メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

ボストン美術館浮世絵名品展

2008-10-10 21:41:05 | 美術

ボストン美術館浮世絵名品展」(10月7日~11月30日、江戸東京博物館)
 
ボストン美術館は日本美術の名品を多く持っていることで知られているが、今回は浮世絵の名品をまとめてみることが出来る。
 
それも、明治初期にフェノロサやビゲローが集めただけあって、初摺りも多く、また保存もよいことから、これまでに見たことがあるものでもそのよさが一段と際立つ。照明も暗すぎず、楽に鑑賞できるのもよい。そうなると当然この次に展示されるのはかなり後になるということなのだろう。
  
18世紀初めのものでも、丹の色もまだ鮮やかだし、全体に鮮明で、このころ既に絵、彫り、摺りの技術が確かになっていたことがわかる。
 
どれがということより、こうして見ていくと、まず風俗として楽しく、200~300年前の人々の、豊かな感覚、生活がこちらに伝わってくる。 
 
そうして描いていく中で発見し、強調してやろうという意図が生まれ、それを別次元の世界として完成させたことに感嘆する。
 
幕末になると、北斎も見事だが、ここで数が多い歌川一派の広重、そして名前に国がつく人たちの大胆な、見事なデザインに昇華したものもある一群は、見に来た甲斐があった。着物の模様も見ていて飽きない。

 
北斎の冨嶽三十六景 山下白雨、広重の東海道五拾三次之内 庄野 白雨は、傑作であることも知っているが、今回こういう摺りで見ると、こんなに見事なものだったかと思わせる。
 
中でほほえましいのは、歌川国芳の「梅の魁 」だったか、三人の女性が襟巻きのようなもので寒さをこらえながら、その中はあったかそうな感じが見ごとにでている一品。


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