多くの作品、こういう画家については、変な言い方だが、今回のようにうんざりするほどの展示を見たほうがいい。
なれない種類の絵だから、まだ結論を出すのはやめよう。ただ、見ていて気がついたことを二つ。
顔を描かないが、人を描く場合に顔に対峙してしまうと、その人に対して様々な、雑念も入った、想念が頭に浮かぶだろう。それが浅いレベルで何か影響を描く手に与えることはあるだろう。
そしてもう一つ、誰もいない室内、遠近法や光と影の物理学からいくと変なところがあるけれど、それは描く人、絵を見る人に、特定の決まった視点を与えないため、そして空間に入ってもらうため、といえないこともないのではないか。
とはいっても、いくつかの作品は、何も考えなくても、完成度は高く見事。
見ていて、なぜか思い出したのが、ウディ・アレンの映画「インテリア」(1978)。30年も前に見た映画で、筋は覚えていないが、室内のセットと逆光が特徴的なカメラは印象に残っている。そういえばベルイマンまがいと言われたこともあったから、北欧のイメージがアレンにあったのかもしれない。