メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

ヘレン・シャルフベック展

2015-06-24 13:29:22 | 美術
ヘレン・シャルフベック 魂のまなざし
東京藝術大学美術館 2015年6月2日(火)- 7月26日(日)
 「
ヘレン・シャルフベック(1862-1946)はフィンランドを代表する画家のひとりだそうだが、この展覧会までは名前も知らなかった。彼女は3歳の時にけがで足を負傷、生涯杖を必要とし、男性ともうまくいかないことが続いた。それでも画家としては、パリで印象派の画家たちに影響をうけ、画風としてはホイッスラーの影響が強いと言われている。若いころの代表作「恢復期」(1889)は、これだけできわめてすぐれた画家であることを納得させるもの。
 
画業の中盤までは女性をモデルにしたものが多く、特に視線のとらえ方が見事で、気持ちよく見ることができた。人生の終盤には、自画像が多くなり、見ていて痛々しいものもあるけれど、その一方で画家としその粋をこらしたものもあって、見ていて気持ちが沈む一方ではない。技法としても、やりたいことを存分に出したともいえる。技術、表現意欲、そしてプライド、これらがそろった人だったと思われる。
 
北欧の画家の回顧展はそんなにない。ノルウェーのムンクは別として、2008年にデンマークのハンマースホイ展があったくらいか。今回フィンランドの画家をこうしてみることができたのは幸いだった。


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