レハール:歌劇「メリー・ウィドゥ」 英語版
指揮:アンドリュー・デイヴィス、演出:スーザン・ストローマン
ルネ・フレミング(ハンナ)、ネイサン・ガン(ダニロ)、ケリー・オハラ(ヴァランシェンヌ)、アレック・シュレイダー(カミーユ)、トーマス・アレン(ツェータ男爵)、カーソン・エルロッド(ニェグシュ)
2015年1月17日 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場 2016年2月 WOWOW
オペレッタとしては、「こうもり」、「チャールダッシュの女王」と並んでもっと人気がある演目である。こう並べるとやはり「こうもり」はコミカルなオペラとしても不思議ない。それに比べると「メリー・ウィドゥ」はその筋がコントを連ねたようなところがあって、これは歌とダンス、舞台構成の見栄えがないと、興味が続かないが、そこはニューヨーク、ブロードウェイで名高いスーザン・ストローマンの演出、そしてルネ・フレミングに対するもう一人のヒロインにやはりブロードウェイで今最も輝いているケリー・オハラ(最近ではあの「王様と私」)を配し、コーラスとダンスもメトの実力を発揮したものとなっている。
舞台上での動き、展開はグランドオペラのように大きくないように見えるが、映像で見るにはこのほうがいい。もっともミュージカルのようにマイク(ヘッドセット)をつけて歌わないのはもちろんなのだが、ライヴ・ビューイングを提供するには音を的確に拾わねばならず、そうなると舞台はある程度コンパクトな方がいいのだろう。
なお、ケリー・オハラも普段と違ってマイクなしなのだが、学校ではオペラ専攻だったそうで、声量はまずまずだった。もっともやはりルネ・フレミングと比べると、声の艶が出にくかったようだ。
ダニロのネイサン・ガンはフィナーレに近づくにしたがい、次第に歌が充実していく(おそらく意識的に)ところが、説得力あったし、なにしろ姿がいい。ツェータ男爵のトーマス・アレンは、本格的なオペラでこれまでよく聴いたが、こういうことやっても達者である。体躯が立派なのも結末との対応で面白い。
アンドリュー・デイヴィスは、このオペラ、オペレッタからミュージカル、そしてレビュー(特にキャバレー(マキシム)での場面が多い)までの、息を抜けない面白さを、うまく駆っていった。そういえばこの人、ロンドンのプロムナード・コンサートで何度もメインになっていたから、こういうのは得意なんだろう。
ストローマンの演出は、ほかの演出を覚えていないので比較はできないが、レビュー的な舞台をうまく使って効果を出していた。豪華で面白いカーテン・コールもそう。
今回気がついたことだが、フィナーレで歌われるハンナとダニロの音楽はあの有名なワルツをうまく(多少控えめに)ベースにしていて、効果的である。それから、庭の東屋でのドタバタと最後に男爵がやりこめられるところ、これは「フィガロの結婚」の引用(パロディというほどではない)だろう。
指揮:アンドリュー・デイヴィス、演出:スーザン・ストローマン
ルネ・フレミング(ハンナ)、ネイサン・ガン(ダニロ)、ケリー・オハラ(ヴァランシェンヌ)、アレック・シュレイダー(カミーユ)、トーマス・アレン(ツェータ男爵)、カーソン・エルロッド(ニェグシュ)
2015年1月17日 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場 2016年2月 WOWOW
オペレッタとしては、「こうもり」、「チャールダッシュの女王」と並んでもっと人気がある演目である。こう並べるとやはり「こうもり」はコミカルなオペラとしても不思議ない。それに比べると「メリー・ウィドゥ」はその筋がコントを連ねたようなところがあって、これは歌とダンス、舞台構成の見栄えがないと、興味が続かないが、そこはニューヨーク、ブロードウェイで名高いスーザン・ストローマンの演出、そしてルネ・フレミングに対するもう一人のヒロインにやはりブロードウェイで今最も輝いているケリー・オハラ(最近ではあの「王様と私」)を配し、コーラスとダンスもメトの実力を発揮したものとなっている。
舞台上での動き、展開はグランドオペラのように大きくないように見えるが、映像で見るにはこのほうがいい。もっともミュージカルのようにマイク(ヘッドセット)をつけて歌わないのはもちろんなのだが、ライヴ・ビューイングを提供するには音を的確に拾わねばならず、そうなると舞台はある程度コンパクトな方がいいのだろう。
なお、ケリー・オハラも普段と違ってマイクなしなのだが、学校ではオペラ専攻だったそうで、声量はまずまずだった。もっともやはりルネ・フレミングと比べると、声の艶が出にくかったようだ。
ダニロのネイサン・ガンはフィナーレに近づくにしたがい、次第に歌が充実していく(おそらく意識的に)ところが、説得力あったし、なにしろ姿がいい。ツェータ男爵のトーマス・アレンは、本格的なオペラでこれまでよく聴いたが、こういうことやっても達者である。体躯が立派なのも結末との対応で面白い。
アンドリュー・デイヴィスは、このオペラ、オペレッタからミュージカル、そしてレビュー(特にキャバレー(マキシム)での場面が多い)までの、息を抜けない面白さを、うまく駆っていった。そういえばこの人、ロンドンのプロムナード・コンサートで何度もメインになっていたから、こういうのは得意なんだろう。
ストローマンの演出は、ほかの演出を覚えていないので比較はできないが、レビュー的な舞台をうまく使って効果を出していた。豪華で面白いカーテン・コールもそう。
今回気がついたことだが、フィナーレで歌われるハンナとダニロの音楽はあの有名なワルツをうまく(多少控えめに)ベースにしていて、効果的である。それから、庭の東屋でのドタバタと最後に男爵がやりこめられるところ、これは「フィガロの結婚」の引用(パロディというほどではない)だろう。