メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

誇りと復讐 (ジェフリー・アーチャー)

2009-08-10 21:39:49 | 本と雑誌
「誇りと復讐」(A Prisoner of Birth 、ジェフリー・アーチャー、2008年、永井淳 訳、新潮文庫(上下))
 
久しぶりに読むジェフリー・アーチャー、健在ではある。
少し読み進むとすぐわかるように、これは現代版「巌窟王」(モンテクリスト伯)で、何度か罪に問われ、裁判、監獄を経験するはめとなった作者の経験がいかされている。
 
この作者のものとしては、「百万ドルをとり返せ!」、「ケインとアベル」、「ロスノフスキの娘」など、いくつか読んでいて、娯楽作品としては裏切られることはない、と印象だった。この作品も、いい意味でのだましあいというのだろうかいわゆるコン・ゲームであり、復讐譚としてはそんなにどろどろしてはいなくて、枯れていて、後味がいいものとなっている。特に収容所内、最後の裁判の場面。
 
その分、はらはらどきどきの度合は以前より少ない。
魅力ある登場人物は何人かいるけれども、主人公よりは主人公がなりすます対象、そして主人公側の弁護士親子、俳優の妹、同獄の巨漢、あたりだろうか。
 
訳者の永井淳氏、6月に亡くなった(74歳)。これが遺作だろうか、ミステリー、こういう娯楽小説、これまで随分たのしませてもらった。

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