メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

アントニー・ジマー

2017-06-01 09:53:37 | 映画
アントニー・ジマー(Anthony Zimmer、2005仏、89分)
監督・脚本:ジェローム・サル
ソフィー・マルソー(キアラ)、イヴァン・アタル(フランソワ)、サミー・フレイ(アケルマン)
 
楽しめるサスペンス・ミステリー。不法に荒稼ぎした金を巧妙にロンダリングしている犯罪者アントニー・ジマーは手配書に写真がない謎の人物。追っているのはフランス警察のアケルマンとロシアの機関。そしてジマーを見たことがあるキアラがヴァカンスにいく金持ち旅行者に扮して、列車でジマーに似た男を探し、見つけたフランソワをジマーに仕立てる。
 
さてそこから危険な動きがいろいろ始まる。その中でカンヌを中心にソフィー・マルソーの映像を楽しみたい私のようなファンには、それなりの配慮がされている。
 
結末に近づくにしたがって、もしや、やっぱりという勘がはたらいてしまい、終わってみると、それなら途中もっと入念にとは思うのだが、それは娯楽映画ということで許そう。
 
ソフィー・マルソーはここでは謎のイメージを最後まで残し、見え方、動きとも期待どおりだが、この陰のある、これまでストレスがあったであろう主人公にあわせて、少しだがやつれた風貌にしている。この人は作品によってこういうことをやり、あとの作品では華やかさと色気がもどったり、ということもある。映画女優としてのサービスをよくわかっているのだろう。
 
フランソワのアタルは、この微妙な役をあまり出すぎずうまく演じている。ただもう少し筋肉質だったらと思うが。
 
そしてサミー・フレイ、渋く、細身だが貫禄あって、アケルマンのキャラクターにうまくはまっている。こんなに歳とって出会うとは思わなかった。画面上で気がついて見たのはおそらく「夕なぎ」(1972、監督:クロード・ソーテ)以来だろう。これは大好きなロミー・シュナイダーの最高傑作だと思っていて、協演したイヴ・モンタンの存在感もさることながら、脇役のサミー・フレイやウンベルト・オルシーニがなかなか効いていた。この人についてはそれまでブリジット・バルドーの恋人だったことくらいしか知らなかったが。
 
ところでこの映画、誰がどう思ったか2010年に「ツーリスト」としてリメイクされたようだ。コンパクトに作られたフランス映画がリメイクされることは時々ある(逆はまずない)が、配役はなんとジョニー・デップとアンジェリーナ・ジョリーだそうだ。順序が逆なら両方見て比較するのも面白いだろうが、今回はなし。ソフィー・マルソーの後、あの女優は見たくない。
 
なお、ビデオで字幕の表示時間があまりにも短いことが何か所かあった。

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